オルテガ・イ・ガセットのレビュー一覧

  • 大衆の反逆
    ちくま学芸文庫版は大学の時、さらに社会人になっても読んでいたが、今回は岩波文庫版を読んでみた。

    100年前の話なのだが、個人の自由が脅かされているのではとの雰囲気がある、自らの頭で考えない人が増えている、固有の文化が転換点にある、など現代に通底するテーマと視座を提供してくれる。オルテガの歯切れ良い...続きを読む
  • 大衆の反逆
    1930年刊行。某経済誌で今読むべき古典と紹介されていた。
    たしかに、名言・格言だらけ。例えば、

    「人間を最も根本的に分類すれば、次の二つのタイプに分けることができる。第一は、自らに多くを求め、進んで困難と義務を負わんとする人々であり、第二は、自分に対してなんらの特別な要求を持たない人々、生きると...続きを読む
  • 大衆の反逆
    それ以前の人々にとって生とは重苦しい運命だった。しかし、現代の「大衆」=「平均人」は、彼を取り巻く世界に甘やかされている。経済的、肉体的、社会的安楽さをあたりまえのものと思っている。

    近年のヨーロッパに蔓延する無力感は、「潜在能力の大きさ」と「政治機構の大きさ」とのアンバランスから生まれる。

    ...続きを読む
  • 大衆の反逆
    人生で最も影響を受けたトップ5に入る本。

    100年前に書かれた内容は今でも色褪せない。「精神の貴族」はよいことばですね。
  • 大衆の反逆
    ポピュリズムが影を覆う今だからこそ読むべき本だと思います。これだけ上から目線で書かれた本も珍しい。今だったら『炎上』必死の内容です。
  • 大衆の反逆
    学生の頃に探すも見つけられなかった本が筑摩の文庫にあった。18世紀のルソー「社会契約論」19世紀のマルクス「資本論」、20世紀はこれと言われた社会論のバイブル。皇帝、覇王など選ばれた人のための国家と違い、近代の国民国家は、ビジョンも持たず自ら責任も取らない「慢心しきったお坊ちゃん」たる大衆が支配者に...続きを読む
  • 大衆の反逆
    新しい訳であり、さすがに読みやすい。日本や中国は鼻を突き合わせて住んでいる、という言及はあったものの、やはりヨーロッパ中心、しかもスペインとフランス、イギリス中心の思想である。
  • 大衆の反逆
    無知無能な人間が外部に開かれた目的に向かって、ーー何の介入も受けずにーー 努力できることが自由の意味であったが、内なる欲望のままに活動できることが自由の意味にすり替えられた結果、能力を過信した人間が他者の影響を排除しながらやりたいことをやりたいようにやる権利を持っていると"勘違い"人間をたくさん生み...続きを読む
  • 大衆の反逆
    文明に突如現れた野蛮人。

    教育水準の向上が要因?

    まるで、今日の状況を分析したような論文集である。
    反〇〇に対する過去を絡めた考察は、示唆に富み、唸ってしまう。

    論文集。

    大衆の唯一の行動は、私刑(りんち)。

    社会のアノミー化。
    ヨーロッパ文明の凋落。

    オルテガは、堕落した大衆の誕生を、...続きを読む
  • 大衆の反逆
    長く、きちんと読めないまま、来てしまいましたが、読み通しました。1930年に刊行された大衆社会論であり、ファシズム、スターリン的マルクシズムが挫折していく以前の書ですが、説かれている内容は、今こそ、真剣に取り組まなければならないように思いました。
    読み返しをして咀嚼していきたいと思います。
  • 大衆の反逆
    「大衆というものは、その本質上、自分自身の存在を指導することもできなければ、また指導すべきでもなく、ましてや社会を支配統治するなど及びもつかないことである」

    「われわれがここで分析しているのは、ヨーロッパの歴史が、初めて、凡庸人そのものの決定にゆだねられるにいたったという新しい社会的事実である。あ...続きを読む
  • 大衆の反逆
    大衆とは、閉鎖的で凡俗。凡俗であることの権利を主張し、その一方で無気力。国家へ主張することの意味を自覚しない。この存在が集合体となれば、国家はおろか国際社会をも脅かす強大な力となる。世界で保護主義が蔓延しつつあるいまだからこそ、読んでおくべき一冊。
  • 大衆の反逆
    激高した労働者が武装蜂起、世界初の労働者政権(パリコミューン)が成立(1871)。▼労働者たちは、労働運動など集団になると一体感をもち、無意識に同一の方向に動く。個々の労働者の性質とは異なる集団の精神が生まれる。▼群衆は衝動で動き、他人の言葉を軽率に信じこむ。熱しやすく冷めやすい。大衆主導の民主主義...続きを読む
  • 大衆の反逆
    この本は、1930年にスペインで生まれのオルテガによって書かれたものですが、現在の日本の「空気感」、「閉塞感」や、経済的にもピークを超えた日本の社会状況ととても似ていて、内容的にも新刊本を読んでいる感じになり、驚きました。
    過去にも同じような社会状況が繰り返されており、現在読んでも、とても参考になる...続きを読む
  • 大衆の反逆
    私が在籍する研究室に残された先輩の研究ノートに本書の一節が書かれていたため、手に取ってみた。
     彼の言っていることをただ当時の人間に投げかけている言葉だと捉えずに、現代に生きる自分や世間の人間に照らし合わせてみれば、おそらく思い当たる節がいくつも見つかるのではないだろうか。ただ、突然やけに専門的かつ...続きを読む
  • 大衆の反逆
    個人の生の充実。運命を受け入れること。国家の概念。大衆が「慢心しきったお坊ちゃん」となることへの警鐘。
  • 大衆の反逆
    和訳がこなれているとはいえ、自分には難しく、読むのに約1ヶ月かかってしまった。
    前半は、衆愚化に関する考察が長く、やや退屈であったが、社会や国家に関するくだりを読んで、著者が伝えたいことが、ようやく納得出来た。
    国家とは共通の未来を共有するもの、というフレーズが特に印象に残った。
  • 大衆の反逆
    どうも、この本は「大衆」の存在や生き方を批判した本ではないように感じた。
    大衆をキーワードにヨーロッパの歴史の紐解きや社会の在り方を説いた書であるように感じた。
    そうだ、社会や歴史に関する本なのだ。この本は。
  • 大衆の反逆
    【印象に残った話】
    ・大衆とそうでないものの違いは以下の通り
     ・大衆:自分自身に特殊な価値を認めず、自分は「すべての人」と同じだと信じ、それに喜びを見出すすべての人間
     ・大衆ではないもの:自らの能力に不満を覚えていたとしても、常に多くを自らに求める者
    ・大衆の国家に対する態度は以下の通り
     ・自...続きを読む
  • 大衆の反逆
    全ての意見に賛成という訳では無いですが、耳障りの良い正論ばかりでは無い魂のこもった文章で、また新たな視点に気づく事が出来た作品でした♪

    ところどころカチンと来るところもありますしこんな生き方は息苦しいと思ってしまいますが、過去に無敵艦隊とまで呼ばれていたスペインの凋落ぶり・無気力ぶりに喝を入れよう...続きを読む