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Posted by ブクログ
登場人物がみんな優しい暖かい物語だった。カフェ古街で働く万結は、人の嘘がわかる能力を持っていた。そのせいで子供の頃から人との距離で悩んでいた。そんな中、姪の実乃里が不登校になっていると姉から相談され、絵画教室に付き添いで行く事に・・・講師の和樹と出会ったが彼にも問題があるみたいで。否定的な言葉を決して言わない彼に、実乃里も次第に心を開いていき、懐いていった。万結と和樹もお互い気になりだしたが、過去の事でなかなか踏み出せず。絵画教室の人達も、家族もみんな優しくて、どんな自分でも受け入れてくれる環境で、実乃里も万結も次第に前向きになっていき・・・勇気をもらえる作品だった。
Posted by ブクログ
「私たちは魔法が使える」と聞いて、どう思うだろうか。何を幼稚園児みたいなことを言っているんだ、使えるわけがない、と思う人が多数だと思う。少なくとも私もそうだった。
「カフェ」の言葉でなんとなく手に取り、小学生の頃にハーブの薬屋を営む女の子の話が好きだったため、面白そうだと思った。この本のあらすじには、「魔法」「魔女修行」「ウソがわかる能力」というような非現実味を帯びた言葉があり、ファンタジー物語なのかと思っていたが、実際は違った。いや、半分はそうで半分は違うと言った方が正確かもしれない。
主人公の万結は、ウソがわかる能力のせいで人を言じられないハーブカフェの店員である。嘘をつく人の声にノイズがまじったり、体から赤いもやが見えたりするのだ。もし自分がそんな能力をもっていたら、あまり嬉しくないかもしれない。人を信じられなくなった万結の気持ちが分かる。人の気持ちに関して何でもかんでも知っていれば得をするわけではないと思うから。それが直感ではなく聴覚や視覚で分かるというのも落ち着かない気がする。
そこで私は、「嘘」について調べてみた。広辞苑には、「真実でないこと。」「正しくないこと。」「適当でないこと。」とあるが、嘘をつくことは、必ずしも悪い行為とは言えないと思う。人は誰でも嘘をつく。
こう言われて否定はできないだろう。ここで注目したいのは、他人をかばうためや、守るための「擁護の嘘」だ。四種類ある嘘のうちの1つらしい。これは嘘の中でも比較的お互いに幸せになれる優しい嘘だと思った。
この本に考えさせられたことがもう一つある。それは、「優しさ」について。優しさには、たくさんの種類がある。例えば、悩んでいる友達を応扱したいとき。近すぎず遠すぎないところからそっと見守る、寄り添ってそばにいる、言葉で励ます、目に見えるよう形に表す、一人になる時間を与えるなどの離す優しさ、私がなんとかする!というような強く引っぱる優しさ。もちろんどれが適切な優しさかどうかはその時の状況や相手の性格にもよる。擁護の嘘も優しさも、使い方を間違えれば逆効果になってしまう。難しいところだが、私はこの優しさを使い分けることができる人になりたいと思った。
さて、始めの話に戻る。「私たちは魔法が使えるのか」という話である。結論として、私は「使える」と思った。それはおとぎ話に出てくるような魔法使いが使ういわゆる魔法ではないが、人を励ましたり、喜ばせたり、幸せな気持ちにしたり、楽しませたり、勇気を与えたり。
考え方を変えれば、これらは私たちが使える「魔法」ではないだろうか。
本の中で万結が用意するお客さんに合わせたハーブティーや料理は、「魔法」のように心を和ませ、穏やかにしていた。そして私は、今まで出会ったたくさんの人たちが「魔法」をかけてくれていたから、今の自分があるということに気づかされた。だからこれからは、私が周りに「魔法」をかけられるような存在になりたい。心に傷を抱え、不器用ながらも優しく強く生きる登場人物たちに出会えて良かった。
Posted by ブクログ
人の痛みを自分の痛みのように感じられる姪御ちゃんが少しでも生きやすい世界になってほしいなと願ってやまない。
心を閉ざしていたこの子が段々心を開いていく過程が愛おしい。
その心を閉ざす原因になった事件は酷いけれども。
毒親にして毒子あり。
あんな親にはなりたくないものだ。
と言いつつも、劇的には世界は変わらない。
姪御ちゃんの件もそうだが、主人公と先生との関係性もそう。
この二人の関係性はこの先どうなるのか、どうとでも取れる形で物語は終わる。
果たして、主人公は過去の恋愛のように彼に拒絶されてしまうのか。
それとも、受け入れてくれるのか。
初読時はすっきりしない終わり方だなと多少不満を覚えたけれど、今にして思うと終わりを濁した方がこの世界観には合っているのかもしれない。
自分のためにではなく、他人のために魔法を使う魔法使いの修行は、まだまだ始まったばかりなのだから。
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