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1945年の敗戦以降、忘却されていた植民地主義の問題が新たな課題として浮上している。いかにして近代日本の植民地的無意識は形成されたのか。後発近代国家が抱え込まざるをえなかった、欧米列強への過剰な模倣と擬態というその起源に溯り、植民地主義以後の世界を生きる現在の我々が解決すべき課題の所在を明らかにする。
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Posted by ブクログ
「ポストコロニアル」の思想を、日本の近代史と漱石を中心とする近代文学に則して展開した書。 近代の日本が「擬態」と「模倣」を繰り返しつつ「自己植民地化」の過程をたどってきたこと、その過程において沖縄やアイヌ、朝鮮、台湾などが「野蛮な」「他者」として創出されてきたことが、テクストを精読することを通して...続きを読む鋭く抉り出されている。
初めの方のラカン理論を持ち出した観念的な部分が面白くて、後の具体的歴史や状況の方は読み飛ばしてしまった。
近代以降の日本と東アジアの歴史の歩みを、「自己植民地化」として読み解いている本です。 近代以前の東アジアには、中国を中心とする「朝貢外交」の秩序が存在していたのに対して、近代日本は西洋による「万国公法」の秩序をいち早く内面化し、それによってアジアに対する植民地主義の主体として自己を規定することへと...続きを読む向かっていくことになります。さらに著者は、専門である漱石の文学作品をとりあげ、そのテクストのなかに植民地主義的構造を読み取っています。最後に、戦後の日本の歴史観のうちに、植民地主義をみずからの問題として引き受けることを隠蔽するような構造が存在しつづけていることの指摘がおこなわれています。 「植民地的無意識」と「植民地主義的意識」が表裏一体となって近代以降の日本の歴史をつらぬいているという本書の基本的な見方は、岸田秀の考えを連想させるものです。ただし、岸田がフロイトの精神分析を社会心理学として理解する立場から日本の集団心理を読み解いているのに対して、「ポストコロニアル」をタイトルにもつ本書は、ポストモダン左派的な観点から「文学」と「歴史」の政治性を明らかにするという立場に立って議論がなされています。
ポストコロニアルについて勉強しなくちゃいけなくなり、でもそもそもポスコロって何よ?という具合の理解度だったので、とりあえず手にとってみた一冊。 感想としては、ポスコロが何をどのように射程にとらえているのかが判って良かったというところ。特に態度が、僕の考える既存の学問のそれと大きく異なっているという...続きを読むことがよく判って良かった。なんというか、批評と学問の境について考えさせられる。あるいはこれからの学問についても(最近ポスコロ自体は廃れてきたとのことだけども)。
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