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Posted by ブクログ
日本史の最新事情に基づく論点を網羅した本。
通説ではない見方は、あらためて新鮮。
歴史に関しては、基本書として教科書があるが、むしろ教科書よりもこうした論点解説や読書案内が適当なのではないだろうか、と考え読み始めた。時代ごとの概要が最初に書いてあり、ちょうど良い分量で日本史全体をたどることができるのはかなり重宝することがわかった。
各章は、それぞれの専門家によって書かれている。
ただ、あとからサブタイトルをつけたのか、論点が必ずしも論点になっていなかったりする。専門家がなぜそれを論点とするのかがもっとはっきり書かれているともっとよかった。
古代
邪馬台国はどこにあったのか
大王はどこまでたどれるか
大化改新はあったのか、なかったのか
女帝と道鏡は何を目指していたのか
墾田永年私財法で律令制は崩れていったのか
武士はなぜ、どのように台頭したのか
中世
中世はいつ始まったか
鎌倉幕府はどのように成立したか
元寇勝利の理由は神風なのか
南朝はなぜすぐに滅びなかったか
応仁の乱は画期だったか
戦国時代の戦争はどのようだったか
近世
大名や旗本は封建領主か、それとも官僚か
江戸時代の首都は京都か、江戸か
日本人は鎖国によって閉ざされていた、本当か
江戸の社会は家柄重視か、実力主義か
「平和」の土台は武力か、教育か
明治維新は江戸の否定か、江戸の達成か
近代
明治維新は革命だったのか
なぜ官僚主導の近代国家が生まれたのか
大正デモクラシーとは何だったのか
戦争は日本に何をもたらしたか
大日本帝国とは何だったのか
現代
いつまでが「戦後」なのか
吉田路線は日本に何を残したか
田中角栄は名宰相なのか
戦後日本はなぜ高度成長できたのか
象徴天皇制はなぜ続いているのか
Posted by ブクログ
中公新書2500点を記念して出版された一冊。古代、中世から現代まで、5人の専門家が最新の学説を踏まえ論述されています。
いつの間にか鎌倉幕府は1192年ではなく、「戦国大名」は「地域勢力」と呼ばれるなど、知識のアップデートの大切さを再認識しました。
江戸時代に関する指摘は、特に示唆に富みます。
従来の「江戸時代=封建制=農民は搾取される存在」は、マルクス・唯物史観。戦後の農地解放を進めるうえで、農村=封建制というフィクションを作る必要があった。江戸をはじめとする都市研究が進んだ現在では、農民の次男三男は都市にでて町民になるし、町民で豊かなものは侍株を買って侍になるし、逆に侍が嫌で俳諧師や医師、絵師になるものがいるなど、「家」制度自体は堅固だけれど、その中でも個人はかなりの部分、地域・身分をこえて動ける、非常にフレキシブルな社会だったことが明らかになっている。
「鎖国=閉鎖的」というのも事実と異なる。従来から、長崎(オランダ・中国)、対馬(朝鮮)、薩摩(琉球)、松前(アイヌ)と4つの交易窓口をもっていた。日米修好通商条約以降、窓口を8つ(+横浜、神戸、新潟、函館)に増やした。ゼロ→100ではなく、4→8という連続性をもった政策変更だった点が見逃されている。
これまで、江戸と明治は断絶の側面が強調されてきた。幕府を倒した明治政府が自らの正当性、革新性を強調するため、必要以上に江戸時代をネガティブに捉え(そして宣伝し)たという側面に留意しなければならない。実際、議会の二院制については幕臣の西周も構想していたし、先進的な幕府官僚たちは列強に立ち向かうため近代軍制の整備を進めていた。明治は江戸の克服ではなく、江戸の完成形とみたほうが見通しが立ちやすい。
中国では王朝交替のたびに、前王朝の歴史が書かれます。その際、倒した側は自らの正当性を主張するため、旧王朝の初期は善く記述し、末期に進むにしたがって、これこれの悪い行いがあって民心が離れた(ので、倒されても当然だった)と書くのだそうです。彼の国の権力闘争は筆舌に尽くしがたいからなあと、のんびり構えていたのですが、知らず知らず、その手に乗ってしまっていたようです。実証的な歴史研究の大切さがわかる著作だと思います。
Posted by ブクログ
本書は、古代(倉本一宏・国際日本文化研究センター教授)、中世(今谷明・帝京大学特任教授)、近世(大石学・東京学芸大学教授)、近代(清水唯一朗・慶応義塾大学教授)、現代(宮城大蔵・上智大学教授)のそれぞれについて、学会で注目されている最新テーマから歴史ファンが関心をもつ謎まで、29の論点について、それぞれの時代を研究する気鋭の研究者が解説している。
取り上げられているのは、どれも日本史を考える上で興味深い論点ばかりで、日本史好きにはたまらない一冊である。これを読めば、日本史を古代から現代まで、一通り振り返りつつ、最新の学説についても理解を深められる。
一方、こういうコンセプトの本の場合、自説は控え目にして、従来の説を踏まえた上で、最新の学説をバランスよく紹介してほしいところだが、各章を担当する研究者によって、そのあたりがあまり統一されていないのは少し残念だった。中世や近代は、期待どおりの記述であったが、古代や近世は担当者の自説にかなり偏っているように感じた。ただ、紹介されている自説自体は、新規性のある視点が多く、なかなか興味深かいものではあったが。冒頭の「邪馬台国はどこにあったのか」で、十分な論証もなく、邪馬台国は九州にあり、近畿の倭政権と並列していたと断定調で書かれているのは、流石にいかがなものかと思った。
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