石黒耀のレビュー一覧
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火山に造詣が深く半端ない知識をお持ちのお医者様が書かれた大噴火パニック小説。南九州に実在する加久藤カルデラの噴火と、それに伴っておこる各種の災害の描写は凄まじく、かつ進行の様がロジカルに描かれていて、ある種シミュレーションの解説のようでもありますが、そのリアルさゆえに恐怖を感じます。主人公と近しい人々はかなり運が良くご都合主義的なところもありますが、読み物として、悲惨な情景描写とのバランスをとることを重視されたのかもしれません。過去に何度も実際に起こり、今後も十分に起こりうる自然活動による巨大災害について、また改めて考えさせられる一冊。
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Posted by ブクログ
東日本大震災の記憶はまだ新しい。
大規模な地震の影響で津波が起き、本当に多くの人たちが犠牲になった。
そして、福島第一原発の原子力事故により被害はさらに拡大していった。
災害小説だと思い込んで読み始めたのだけれど、どうにも話が別の方向に向かっている。
主人公の住む町内である日突然地上げ攻勢が始まる。
次々と土地を売り離れていく住民たち。
残った人たちは必死に連携を強めていくが、町内会長である主人公の父は必然的に矢面に立つことが多くなる。
空き家となった家には地上げの張本人であるやくざたちが引っ越してきた。
やがて嫌がらせが始まり、ついには愛娘の命が失われる。
地震を中心にした物語だと思っていた -
Posted by ブクログ
東海・東南海連動地震に見舞われた、名古屋を描いた小説。2004年、講談社より刊行されたモノの文庫化。
東日本大震災の際、大津波に見舞われましたが、この小説でも名古屋が津波に見舞われる想定になっています。しかも(!)、地震に伴い浜岡原発が電源を失い、冷却機能を喪失。そして、水素爆発を引き起こす過程など、福島第一原発事故を知っていたのではないかと思うような事態が描かれています。
話としては、地震を契機に良からぬことを目論む輩と、それに対抗しようとする家族の物語なので、ディザスター小説と思うと、ちょっと外されますが、それにしても上記の浜岡原発の事故の描き方などにはビックリします。地震の想定なども -
Posted by ブクログ
『死都日本』『震災列島』に続く、日本が舞台のディザスターノベル第三弾。
3.11の東日本大震災後に文庫本として出たので、巻末の「解説」、「著者あとがき」共に、東日本大震災に言及しています。特に、「著者あとがき」では、『死都日本』で使用済核燃料貯蔵プールの危険性に付いて記した点について言及し、福島第一原発事故を「素人でも予測できるレベルの原発事故」と糾弾しています。確かに、『死都日本』を読んだときは、そのプロットが東日本大震災に似ていて、驚きました。
さて、このシリーズも第三弾となり、著者も慣れてきたのでしょうか? 前二作はどちらかと言うと、想定される事態を小説として頑張って纏めたという感じ