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2018年1月に逝去した政治家・野中広務の生涯。政敵とは徹底的に闘う、強面のイメージが強かった。だが、その一方で、戦争を憎み、沖縄に寄り沿い、平和を愛した政治家でもあった。その素顔に迫る。
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実は優しかった?
全く額に汗しないタイプの人間である私が意見して良いものか、とは考えましたが……やはり頗る名著なのでレビューします。 難しい政治の話は疎くて理解しきれなかったものの、本書を通じて伝わってくるものがありました。 野中氏は、最後まで優しさを貫いた政治家だったのでは、という事です。 故人・加藤紘一さんの様...続きを読むな「人間は優しくなくては」と自分に言い聞かせるタイプのソフトな優しさとも違って、「ここで優しさは邪魔だ!」という場面でも、どうしても人への優しさを捨てられず、現実との狭間に相当苦しんだのではないか。そうした苦労は、生まれ持っての良心が無いと耐えきれないと思います。 人生の境遇において必ずしも恵まれてはいなかったのでしょう、人相はハッキリ言って恐い、悪人面でいらっしゃいました。だけど心の根は温かかったと信じられる数少ない権力者です。(上に立つと誰でも冷徹になってしまいますから……) ずっと生きていて欲しかった、ただそれだと彼の有難みが分からなかった気もします。 気持ちがささくれた時、野中氏の折れない優しさとそんな御人柄に触れてみたい時、ぜひ一読をおすすめします。
#深い
Posted by ブクログ
【愛のない社会は暗黒であり、汗のない社会は堕落である】(文中より引用) 戦後保守政治の体現者であると同時に、時に「旧体制」の代表のようにも目された野中広務。弱者に寄り添う姿勢を常に保ちながら、同時に「政界の狙撃手」とも呼ばれた複雑な人間像に迫る作品です。著者は、日本テレビで総理官邸クラブのキャップ...続きを読むなどを歴任した菊池正史。 著者が本作で指摘するように、戦後政治を体現する政治家の一人が野中氏だったのかなとの思いを強く抱きました。著者の思いが強く滲み出た作品ではありますが、野中広務という人物を補助線としながら戦後の日本政治を俯瞰していく上で大変参考になる一冊かと。 「ひろむちゃん」というコントが昔あって......☆5つ
戦争を知り、部落差別を知るという昭和日本の暗黒面を体現した政治家。この本では、たたき上げの存在として野中広務を描き、エリートに対置している。 人がいかに歪み、いかに足掻くか。その生々しい軌跡である。そして平成日本が遠ざけてしまった人の生々しさである。
戦争は二度と起こさない。弱者を決して見捨てない。そのためならば平然と友を敵に回し、敵を友とした―権力闘争を挑み続け、「影の総理」「政界の狙撃手」と恐れられた男。硬と軟、恫喝と懐柔―強面の政治家が生涯を賭けて守ろうとしたものとは。
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