オルテガ・イ・ガセットのレビュー一覧

  • 大衆の反逆

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    和訳がこなれているとはいえ、自分には難しく、読むのに約1ヶ月かかってしまった。
    前半は、衆愚化に関する考察が長く、やや退屈であったが、社会や国家に関するくだりを読んで、著者が伝えたいことが、ようやく納得出来た。
    国家とは共通の未来を共有するもの、というフレーズが特に印象に残った。

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    2021年08月16日
  • 大衆の反逆

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    どうも、この本は「大衆」の存在や生き方を批判した本ではないように感じた。
    大衆をキーワードにヨーロッパの歴史の紐解きや社会の在り方を説いた書であるように感じた。
    そうだ、社会や歴史に関する本なのだ。この本は。

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    2021年06月07日
  • 大衆の反逆

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    【印象に残った話】
    ・大衆とそうでないものの違いは以下の通り
     ・大衆:自分自身に特殊な価値を認めず、自分は「すべての人」と同じだと信じ、それに喜びを見出すすべての人間
     ・大衆ではないもの:自らの能力に不満を覚えていたとしても、常に多くを自らに求める者
    ・大衆の国家に対する態度は以下の通り
     ・自分のものと信じこんでいる
     ・何か問題が起きたとき、国家がそれに対して責任を取り、直接手を下して解決すると思っている
    【考えたこと】
    ・新型コロナウイルスに対する政府の対応を非難し、その非難に応じて政府が対応方針を変更したとしてもさらにそれを非難する、今の日本の姿と重なる

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    2021年06月03日
  • 大衆の反逆

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    ネタバレ

    全ての意見に賛成という訳では無いですが、耳障りの良い正論ばかりでは無い魂のこもった文章で、また新たな視点に気づく事が出来た作品でした♪

    ところどころカチンと来るところもありますしこんな生き方は息苦しいと思ってしまいますが、過去に無敵艦隊とまで呼ばれていたスペインの凋落ぶり・無気力ぶりに喝を入れようとした教育者的使命感で書いた新聞記事として捉えると俄然価値のある作品に思えてくるから不思議。昔読んだ「E・H・カー」の「歴史とは何か」に書かれていた一節「歴史を研究する前に、歴史家を研究して下さい。そして、歴史家を研究する前に、歴史家の歴史的及び社会的環境を研究して下さい。歴史家は個人であると同時に

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    2021年03月18日
  • 大衆の反逆

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    熱狂を疑え。炎上をして、すぐに忘れるということが起こりがち。
    カーニバル的熱狂は超民主主義となり、保守ではない。

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    2021年02月20日
  • 大衆の反逆

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    1930年刊行で90年が経過。
    オルテガが指摘したように、大衆が大衆であることを認識しているだけならまだしも、大衆が凡俗ではなく一門の人間であると声高に主張するような時代になりつつあり、もはや軌道修正などはかれそうもないという絶望を感じつつ、コロナ禍でシステムの中にいることが当たり前ではないということに気づけた人たちがいるのは、もしかしたら意識を大きく変えられるチャンスなんじゃないかと思った。

    数学の公式を利用した物理学が天文学の分野で活かされていて、ピタゴラスが「星は動きながら音を出す。そして宇宙は音楽を奏でている」という言葉を残したように、独立しているであろう学問が実はすべて結びつきがあ

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    2020年11月19日
  • 大衆の反逆

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    この岩波文庫版は、プロローグ及びエピローグが併せ訳されており、著者オルテガが、いかなる時代状況の下で本書を著したかを窺わせるものであり、著者の思想を考える上でも大変参考になる。
    また、ご遺族が書かれた「訳者あとがきにかえて」は、訳者の人生を垣間見せてもらったが、母国語以外の著作に翻訳を通して触れる一般読者の胸を、強く打つものである。

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    2020年05月19日
  • 大衆の反逆

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    あらゆる語彙を尽くして大衆の悪口を書いているのでおもしろい、音楽の違法アプリを使用する人びとなんかを見ると、ここに描かれる大衆の姿というのは今も変わってないなと感じる。

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    2019年04月13日
  • 大衆の反逆

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    オルテガ 「大衆の反逆」。大衆社会への批判と国家観を論述した歴史哲学な本。ヒトラーの大衆操作と民族的国家観と 比較しながら読んだ。

    著者が伝えたかったのは、大衆を批判することで、人間のあるべき生き方。

    「歴史は 農業と同じく、谷間から養分を吸収するのであって山頂から ではない。社会の平均水準から養分を取るのであって、傑出した人からではない」

    大衆=平均人=慢心しきったお坊ちゃん
    大衆社会=大衆により平均化された社会
    *歴史的水準は向上した
    *生の水準は向上した

    ヒトラーは 大衆を言葉と権威で服従させたが、オルテガは 大衆を言葉で目覚めさせようとしたのではないか。国家観については ヒトラ

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    2019年04月12日
  • 大衆の反逆

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    エリートの政治から大衆の政治への転換による弊害について述べられたもので、1930年に書かれている。あくまでヨーロッパに焦点が当てられていることと過激な表現が多いことが気になるが、本質を鋭く突いており、とても二次大戦前に書かれたとは思えない。現代社会も状況は大きく変わっておらず、本書の意見を踏まえ物事を考察していくことは大事であろう。
    「大衆人はただ欲求のみを持っており、自分には権利だけがあると考え、義務を持っているなどとは考えもしない」p23
    「今日の虎は六千年前の虎とまったく同じである。というのは、虎は一頭一頭、あたかも以前に虎など存在していなかったのごとく、新たに虎としての存在をはじめな

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    2018年11月12日
  • 大衆の反逆

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    全部が全部ではないのだが、ところどころグッとくる記述がある。「一般人が専門家を尊敬しなくなり、専門的な知識でさえ、一般人の直感とそぐわなければバカにする」といったくだりは、今まさに、2ちゃんねるとかみてると、連日のように書き込まれている内容そのものだと思う。ほかにも、大衆というより、オタクの説明かと思うような箇所もあり、その新しさ、今でも通用する度に驚いた。なんとなく、再読するとまた新たな発見のありそうな本。ちなみに、前から気になってて、たまたまブックフェアで安く売ってたから買った。""

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    2018年11月06日
  • 大衆の反逆

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    きわめて強力でありながら同時に自分自身の運命に確信が持てない、自分の力に誇りを持ちながら、その力を恐れている時代。優越感と不安感の入り混じり。
    大衆⇔貴族:努力の人、優れた人というに等しい。つねに自己を超克し、おのれの義務と要求を強く自覚して、既成の自己を超えてゆく態度を持つ者。
    大衆が国家という匿名化された機械を使う
    アメリカはヨーロッパから生み出された若返りにすぎない
    アメリカが優れているのは市場が広大である事の結果にすぎない
    国家(state)は一つの均衡状態を意味する。しかし平衡状態ということは、そのうちにダイナミズムが秘められているという事。
    ヨーロッパ各国のアイデンティティのほとん

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    2018年07月09日
  • 大衆の反逆

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    本気なのか?反語なのか?といった攻めている感じの文章がある。その先を続けてよく読めば本当に言いたいことが何かわかるが。センセーショナルな章タイトルや導入部の書き方は、新聞のキャッチ―な見出しやリード(前文)に通じるものがある。
    「大衆とは、良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出している」という部分で、自分のことを言われているようだった。
    「研究者の仕事がますます専門化する」「科学者が一世代ごとにますます狭くなる知的活動分野に閉じこもってゆく」「自己の限界内に閉じこもりそこで慢心する人間」といった言葉は、思想を持つために知を

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    2018年02月27日
  • 大衆の反逆

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    スペインの哲学者オルテガによる1930年に発表された著作。
    二つの世界大戦の間で、ファシズムが台頭しつつあったヨーロッパという環境下で書かれ、欧州各国でベストセラーになったと言う。
    本書で著者は、
    ◆社会は、特別の資質を備えた個人である「少数者」と、特別な資質を持っていない「大衆」に二分され、「大衆」とは「自分に特別な価値を認めようとはせず、自分はすべての人と同じであるというふうに・・・他の人々と同一であると感ずることに喜びを見いだしているようなすべての人」である。「大衆」を生み出したのは「自由民主主義」と「科学的実験」と「工業化」であるが、1930年代のヨーロッパでは「大衆」が社会的権力の座

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    2016年01月11日
  • 大衆の反逆

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    原著が書かれたのが1930年。訳書の初出が1953年、神吉訳が67年。そして神吉訳がちくま学芸文庫で再版されたのが95年、いま手元にあるのはその二十二版で2014年発行。

    2015年になってから読んだ本書は、あと十数年で原著の出版から一世紀が経とうとしているが、未だに色褪せないばかりか、今日の社会の様相をよく言い当てているという感じがする。

    今日的に解釈しなおすべき部分があるとすれば、それは大衆の可視的な現象が都市の中だけでなく、インターネット上に現れているということである。大衆による無知の押し付け、私刑(リンチ)の執行は、見えない暴力として目に見える形で人を襲っている。技術によってインタ

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    2015年09月10日
  • 大衆の反逆

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    1930年の本だそうな。
    当時のヨーロッパにおける国家、そして大衆の在り方について書かれた本だが、現代にも当てはまる事が多くて驚く。予言、と言ってもいい。

    現代「大衆」とは何なのか。国家の中でどうあるべきなのか。
    しかし難しかった‥

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    2015年05月31日
  • 大衆の反逆

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    有名な“大衆批判”の書。
    大衆を批判できる者は、当然「自分は大衆の一人ではない」と自覚していなければならないはずだ。 どんな上から目線やねん……と“大衆根性”丸出しで読み始めたら、早々にねじまがった根性を叩き直されるような一文に遭遇。

    (以下、引用)
    『一般に「選ばれた少数者」について語る場合、悪意からこの言葉の意味を歪曲してしまうのが普通である。つまり人々は、選ばれた者とは、われこそは他に優る者なりと信じ込んでいる僭越な人間ではなく、たとえ自力で達成しえなくても、他の人々以上に自分自身に対して、多くしかも高度な要求を課す人のことである、ということを知りながら知らぬふりをして議論してい

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    2014年12月05日
  • 大衆の反逆

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    翻訳が非常に読み辛かった。ヨーロッパや貴族を高潔とする固定観念が感じられたが、本書では没落しつつあるヨーロッパの国々に対する警鐘を唱えている。

    『ところが今日では、大衆は、彼らが喫茶店での話題から得た結論を実社会に強制し、それに法の力を与える権利を持っていると信じているのである。』

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    2025年08月09日
  • 大衆の反逆

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    大衆社会論の名著。デモクラシーとテクノロジーの興隆によって誕生した大衆社会は、歴史を顧みず、自己満足した空虚な人々が前面に出てくる社会だ。

    大衆とは階級のことではなく、いわば精神の持ちよう。専門家であっても、総合知へ向かわず、対話しないタコツボ知識人であれば、大衆と同じだ。大衆とはいわば甘やかされた子供、「満足しきったお坊ちゃん」である。

    そんな大衆が支配する社会はかつてなく野蛮なものだ。発刊から1世紀たってもなお、その指摘は重要だ。特に現代、「1億総発信」の時代だからこそ、大衆への警戒は必要だ。

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    2022年11月18日
  • 大衆の反逆

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    1930年にスペインで出版された、当時の政治・社会に占める「大衆」に対する批判本。正直読みにくいし、あまり頭に入って来ない箇所も多いが、本書が単なる大衆批判の裏返しとしてエリートを賛美している訳ではないことが、分かった。むしろ、著者は専門家に無責任という大衆的な要素が蔓延っていることに批判的である。また、進歩史観に否定的な点もポピュリズムによる民主主義の後退が懸念される今日においては示唆的である。

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    2021年12月08日