久しぶりに目から鱗がボロボロ落ちた本。カウンセリングについて、まったく知識が無い私にも、過不足無く教えてくれる。しかも平易な語り口でたいへん読みやすい。こんな理想的なテキストがあるだろうか。今まで感動を揺さぶられた本とかに★5つ付けてましたが、学びの本に★5つつけるのは初めてです。
カウンセリングについて、もともとはあまり興味が無くというか少し避けているところがあった。今回、まぁちょっと入り口だけでも知ってみようかなくらいな気持ちで授業を取り、基礎の基礎としてこの本を読んでいる。読みながらうっすらわかってきたのが、カウンセラーという役割?職業?はそうそう簡単にやれるものではないということ。問われるのは自分自身の人間性。そのうえで絶え間ない自己研鑽も必要だ。心のことで悩んでいる人(クライエント)に寄り添い、相手の心を自分の心に鏡のように映すように理解し、さらにクライエント自身で解決に向かえるようにする。だから自分の心は「良き鏡」でなければならない。正しいとかそういう意味ではなく、相手の姿をきちんと映し出せて、かつ相手が気づかないあるいは気づいているけど上手く見せられてない部分も映し出すような鏡。あまり相手に入り込みすぎても良くないだろうし、「治してあげる」「改善してあげる」姿勢もダメだろう。そうそう目指せる仕事ではないなとちょっとおじけづいてしまう。それにカウンセラーにはすごく人生経験が必要なのではないいか。学校出てすぐに出来るものではないなとか。
一方で、(この本には書いてないけど)、カウンセラーの社会的地位についてはなかなか課題が多そうな気がする。医者とか裁判官とかと同じ、人間性・倫理性が問われる役割(仕事)だが、医者もどき、裁判官もどき、はいないのに、カウンセラーもどき、は存在しているのではないか。それは心や精神というものは目に見えない、わかりにくいもので、一人一人すべて違っていて、この怪我にはこの薬や治療法などのように分かっている症例のようにも、あるいは膨大な判例を参考にするわけにもいかない。そして、たとえばちょっとした安心が欲しい人には、朝のテレビの占いの結果が良かっただけでもその日1日自信を持って過ごせちゃうってこともあって、人の気持ちなんて本当に気の持ちようってところもあるから、「カウンセラー」の役割もわかりにくい。そこに占いや宗教なんかが絡んでくると、ますます怪しげで不確かな物になっていく。病は精神科医の範疇だから、カウンセラーは、言うなれば、心のコーチとかトレーナーとか、そんな感じ?人間がよりよい人生の選択をして、well being より良く生きていけるよう、そしてそれが自分自身でできるよう、手助けをしていく。みんなが健全な魂で生きられればカウンセラーはいらないだろうが、それができないくらい、人間は健全な魂では生きられないものなのだと感じいった。