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一体どうしたら自分は人間になれるのだろう。
当たり前に愛される人間の子供に。
タワマンを舞台に電話詐欺の嘘によって結びつく偽物の母と息子。
“前科”のある中学教師と孤独な少女。
悲しみを抱えた二人が出会うとき、世界は色を変える。
『昨日壊れはじめた世界で』が話題沸騰のオール讀物新人賞作家の、痛々しいほど危うく美しい傑作短編集。
四六時中わけもなく淋しくて、悲しくて、心許ない。
まるで私たちの足元にはちゃんとした地面がないかのようだ。──「水に立つ人」
人魚姫が王子を刺せなかったなんて、やっぱりウソだ。いつの間に引っ張り出したのか、赤い万能ナイフは陽の手の中にあった──「やわらかな足で人魚は」
この短編集の五人の主人公たちは、皆、「どこにでもいるけれども、悲しみを抱えているとは傍目に分からない人たち」だ。
香月夕花の描く世界は、どこまでも儚く、残酷で、美しい。
満場一致でオール讀物新人賞を受賞したデビュー作「水に立つ人」と同名の短編集を改題し、「逃げていく緑の男」を追加して再構成。
解説:川本三郎
※この電子書籍は2016年10月に文藝春秋より刊行された単行本『水に立つ人』の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2023年10月18日
5つの短編から構成された本。
どの話も良かったが、自分は特に4話目の水に立つ人がお気に入り。
来るはずのない人を、全国各地の聖堂を巡りながら待つという、一見めちゃくちゃな女性教師の心境に強く共感した。
香月夕花さんの本は、時に社会が抱える闇に鋭く切り込み、時に人間の心情を深く考察し、時に心を揺さぶる...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月15日
初読みの香月さん♬とても良かった〜!
5編の短編集です。
なんとなく柔らかくて優しいイメージを勝手に抱いてたけど、描いてたイメージとはちょっと違ってわりとビターな印象でした。
それぞれの主人公の「悲しみ」を描いた作品。
香月さんの描く文章が凄く好きでした。
直接的に感情に訴えかけてくる様な感じではな...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月31日
"はじめまして"の香月夕花さんは、とても印象深かった。 この文章、好みです。
離婚・貧困・不登校・犯罪など、愛不在の悲しい子どもたち・大人たち。心やすらげる居場所がない。
そんな哀しみをまとった人々の物語。
でも、哀しいだけの物語ではない。温かさがある。
だが、物語は、憐れみ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月14日
他人に触れてほしくない心の暗い部分を描いた内容が多く、個人的には読んでいて苦しかった。
特に「水風船が壊れる朝に」は、何の苦労もなく生きてきたように見える天海に対し、深く傷ついている澪の八つ当たりのようなシーンは読んでいて澪の気持ちも天海の気持ちも考えるととても苦しかった。
「水に立つ人」も、アルバ...続きを読む
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