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1848年、パリで勃発した二月革命はドイツ・オーストリアの三月革命へと発展し、やがてヨーロッパ全域へと拡大する。本書はウィーンとベルリンにおける革命の実態を克明にたどりながら、それまで「歴史なき民」と蔑まれてきた少数民族やプロレタリアートに光をあて、彼らこそが歴史の真の担い手であり、革命の主体であったことを明らかにする。丹念に収集された史料図版と独自の1848年革命史研究を通じて、西欧近代中心主義的歴史観を超える新しい歴史像を示そうとした逸品。
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Posted by ブクログ
ぼくにとっては、ぞくぞくするような、素敵な本でした。とってもお薦めな本なのですが、一般にはちょっと取り付きにくい本かもしれません。なにしろテーマが1848年のウィーン革命というマイナーなものですから、多少の予備知識を仕込んでから読んだほうがよいでしょう。 1848年革命といえば、なんといってもフラン...続きを読むスの2月革命が思い浮かびますが、この革命はドイツへさらにオーストリアとハンガリーへと飛び火して全ヨーロッパ的な広がりを見せた後、たちまち反革命勢力に制圧されてしまいました。その中でウィーン革命は一般には一挿話的に取り扱われるようなものですが、著者は、それをメイン・テーマとしてこだわり抜きます。 この本は、いくつかの雑誌に掲載された思想史および歴史学の学術論文や仮想的な対話篇、ウィーン便りから構成されていて、雑多な印象を与えますが、1848年のウィーン革命という強靭なテーマが貫いています。 そして、その中で、この革命がプロレタリア革命を内包したブルジョア革命であり、民主化が民族問題と絡まりあっていたという複雑な性格が解き明かされ、この19世紀の革命が一挙に現代性を帯びて立ち現れて来ます。その底層にある歴史家の志まで感じられる、そんな強烈な印象の残る本です。
某日、時間が少しあったので、ふらっと書店に立ち寄ったときのこと。 たまたま何気なく「ちくま学芸文庫」の棚を見ていたら、懐かしい名前と本に出会いました。 良知力は存命なら80歳ですが、惜しくも25年前の1985年にわずか55歳で亡くなった社会思想史家・哲学者です。 私が彼と最初に出会ったのは、11...続きを読む年前の高校生の頃、夏休みに山谷に行ったついでに立ち寄った神保町の古本街でした。そのときの目的は、「SFマガジン」の創刊当時の号や雑誌「映画批評」を探すことでした。 偶然手に取った中に、1975年頃に社会思想社から出ていた、その名もずばりミッシェル・フーコーの著作と同名の「知の考古学」という雑誌がありました。そういえば、それを見たのは初めてではなく、父の蔵書のなかに何冊かあったのをチラッと読んだ記憶がありました。この際だからということで、手まわしよく手帳にメモっていた欠版をチェックして、11号すべてを揃えることができました。 この「知の考古学」は、マルクスやマックス・ウエーバーの特集を組んでいるので社会科学系かと思うと、ある号には幸田露伴を取り上げていたりします。 毎回、廣松渉・見田宗介・樺山紘一・和田春樹・多木浩二などそうそうたるメンバーが書いていましたが、そういえばちょうどこの頃、たしか初期マルクスを探究していたのが良知力と廣松渉でしたが、今では廣松渉ひとりが名を残すばかりで、良知力の方がまったくといっていいほど忘れられている気がします。 この本は、1848年のウィーン革命はブルジョワ革命ではなくプロレタリア革命だったという、彼の生涯をかけての研究のひとつの重要な到達点であり、キャスティング・ボードとなる著作です。
1848年ウィーン革命は、そのスローガンは「ブルジョア的」でありながら、多くのプロレタリア・賎民の血によって書かれているという。 余りにも多くのことに無知な自分を恥じ、そして焦る。 あとがきから引用 『本書のモティーフがたんなる反西欧で、たんなる反市民社会論だ、などと即断されても困る。「向う岸から...続きを読むの世界史」は、依然としてわれわれにとっての世界史でもある。ただ、世界史を自覚的にとらえうる能力が向う岸だけのものだという発想こそが、せまくるしく、(中略)なお自然的制限からぬけきれず、無自覚であり、したがって人間的たりえないのではないか。それこそが普遍的精神とは縁遠い発想ではないか。普遍性とは自己を限定しうる能力のことだ、ともいえよう。他者のなかで、他者をとおして自己限定しうる能力こそが普遍性につながるのであろう。だから、普遍性は川の向う岸からもこちら側からも、どちらからもそれとしてとらえることができる。こうして普遍性は歴史のなかで限りなく重層化する。そのような普遍史の重要性をそれとして認識しうる力こそが、世界史を知的に構成しうる能力となる。』
ウイーンのプロレタリア革命の悲惨な結果を描いた歴史である。最初だけを読んだならば、固すぎてやめてしまう学生がいると思われる。順序を逆にして、本人のウイーンの生活の随筆から始めればもっと皆に読まれると思われる。 20241015に再度読んだ。前のことは全く忘れている。名著として、岩波の歴史総合の新...続きを読む書で紹介された本である。
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