Posted by ブクログ
2019年12月14日
近年の日本プロスポーツ界に参入したサッカーやバスケットボール界は、下部組織を含めて多くのチームが競い合い、選手の流動化、代表チームの強化で盛り上がっている。年々、着実に進歩していることがよく見える。
その一方、歴史ある野球界はどうか。トップリーグであるNPBはチーム数がずっと固定され、FA制度など...続きを読むの選手の移動も盛り上がりに欠ける。日本代表チームも辞退者が多い。さらには、競技人口も減少している。
このまま野球人気は衰退し、消滅してしまうのか。小学生野球から軟式野球、甲子園、そしてプロ野球とあらゆる野球階層の取材を通して、著者は消滅しつつある日本野球界の現状とその対策を分析する。
本書を読み終えて思うのは、日本野球界にはリーダーシップが欠けていることだ。様々な団体が勝手に予算を使って大会を開催するため、強いチームは引っ張りだこ。年間100試合をこなす小学生野球チームもあるという。その一方で弱いチームや選手は出場できる公式戦はほとんどない。その結果、才能のある選手は負担増で故障し、才能のない選手は成長する前に競技を離れる。そんな悪循環。
そもそも、日本野球界を引っ張るべきはプロリーグのNPBであるべきだが、そのNPB内部ですら、セ・リーグとパ・リーグの連携が取れておらず、トップのはずのコミッショナーは名誉職。これでは日本野球界全体の調整役は果たせない。
野球がスポーツの中で圧倒的人気を誇っていた時代はもう終わった。やがて、複雑なルールとカネのかかる道具が必要なマイナースポーツとして扱われる時代が来ることは間違いない。