堀田善衛のレビュー一覧
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単行本は1979年刊。77年~79年に雑誌や新聞に載せたエッセイ、19篇を収める。舞台はもちろんスペイン。
5年かかった『ゴヤ』の執筆を終えたら、アラ還。思い切って、憧れのスペイン生活に突入した。驚くのは、その文章の若々しさ。『ゴヤ』で燃え尽きてしまったのかと思いきや、不死鳥のように蘇った。
75年のフランコの死去以降、スペインがどうなったのかも書いている。シリアスな話題も、どこかに笑いがある。なかでも傑作は「ゴヤの墓」。ゴヤの遺骨やお墓のことなのに、不謹慎ながら、読むほうは爆笑してしまう。「グラナダの夏」「ゴヤと怪物」「フランコ、頑張れ」「いわゆる王侯貴族なるものについて」も同様。傑作揃い。 -
Posted by ブクログ
「戦後10年」のタイミングで発表された「8月15日もの」小説の問題作。
物語は日本列島空襲が始まった1944年12月から、米軍占領が始まる1945年9月までの時間をカバーする。語りは元外交官の妻で、いまは「和平派」の枢密顧問官・深田の私設秘書として活動する石射康子と、米国帰りのジャーナリストで、深田ら「和平派」高官のための情報収集を行っている伊沢信彦、その二人を足がかりに「和平派」の高官を検挙しようと付け狙う特高の井田一作を中心に展開する。日本敗戦の時間を辿り直すという意味では石川達三の『風にそよぐ葦』と似ているが、石川の小説のような、「良心的知識人」の自己正当化・自己合理化は見られない。