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『地獄楽』とは? 極楽浄土の孤島で仙薬を求めて戦う忍法浪漫活劇

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『地獄楽』とは?

★2023年7月5日 追記★
テレビアニメ「地獄楽」第2期制作決定!
※テレビアニメ第1期の続きは、原作マンガ5巻から読めます

主人公の死罪人:画眉丸を小林千晃、打ち首執行人:佐切を花守ゆみりが演じ、「呪術廻戦」「チェンソーマン」のMAPPAによるアニメーション制作や、millennium parade × 椎名林檎の主題歌も話題となり、テレビアニメ第1期は大好評のうちに最終回を迎えました。
現在、シリーズ累計発行部数が 400 万部を突破した大人気マンガ「地獄楽」を詳細解説した『ぶくまる』人気記事をプレイバック!
(原作8~9巻までのネタバレを含みますので、予めご了承ください。全13巻の刊行です。)

 

最強の忍が、「極楽浄土」と呼ばれる島で不老不死の仙薬を探すダークファンタジー『地獄楽』(ジゴクラク)。確固たる世界観と迫力のあるアクション描写、個性豊かなキャラクター、先が気になる展開などで人気沸騰中の今作について、基本情報や魅力、読者の感想をご紹介します。

刀を使った異形とのバトルやアクションもたっぷりなので、大ブームを巻き起こしている『鬼滅の刃』(集英社)ファンにもオススメです!

『地獄楽』とは?

まずは舞台設定や掲載誌をはじめとした基本的な情報と、大まかなあらすじをチェック!

『地獄楽』の基本情報

集英社の「週刊少年ジャンプ」が運営するWebサイト&漫画アプリ「少年ジャンプ+」にて、2018年1月~2021年1月まで連載された『地獄楽』。テレビアニメも話題の『チェンソーマン』を手がける藤本タツキ先生のアシスタントとして活躍していた賀来(かく)ゆうじ先生による今作は、スタイリッシュな絵柄と生死をテーマとした深い世界観で読者の心を鷲掴んでいます。

地獄楽

『地獄楽』のあらすじ

舞台は江戸時代の日本。抜け忍として捕らえられていた最強の忍・画眉丸(がびまる)は、修行により得た超人的な人体のため、あらゆる処刑方法でも死ぬことはありませんでした。

そんな中、画眉丸は「打ち首執行人」の山田浅ェ門 佐切(やまだあさえもん さぎり)に出会い、初めて死を身近に感じます。佐切が自分を殺す力を持っていると悟り、生への執着と妻への愛情を再認識する画眉丸。

そんな彼に対し、佐切は無罪放免となるための条件を提示します。
それは、極楽浄土と噂される島へ向かい、不老不死の薬・仙薬を手に入れること。画眉丸と佐切は、共に島に渡った死罪人&「浅ェ門」の肩書きを持つ山田家の面々と一緒に、島を支配する天仙たちと戦いながら薬を探します。

ただ殺す画眉丸

果たしてこの島は極楽か、それとも地獄か!?

『地獄楽』を試し読みする

『地獄楽』のキャラクター

たくさんのキャラクターが活躍する『地獄楽』の中から、特に重要なキャラクターをピックアップしてご紹介します。

画眉丸(がびまる)

元・石隠れ(いわがくれ)衆で最強の忍。心のない、がらんどうの化け物として、「がらんの画眉丸」という異名を持っています。

地獄楽のキャラクター:がらんの画眉丸

石隠れの里で愛する妻と静かに暮らそうとしていましたが、抜け忍として囚われの身となり、佐切と出会います。

小柄な体躯と真っ白な髪で一見軽薄な若者のようですが、その才能は圧巻。常軌を逸した修行により、火を吹き雲まで飛ぶという石隠れの忍の中でも、群を抜いた体捌きと体力、技のキレで他の死罪人を圧倒します。過去に石隠れの長と何かがあったのか、心のない殺人人形のようだった「がらん」の画眉丸が、島の中でリーダーシップを発揮するようになる過程には涙があふれます……(参観日に来た親の気持ち)。

地獄楽のキャラクター:画眉丸の妻・結(ゆい)

画眉丸が無罪を勝ち取ろうと奔走するのは、妻・結(ゆい)の元に帰りたいがため。
石隠れの長の娘である彼女は、顔の右半分に負った大きな傷をコンプレックスにしていますが、画眉丸は気にすることなく全てを愛しています。妻のことを語る画眉丸の、慈しみにあふれた表情は必見です。

山田浅ェ門 佐切(やまだあさえもん さぎり)

刀剣の試し斬りや処刑執行人を務め、“首斬り浅”と呼ばれる山田一族の娘。

地獄楽のキャラクター:山田浅ェ門 佐切(やまだあさえもん さぎり)

女性ながら刀剣の達人。人体の構造を知り尽くした「打ち首執行人」として、幕府から処刑を依頼されたことから画眉丸と出会います。

画眉丸のお目付役として島へ同行。殺すことの業に悩み、葛藤するうち、人間として「がらん」から変わっていく画眉丸の行く末を見届けたいと考えるようになります。
ほとんど敵なしの画眉丸を唯一怯ませる彼女の力が、島でどう役立つのかが見どころです。

 

■画眉丸と共に島に派遣された死罪人

杠(ゆずりは)

地獄楽のキャラクター:杠(ゆずりは)

肉感的なスタイルと露出度高めの衣装、美貌と色香で男をたらしこむ“傾主(けいしゅ)の杠”と呼ばれるくの一。打算的な性格で蓮っ葉な印象ですが、飲んだ薬剤を代謝し、それを操って皮膚から粘液として排出できる実力者。「自分さえ生き残ればいい」という考えから、画眉丸に共闘を持ちかけます。

亜左弔兵衛(あざ ちょうべい)

地獄楽のキャラクター:亜左弔兵衛(あざ ちょうべい)

通称“賊王”。元は武士の子でしたが、父親は処刑され、母親は病死。弟の桐馬(とうま)と2人で盗賊として生きていたところを捕まり、奉行所内で島行きを決めます。
腕力の強さ、強引さ、知略など特長は多々ありますが、最も特筆すべきは柔軟な適応力。すぐに状況を理解し、常に最良の手を選ぶ兄を桐馬は尊敬しています。

地獄楽のキャラクター:亜左兄弟

なお、桐馬は山田家に潜り込み、浅ェ門の一人として島に上陸。弔兵衛のお目付役として、共に行動することに成功します。

民谷巌鉄斎(たみや がんてつさい)

“剣龍”“八州無双”と呼ばれる剣豪。

地獄楽のキャラクター:民谷巌鉄斎(たみや がんてつさい)

豪放磊落、天下無双! 後世に語り継がれる剣豪になろうと息巻く野心家です。

ヌルガイ

山の民(サンカ)の若者。幕府に帰順せず、独自の文化を築いて山野を生きる“まつろわぬ民”として、幕府に目をつけられ捕縛されてしまいます。

地獄楽のキャラクター:ヌルガイ

ほかの死罪人とは異なり罪なく島に連行されたため、監視役の山田浅ェ門 典坐(てんざ)から熱く肩入れされています。

ヌルガイと典坐

その後、典坐の師である盲目の剣士・山田浅ェ門 士遠(しおん)とも合流。ヌルガイは士遠を「センセイ」と呼んで慕います。

ヌルガイと士遠

■島の住人

めい

地獄楽のキャラクター:ほうことめい

島(こたく)生まれ、島育ちの少女。幼い容姿ですが、義父のような存在である「木人(ほうこ)」と共に数百年は生きているようです。言葉が喋れませんでしたが、ある時突然成長し、それと同時にカタコトながら会話ができるように。天仙の一派である「リエン」に付けられたという背中の大きな傷がコンプレックスでしたが、傷もろとも存在を肯定してくれた画眉丸に懐きます。
木のような人間である「ほうこ」の正体は人間。いずれは完全な木に変化し、人間としての意識を失う「樹化」の運命を背負っています。
一見普通の可愛い女の子ですが、タオを学び鍛錬する「道士たち」からは「メイ様」と呼ばれており……。

天仙(てんせん)たち

島の中域を徘徊する「竈神(そうしん)」、島の外縁部を守る「門神」、知性を持つ「道士」などの怪物たちに「てんせん様」と称えられる、同じ顔・同じ声を持つ7人の仙人。
元々は仙道を極めて神になった1人の仙人が、

・蓮(リエン)の精「普賢上帝(ふげんじょうてい)」
・菊花(ジュファ)の精「ア閦大帝(あしゅくたいてい)」
・牡丹(ムーダン)の精「不空就君(ふくうじゅくん)」
・桃花(タオファ)の精「ラトナ大聖(らとなたいせい)」
・朱槿(ヂュジン)の精「如イ元君(にょいげんくん)」
・桂花(グイファ)の精「文殊公々(もんじゅこうこう)」
・蘭(ラン)の精「准胝帝君(じゅんていたいくん)」

の7人に分裂したようです。

地獄楽のキャラクター:7人の天仙

人と植物の「タオ」を融合させてできた天仙たちは雌雄同体で、人知を超えた再生能力・力・スピードを持ち、空を飛ぶなど奇妙な技を使います。追い詰められると「鬼尸解(きしかい)」と呼ばれる形態に変化。ケタ外れに強い天仙たちを倒す方法は一つだけ……。
日本で足跡を絶ったとされる伝説の人物「徐福(じょふく)」=「宗師(そうし)」と関係があるようです。

『地獄楽』の魅力

独特の世界観、生と死をめぐる物語など本作を構成する魅力を、専門用語の解説も交えて5つの観点からひもときます。

1)哲学的な世界観

今作の大きな特徴は、仏教や道教など、中国を中心に発達した宗教が混在した独特の世界観。杠の監視役で学者肌の山田浅ェ門 仙汰は、島の違和感を早々に見抜いています。

独特の世界観

「仏教」はインドで生まれ、悟りを開くことを目的にした宗派。
「道教」は中国で発生し、民間信仰や思想が混ざってできた多神教的宗教(※諸説あり)。
なお、この2つに「儒教」を合わせたものを中国三大宗教といいます。

仙汰が注目したのは、島を守る竈神(そうしん)と呼ばれる神々。

竈神(そうしん)

教えを説き、教えに背く者を罰する“できそこないの神”竈神の言動や宗教的な衣装に、仏教あるいは道教の影響を感じたようです。確かに数珠のような飾りをつけていたり、見た目がズバリ仏像のようだったりしますよね。中国風の背景も相まって、なんともいえない不気味さを読者に与えています。

これら中国系の宗教観に加え、画眉丸たちが仙薬を「非時香実(トキジクノカグノミ)」(=『古事記』にある「タチバナの実」のこと)や「変若水(おちみず)」(=月の不死信仰に根ざした霊薬のこと)と日本古来の名前で呼ぶため、世界観はさらにカオスに。とはいえ言葉の全てがわからなくても、響きだけで十分ワクワクできますよね。細けぇこたぁいいんだよ。

★Keyword 「タオ(氣)」とは?
ストーリー全体の鍵を握っている概念が「タオ」。この言葉自体、そもそも道教の中核となる概念なのです。
今作でいう「タオ」とは、誰しもが本来持っている、生命力に根ざした力。使いこなすことで超人的な力になりますが、使いすぎれば精神や身体、意識、記憶などにも影響が出てしまい、最悪死に至ります。そのため術者はタオを消費しすぎないように丹田(へそ)で練り、体内に循環させています。

さらに今作では、タオを陰陽五行思想とリンクさせています。個人のタオは木・火・土・金・水のどれかに属しており、木&水など相性のいい「相生(そうせい)」、木v.s.土など相性の悪い「相克(そうこく)」があることが判明。
画眉丸たち死罪人が天仙たちを倒すためには、相生のタオで攻撃するしかないようです。

タオ(氣)

2)極楽浄土と呼ばれる幻想的な孤島

「極楽浄土」とは、阿弥陀仏が住む清浄な世界のこと。今作の舞台である孤島は麗しい花々で彩られ、誰もが思う「極楽浄土」のイメージ通りです。しかし、実は花の正体は、島に上陸した人間たちの成れの果て。仙薬の原料に変化する「花化」を、罪や俗からの解放、永遠の至福と言っちゃうあたり、天仙たち、完全に“キテます”ね。

島はおそらく、中国古代で信じられていた「蓬莱山」「方丈山」「瀛州(えいしゅう)山」から成る「三神山」をモデルにしているのでしょう。同心円状に三つの領域に分かれており、中央が「ほうらい」、その次が「ほうじょう」、最も外側が「えいしゅう」と呼ばれています。「ほうじょう」と「えいしゅう」は廃れた一方、神と仙人の住む神聖な土地「ほうらい」には美しい景色が広がっています。

三神山

天仙の紹介の際にふれた「竈神」「門神」「道士」のほか、島の周囲の海にも怪物がいて、人間が脱出しないよう目を光らせています。水門から出る船は襲わないよう躾けられているので、脱出するにはほうらいの地下にあるという船を使うほかありません。

中国風の巨大な扉を通って「ほうらい」に入ると、その内部は秦の始皇帝が建てた「阿房宮」を模した広大な城郭になっています。天仙たちの修行場を兼ねた居城を備えた城は、増築・改修を繰り返し、常に変化しています。

仙薬の場所・煉丹宮

めいによれば、仙薬があるのは「研究室」。めいを傷つけたリエンの目的もそこにあるようです。

3)キャラクターが抱える葛藤

今作のテーマの一つが「生と死」。例えば主人公の画眉丸は生に無頓着でしたが、死を目の前にし、かつて生活を共にした妻を想い迷いが現れます。

ためらう画眉丸

また、もう一人の主人公ともいえる佐切も、武家で女性として生まれ、打ち首執行人の仕事をする=ためらいなく人を殺すことに対する葛藤を抱えています。

ためらう佐切

なんのために戦うのか、そして生きるのか考える画眉丸と佐切。それはほかの死罪人も同様で、弔兵衛は桐馬のため、めいは自分のため……など、話が進むほどに各自の“生きたい理由”がシンプルに浮き彫りになっていきます。
最後まで生き抜いたとき、画眉丸は、あるいはほかのキャラは、どのように変化・成長しているのでしょうか。

4)バトルロワイヤル的な殺伐さ&即興コンビの面白さ

上記で紹介した以外にも、大勢の死罪人&山田一族が島へ上陸しました。しかし、無罪放免を勝ち取るのは仙薬を見つけた死罪人のみというルールと、島の凶悪な環境により、一人、また一人と命を落としてしまいます。その様子はさながら「バトルロワイヤル」!
息の合っていたコンビが離れ離れになり、こいつは強い! と胸をときめかせてくれたキャラが倒れ……と、予想のつかない展開に否応なくワクワクしてしまうのです。

一方で、生き残ったもの同士が、まさかの即興コンビとして活躍するのもユニーク。その代表格が画眉丸と杠です。どちらも島に入るまでは「忍」として、画眉丸は自分以外の、杠は自分のためだけに生きていました。

画眉丸と杠

手を組んだ時にはギリギリまで利用し合えばいいと、刹那的な関係だった二人。しかし、いつしか「みんなで生きて帰る」ために息の合った連携技で天仙たちに立ち向かうように……。これだけでご飯がおかわりできちゃいます!

また、見た目も中身も豪快でワイルドな巌鉄斎と、クールなマッドサイエンティストの山田浅ェ門 付知も名コンビ。血圧が100以上離れていそうな二人ですが、「強い者と戦いたい」「解剖したい」と、自分の欲求に素直な点が似ているのでウマが合うのかもしれません。

巌鉄斎と付知

さらに、唯一島に入る前から絆が途切れていないのが弔兵衛&桐馬兄弟。離れていた二人が合流したことで、これからどんな展開になるのか楽しみですね。

5)作者・賀来ゆうじ先生の画力

連載経験は『FANTASMA』(集英社)に続き2回目でありながら、ベテラン漫画家に勝るとも劣らない画力が賀来先生の持ち味の一つ。特に今作は、「一見極楽、実は地獄」という舞台設定の特殊さと不気味さを読者に伝えなければ、話の面白さは半減してしまいます。

島の様子

……そこでこの画力である。
影になっている人物にのみトーンを使い、背景はすべて線の濃淡や明暗、細かさと粗さを巧みに使い分けることによって表現されています。迫力ある線画により、建物や世界観の異様さ、気味の悪さが本能的にインプットされます。

また、登場人物たちも人数自体は多いですが、真面目な佐切、豪快な巌鉄斎など、性格と造形が一致しているためキャラ迷子にはなりません。人間も異形も、“静”の風景も“動”のアクションシーンも描き切る筆力が、作品の面白さを支える大きな柱になっているのです。

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『地獄楽』の感想【ネタバレあり】

BookLive!に寄せられた熱いレビューの中から、作品全体の感想と、8巻の感想をいくつかご紹介します。

『地獄楽』全体の感想

試し読みではまりました。
何か元になる小説とかあるのではと思ったぐらい、ストーリーが面白く、絵画も圧倒です。少年マンガ系な特有の長いバトルとかは無く、人物の最後の際のしつこい感じの話もなく、あっさり登場人物が亡くなっていきます。
されど、なぜかストーリーは重厚になる。作者の地獄楽の構想が素晴らしいからでしょうか。5巻が出た頃に初めて知りましたが、あっという間に全巻買ってしまった。
アダルトなところもいいですね、大人向けに作られた少年マンガです。

良きダークファンタジーを発見!
打ち首となるはずの罪人たちに突きつけられた無罪放免となる条件。
それは伝説の島で不老不死の仙薬を手に入れることだった。
出し抜こうと起こる容赦ない殺し合い。
暗黒大陸さながらの不気味な島の謎。
これは良きダークファンタジーを発見できたかも!

主人公は最強の忍と畏れられた画眉丸。
妻との回想がいいね。最強と言われながらも生への執着を失っていた彼が、妻への愛を自覚して戦う決意をするって王道な展開が燃える。
コンビの打ち首執行人・佐切も人間くさくていい。
情を描くからこそ、ダークファンタジーの不条理さが際立つ。

学べる
一気にここまで読んでしまった。
ビジュアルの美しさとテンポの良さが、何度でも読み返してしまいます。
戦闘シーンに於いて人生観、物の考え方にぶれがなく、分かりやすい。
それでいて一つの正しい答えがそこにある。
学べる。

『地獄楽』1巻を試し読みする

【ネタバレ注意】『地獄楽』8巻の感想

天仙の本拠地・蓬莱で始まる決戦!
どの戦いもアクションはもちろん、キャラのドラマもしっかり動いていて見応えある。
天仙打倒のためにとった画眉丸の「二ノ手」。
「命を懸けるつもりなど毛頭ない だから命以外は全て懸ける」という覚悟。
「生きて帰る」と決めたからこそ、そのために限界寸前の決断ができたんだなと。
「愚かでなければ届かない場所もある」この画眉丸の言葉に杠は何を思ったのか。
仙汰の最期を看取った彼女が一人というのが切ないね。

弔兵衛と桐馬の再会もよかった。
いろいろあっても盗賊という本分にブレてないところがいいよね。
一人が如き二人。兄弟愛と邪悪さの二面性が魅力的。
表紙の巌鉄斎と付知のコンビも見所満載!
こちらも生き生きとしたバトルで読んでいて楽しい。巌鉄斎の師匠の言葉が好き。
「捨てて捨てて 残ったもんよぉっく見てみろ そん中に全部あるから 広げんな深めろ 横にすりゃ同じだろ」
厳鉄斎は虫にやられて腕を切り落としたところから、自分の判断や価値観に迷いがないところがカッコいいなって思う。
今回は追加組の出番はまったくなかったけど、この激戦にどう関わってくるのか気になるね。

『地獄楽』8巻を無料で試し読みする

終わりに

「極楽」とは名ばかりの禍々しい島で、美しくも危険な天仙たちと血で血を洗う戦いを繰り広げる『地獄楽』。どこか山田風太郎先生の作品を想起させる伝奇的な世界観に、たまらなく興奮する方もいるのではないでしょうか(力強い挙手)。
「ほうらい」に突入し、天仙たちとの戦いもますますヒートアップ。今後も目が離せません!

地獄楽
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地獄楽 1~13巻 賀来ゆうじ / 集英社
『地獄楽』を試し読みする
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