Posted by ブクログ
2020年12月09日
蓮の目的がついに明らかになり、物語は最終局面へ!画眉丸VSシジャ、盤古撃破、殊現VS蓮などアクションの見どころ満載。その中で描かれる人間のさまざまな愛の形。この作品はアクションに感情を乗せるのが本当に上手いなと。ここまで積み上げた人間ドラマが次々に花開いていくところがいいよね。
「闘争本能を失った...続きを読むわけじゃない 戦う場所が変わっただけだ」
画眉丸が妻と目指す“普通”を求める戦い。これも愛で、シジャが画眉丸に向ける気持ちもまた愛だった。「付け入る隙のない愛発見」で瞳に涙をにじませるのが憎い演出。シジャが最後に求めた愛は“普通”ではないものだったけど、でも愛には間違いないんだよね。表紙の笑顔を見た後に「ご武運を」の笑顔を見ると切なくなるね。
「正しい事など何一つできなかった でも おにいさんはちゃんとできました!」
この弔兵衛の台詞は泣けてきてしまった。どこまでも悪人として生きてきた弔兵衛。しかし、桐馬にだけはどこまでも善人だった。兄弟愛のために命を懸けた弔兵衛、悪人だとわかっていてもどこか憎めない。そういう感情の矛盾が心地よく感じられる作品。
そして、巌鉄斎が渋くていい味を出してるんだよね。この局面で二つ名の仕事をしっかりこなしてカッコよかった。最初は自分が最強になって名を残そうとしてばかりだったのが、相手の強さを認めて戦いを譲る男になったのがいいよね。対する殊現も命を燃やすのは山田家への愛ゆえのこと。その背景が描かれてより深みが増したと思う。
船上に集結する生存者たち。易の結果からすると相当な死闘を予感させる。画眉丸は屋号だから占い関係なく生存しそうだけど、女性陣はもうどうなることかと…。十禾の企み、桐馬の行方、殊現は敵に回るのか、蓮の目的を阻止できるのか。それぞれの愛ゆえの地獄。どう展開するのか目が離せない。