この本を読もうと思ったきっかけは、ワシントン・インディペンデント・レビュー・ブックスの「もしも環境の現状について誰もが読むべき本を一冊選ぶとすれば、それは本書だ」という推奨文だった。しかも「感情に流されず、ユーモアを交えたわかりやすい文章で、気候変動について説明する偉業」とまで書かれている。こんな風に言われたら、思わず期待してしまうではないか。実際、環境に関する書籍の多くは、数字やデータの満載と専門用語の多用が読書意欲のブレーキになることが多い。ノルウェー科学文学アカデミーのメンバーである筆者ホープ・ヤーレンは、自らの幼少期の思い出と温暖化が進んだ現代の違いを、ワールドワイドなデータを駆使しながら、平易な表現で、しかもちょっぴりシニカルでウイットに富んだ表現で語りかけてくれる。我々が今何をなすべきかを調べるためのヒントも事細かく紹介。原題は「The Story of More」。邦題と装丁もなかなかにキャッチ―だ。