松戸清裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ソ連指導部は民意の調達に躍起になっていて、人民からの手紙やら果ては投票用紙の余白への書き込み(!)もその手段であったということには驚いた。
手堅く淡々とした記述なのでややもするとモノトーンになるのだが、ゴルバチョフの手記からの引用が彩りを添えるアクセントになっている。
で、そのゴルバチョフの改革はすべて裏目裏目に出て(ある意味で失政)、結局「ソ連史」の幕引きとなったというのは皮肉。
それにしても。
計画経済や民主集中制は少なくとも理念においては人間の理性や良心に依拠したものだと思うのだけれども、その社会主義が、神の見えざる手だの相互不信(権力分立制)に依拠する資本主義・自由主義に敗れたという -
Posted by ブクログ
新書でお手軽だったからタイトル買いした一冊。ソ連の誕生から解体までコンパクトにまとまってはいるのだが、「革命当初から不安定だった体制がなぜ持ちこたえ、第二次大戦にも勝利したのか」「経済政策や農業政策は生活を脅かすほど失敗していたのになぜ国民は一定の期待と支持を続けたのか」「ゴルバチョフの書記長就任から数年で連邦解体に至ったのはなぜか」といったことが今一つ明確になっていないように感じられた。一律的なイメージではとらえられない試行錯誤の歴史があったのはわかるのだが、結果的に70年以上も体制を維持しえた裏にあるものについて深掘りできていればもっと興味深かったかもしれない。