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コレラ、天然痘、エボラ出血熱……征服しては新たな姿となって生まれ変わる微生物と、人類は長い軍拡競争の歴史を繰り返してきた。40億年の地球環境史の視点から、感染症の正体にせまる。
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Posted by ブクログ
いくつかの感染症をピックアップし、その経緯、ルート、またどんな型があるかの解説がある。 新興感染症については、だいたいが他の動物経由で人に移り変異するため起こるのが多く、「人と森とがちかくなったこと(人口爆発、土地開発)」、「人と人とが近いこと(都市での密集)」、「人やものの移動が多いこと」から広が...続きを読むって来たんだなと実感ができる。これからについての記述で、中国、アフリカで新興感染症が起きやすいことやコロナウイルスがSARSであんなに脅威になるとは、といった"未来予測"に近いことが書かれていて、なるべくしてなった世界なのかもな、と実感した。
感染症とヒトとの関わりを丁寧かつわかりやすく分析した本。 これまで知っていた歴史の知識に感染症という線が加わることで、新たな見方ができたのが一番面白かった。例えば、 ・東西交流は感染症の交流。東から西にペスト、西から東に天然痘やハシカ。欧州のペストの起源は中央アジア。 ・ペストの人口減で小作の地位...続きを読むが向上し、封建制度衰退、無策な教会への批判からプロテスタントが。 ・中南米のインカ・アステカなどの滅亡は、スペインの武力というよりも、旧世界からもたらされた天然痘やハシカなどのウィルスによる人口激減が原因。1500年に8000万だったアメリカの人口は、1550に1000万まで減少。 ・日本でペリー来航時に3-26万の死者で攘夷運動の一因に。 ・第一次大戦まで戦争の殆どのケースで戦死者よりま戦病死者が多い。 また、最近の感染症の拡大についても、森林を破壊するので、奥で人間と交わらなかったエボラのようなものが動物媒介で広がっている、と生態系と人のバランス崩壊が感染症のという形でも現れていることを指摘。 インフルについても、近年の発生は、やはり稠密な豚や鳥の飼育環境、特に中国南部では鳥と豚が一緒に飼育され感染が他の種に繋がる傾向が強い。これが大都市に広がると、さらに感染拡大として、コロナ前に、中国からの感染症の発生の可能性に強い懸念を示していた。 いろんな意味で目を開かされた本だった。
(要約) 微生物が人や動物などに寄宿し、そこで増殖することを「感染」といい、その結果、宿主におこる病気を「感染症」という。人類はおよそ20万年前に地球上に登場して以来、繰り返し感染症の脅威と闘ってきた。しかし地球上に40億年前から途切れることなく続いてきた微生物からみれば、人間こそがその生存を脅かす...続きを読む。人間が病気と闘うために薬剤をを開発すれば、微生物は遺伝子の構造を変えて耐性を獲得し、人間の攻撃に耐えられるように変身する。地上で最も進化した人間と、最も原始的な微生物との死闘でもある。 人類と感染症の関係も、人が環境を変えたことによって大きく変わってきた。新興感染症の七五%は動物に起源があり、森林破壊によって本来の生息地を追われた動物たちが人里に押し出されて、病原体を拡散させるようになった。「移動手段」が、徒歩、馬、帆船、汽船、鉄道、自動車、飛行機へと発達するのにつれて、これまでにない速度と規模で人と物が移動できるようになり、それに便乗した病原体も短時間で遠距離を運ばれる。歴史上、人間は幾度も戦争を繰り返し、その都度多数の犠牲を払っているが、死亡した将兵の少なくとも三分の一から半数は、感染症による病死だったと推定される。 しかしすべての微生物が、人間と敵対するわけではない。人体のほぼあらゆる場所には「常在菌」と呼ばれる微生物が共生している。その総数は、人体を構成する細胞数の一〇倍以上、数百兆個と推定され、共存共栄しながら人体を支えているともいえる。ところが人間が長生きになり、あまりに衛生的な環境をつくりだしたために、細菌との共生関係が変わってしまっている。健康であれば無害な細菌であったのに、人体が免疫を失ったことで、牙をむくこともある。 作者は、環境史の専門家の視点から、「ペスト」「スペインかぜ」「インフルエンザ」「ハシカ」「風疹」「エボラ出血熱」「デング熱」などなど古くから新しいものまで、社会を揺るがした数多くの感染症の歴史を紐解く。そして、自然界にはまだ無数の病原体が潜み、新たな宿主を求めて試行錯誤を繰り返しており、その震源地として最も危惧されるのは、中国とアフリカであると警鐘を鳴らす。
人間と感染症の戦いの歴史を読んだ気持ちになった しかもウイルスは人間より有利な状況での 古くは紀元前のペロポネソス戦争から、戦争が勃発するたびに感染症が流行するという話が興味深かった 歴史上戦争で死亡した将兵の三分の一から半数は病死だという
面白かった。コロナ以前に書かれた、感染症の歴史。 ウイルスの進化は人間の軌跡でもあるのね。 今、が決して特別ではなく、長く古くから続いている戦いだとわかる本。 #本 #おすすめ本 #読書 #感染症の世界史
読み易い
コロナ禍でマスコミやインターネットでのつぎはぎだらけの知見しかなかった者にとっては、参考となる本でした。 これからの時代では、この本に記載されている感染症に関する内容は、大人としての最低限の知識としなくてはいけないように思います。
昨今のコロナ騒動で少しは知識をつけようと手に取った一冊。予想以上に読みやすい良書。 ウイルスの特性や症状・発生源といった専門的な部分と歴史的な背景や社会に与える影響などジャーナリズム的な部分、どちらもうまくまとまっている。そして初めて知る事ばかりで驚かされた。 人類の歴史はそのままウイルスとの闘いの...続きを読む歴史とも言える。人の移動、都市の発展・過密化、環境破壊が直接的・間接的に感染症の発生と拡大を招いている。 これまでどこか他人事だったがしっかりとした危機意識と溢れる情報を見極めることを学ばないと。
今年だから読もうと思った本、読んだ本。 面白いと思ったポイント3つ。 ①ウイルスも生き物だから生存を目的に進化していく。宿主の死が自身に悪影響を与える場合、弱毒化していくこともある。時に宿主の行動を操ろうとする種もいる。 ②コロナ前の本にも関わらず、中国が感染症の発生源になっていくことを指摘。その理...続きを読む由として、特殊な食文化、地方の衛生状態の悪さなどが挙げられる。 ③第一次世界大戦の死因第一位は、スペイン風邪
感染症は太古から人類とともにあった。 感染症の大流行は繰り返され、そのたび、人はそれと闘ってきた。 多くの者が犠牲になる一方で、病禍を生き抜いた者が子孫を残した。 やがて、衛生管理が改善し、栄養状態がよくなり、医学や医療制度が発展した。感染症の原因が細菌やウイルスなどであることもわかってきた。 では...続きを読む、人類は感染症に打ち勝ったのか、といえば、もちろん、そんなことはない。 ヒトが感染症と闘うのと同時に、感染症もまた、自身の存在を賭けて戦っているのだ。少しずつ姿を変え、新たな武器を手にして、ヒトの防御の隙を突き。 本書はそんな、人類と感染症の闘いを俯瞰する1冊である。 著者は環境ジャーナリスト・研究者。 よく整理されていて読みやすいのは元新聞社編集委員のゆえか。 第一部では地球の環境史と感染症の関わり、第二部では人類と共存するウイルス・細菌、第三部では日本の歴史と感染症に触れ、終章では今後、感染症が蔓延する地域を予測する。 2014年の発行だが、今日を予見するような箇所もあり、示唆に富んで、非常に興味深い。 エボラ出血熱。デング熱。マラリア。コレラ。ペスト。SARS。ピロリ菌。トキソプラズマ。ヘルペス。インフルエンザ。エイズ。ハシカ。風疹。成人T細胞白血病。結核。 各論もそれぞれ読ませるのだが、特になるほどと思ったのは、性交渉の危険性のくだり。感染症の病原体は宿主から宿主へと乗り移る。単に近くにいるか、接触するか、捕食するか、機会はさまざまだが、性交渉は接触の中でもかなり濃密なものである。当然、この機を捉える病原体はいる。 例えば、ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)は、子宮頸ガンの原因ウイルスである。子宮頸ガンの多くは性交渉によるなどのウイルス感染が元で発症する。つまり、感染症によっておこるガンである。 WHOによれば、ガンによる死亡の20%は性交渉で感染するウイルスによるものだという。タバコによるガンの死亡が22%と見積もられるというから、性交渉の危険性は、見方によってはタバコとあまり変わらないとも言えるのだ。 HPVに関しては、ワクチンによる予防がかなり有効と見られるが、副作用に関するトラブルで日本における接種はあまりうまく進んでいない。このあたりの解説も簡潔にまとまっていてわかりやすい。 終章の予言めいた記述も読ませる。 人類も「生き延びてきた」種族だが、感染症病原体たちもまた、「生き延びてきた」種なのだ。 攻防はなお続く。
読書録「感染症の世界史」 著者 石弘之 出版 角川文庫 p112より引用 “ 感染症は当初、偶然持ち込まれたものだが、 その絶大な効果に驚いた欧米人は、病気を意図的 に利用した。農園造成などで邪魔になる先住民を 除くために、ハシカ患者の衣服をインディオに与 えるなどの「細菌戦」を行ったのである。...続きを読む 一八世紀のカナダでは、イギリスやフランスが 先住民を効率的に殲滅する方法として、ハシカ患 者の衣服を買い集めて彼らに配った記録が残され ている。それらの部族は現在では完全に絶滅し て、痕跡すらとどめていない。" 目次より抜粋引用 “人類と病気の果てしない軍拡競争史 人類の移動と病気の拡散 寄生虫が人を操る? 世界で増殖するインフルエンザ 今後、感染症との激戦が予想される地域は?" 数多くの環境に関する役職を勤めた著者によ る、人類の歴史と感染症について記した一冊。 他社刊行作加筆修正文庫版。 人類と病気の戦いについてからこれからの感染 症の発生予想まで、生きていく上で避けて通れな い大きな問題の今までとこれからが書かれていま す。 上記の引用は、人類の移動と病気の拡散につい て書かれた章での一節。 欲の深い人間は、碌な事をしないなと思わざるを 得ません。効率や利益を極端に追い求めて行動す ると、後々の始末の手間で、非効率・不利益を被 るようになってしまうのではないかと思われま す。 p136では、ヘルパーT細胞の種類とアレルギー について書かれていて、バランスの大切さについ て考えさせられます。 第五章における、トキソプラズマと著名人の活 躍との関係性は、こじつけ感が拭いきれないもの の、面白いエピソード集となっています。 寄生虫に操られて、自分の身を滅ぼすような行動 を取ってしまうのが、カタツムリや昆虫だけでは ないかも知れないと思うと、面白くもあり恐ろし くもあります。少なくとも、この話を聞いたら、 生肉や野生動物の処理の怪しい肉などを食べるこ とは、やめておこうと思います。 参考文献も充実しており、より多く深く知りた い方の、道標としても使いやすい一冊ではないで しょうか。 ーーーーー
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