良知力のレビュー一覧

  • 向う岸からの世界史 ――一つの四八年革命史論

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    ぼくにとっては、ぞくぞくするような、素敵な本でした。とってもお薦めな本なのですが、一般にはちょっと取り付きにくい本かもしれません。なにしろテーマが1848年のウィーン革命というマイナーなものですから、多少の予備知識を仕込んでから読んだほうがよいでしょう。
    1848年革命といえば、なんといってもフランスの2月革命が思い浮かびますが、この革命はドイツへさらにオーストリアとハンガリーへと飛び火して全ヨーロッパ的な広がりを見せた後、たちまち反革命勢力に制圧されてしまいました。その中でウィーン革命は一般には一挿話的に取り扱われるようなものですが、著者は、それをメイン・テーマとしてこだわり抜きます。
    この

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    2013年03月21日
  • 向う岸からの世界史 ――一つの四八年革命史論

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    某日、時間が少しあったので、ふらっと書店に立ち寄ったときのこと。
    たまたま何気なく「ちくま学芸文庫」の棚を見ていたら、懐かしい名前と本に出会いました。

    良知力は存命なら80歳ですが、惜しくも25年前の1985年にわずか55歳で亡くなった社会思想史家・哲学者です。

    私が彼と最初に出会ったのは、11年前の高校生の頃、夏休みに山谷に行ったついでに立ち寄った神保町の古本街でした。そのときの目的は、「SFマガジン」の創刊当時の号や雑誌「映画批評」を探すことでした。

    偶然手に取った中に、1975年頃に社会思想社から出ていた、その名もずばりミッシェル・フーコーの著作と同名の「知の考古学」という雑誌があ

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    2011年09月04日
  • マルクスと批判者群像

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    1948年に開催された共産主義者同盟の第二回大会で、『共産党宣言』の執筆がマルクスとエンゲルスに委嘱されるにいたるまで、若き日の二人と思想および運動の両面で相克を演じた活動家たちのすがたを追い、その実像を明らかにしています。

    主にとりあげられているのは、ヨハン・ヴィルヘルム・ヴァイトリング、カール・シャッパー、モーゼス・ヘスの三人です。とりわけ、マルクスやエンゲルスのような学識をもたない一介の渡り職人だったヴァイトリングについて著者は、1946年の討議でマルクスにその「無知」を厳しく論断された出来事から叙述をはじめ、その思想がマルクス=エンゲルスに劣るとみなす予断を排してていねいにたどってい

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    2025年01月04日
  • 向う岸からの世界史 ――一つの四八年革命史論

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    1848年ウィーン革命は、そのスローガンは「ブルジョア的」でありながら、多くのプロレタリア・賎民の血によって書かれているという。
    余りにも多くのことに無知な自分を恥じ、そして焦る。

    あとがきから引用
    『本書のモティーフがたんなる反西欧で、たんなる反市民社会論だ、などと即断されても困る。「向う岸からの世界史」は、依然としてわれわれにとっての世界史でもある。ただ、世界史を自覚的にとらえうる能力が向う岸だけのものだという発想こそが、せまくるしく、(中略)なお自然的制限からぬけきれず、無自覚であり、したがって人間的たりえないのではないか。それこそが普遍的精神とは縁遠い発想ではないか。普遍性とは自己を

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    2015年06月07日
  • マルクスと批判者群像

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    マルクス・エンゲルスの若き日々、そして彼らの先達であった活動家たちに焦点を当てた一冊。

    マルクス研究および社会思想史として優れているのは勿論ですが、人間ドラマとして読むだけでも大変面白い。革命に生きた人々の触れ合いと相克を丹念に描いており、惹きこまれること請け合いです。

    特に主役の一人である活動家ワイトリングの姿は印象深い。コスモポリタン的な矜持と高いカリスマ性によりドイツ社会革命運動を牽引するワイトリング。しかし、その傲慢さと理論性の欠如により挫折し忘れ去られてゆく様は読み手の心をざわつかせます。

    初版1971年なれど、今もってその輝きを失わない名著。是非どうぞ。

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    2012年12月26日
  • 向う岸からの世界史 ――一つの四八年革命史論

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    ネタバレ

     ウイーンのプロレタリア革命の悲惨な結果を描いた歴史である。最初だけを読んだならば、固すぎてやめてしまう学生がいると思われる。順序を逆にして、本人のウイーンの生活の随筆から始めればもっと皆に読まれると思われる。
     20241015に再度読んだ。前のことは全く忘れている。名著として、岩波の歴史総合の新書で紹介された本である。

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    2024年10月15日