【感想・ネタバレ】感染症の世界史のレビュー

あらすじ

コレラ、天然痘、エボラ出血熱……征服しては新たな姿となって生まれ変わる微生物と、人類は長い軍拡競争の歴史を繰り返してきた。40億年の地球環境史の視点から、感染症の正体にせまる。

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Posted by ブクログ

いくつかの感染症をピックアップし、その経緯、ルート、またどんな型があるかの解説がある。
新興感染症については、だいたいが他の動物経由で人に移り変異するため起こるのが多く、「人と森とがちかくなったこと(人口爆発、土地開発)」、「人と人とが近いこと(都市での密集)」、「人やものの移動が多いこと」から広がって来たんだなと実感ができる。これからについての記述で、中国、アフリカで新興感染症が起きやすいことやコロナウイルスがSARSであんなに脅威になるとは、といった"未来予測"に近いことが書かれていて、なるべくしてなった世界なのかもな、と実感した。

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2021年02月12日

Posted by ブクログ

感染症とヒトとの関わりを丁寧かつわかりやすく分析した本。

これまで知っていた歴史の知識に感染症という線が加わることで、新たな見方ができたのが一番面白かった。例えば、
・東西交流は感染症の交流。東から西にペスト、西から東に天然痘やハシカ。欧州のペストの起源は中央アジア。
・ペストの人口減で小作の地位が向上し、封建制度衰退、無策な教会への批判からプロテスタントが。
・中南米のインカ・アステカなどの滅亡は、スペインの武力というよりも、旧世界からもたらされた天然痘やハシカなどのウィルスによる人口激減が原因。1500年に8000万だったアメリカの人口は、1550に1000万まで減少。
・日本でペリー来航時に3-26万の死者で攘夷運動の一因に。
・第一次大戦まで戦争の殆どのケースで戦死者よりま戦病死者が多い。

また、最近の感染症の拡大についても、森林を破壊するので、奥で人間と交わらなかったエボラのようなものが動物媒介で広がっている、と生態系と人のバランス崩壊が感染症のという形でも現れていることを指摘。

インフルについても、近年の発生は、やはり稠密な豚や鳥の飼育環境、特に中国南部では鳥と豚が一緒に飼育され感染が他の種に繋がる傾向が強い。これが大都市に広がると、さらに感染拡大として、コロナ前に、中国からの感染症の発生の可能性に強い懸念を示していた。

いろんな意味で目を開かされた本だった。

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2020年12月18日

Posted by ブクログ

(要約)
微生物が人や動物などに寄宿し、そこで増殖することを「感染」といい、その結果、宿主におこる病気を「感染症」という。人類はおよそ20万年前に地球上に登場して以来、繰り返し感染症の脅威と闘ってきた。しかし地球上に40億年前から途切れることなく続いてきた微生物からみれば、人間こそがその生存を脅かす。人間が病気と闘うために薬剤をを開発すれば、微生物は遺伝子の構造を変えて耐性を獲得し、人間の攻撃に耐えられるように変身する。地上で最も進化した人間と、最も原始的な微生物との死闘でもある。

 人類と感染症の関係も、人が環境を変えたことによって大きく変わってきた。新興感染症の七五%は動物に起源があり、森林破壊によって本来の生息地を追われた動物たちが人里に押し出されて、病原体を拡散させるようになった。「移動手段」が、徒歩、馬、帆船、汽船、鉄道、自動車、飛行機へと発達するのにつれて、これまでにない速度と規模で人と物が移動できるようになり、それに便乗した病原体も短時間で遠距離を運ばれる。歴史上、人間は幾度も戦争を繰り返し、その都度多数の犠牲を払っているが、死亡した将兵の少なくとも三分の一から半数は、感染症による病死だったと推定される。

 しかしすべての微生物が、人間と敵対するわけではない。人体のほぼあらゆる場所には「常在菌」と呼ばれる微生物が共生している。その総数は、人体を構成する細胞数の一〇倍以上、数百兆個と推定され、共存共栄しながら人体を支えているともいえる。ところが人間が長生きになり、あまりに衛生的な環境をつくりだしたために、細菌との共生関係が変わってしまっている。健康であれば無害な細菌であったのに、人体が免疫を失ったことで、牙をむくこともある。

 作者は、環境史の専門家の視点から、「ペスト」「スペインかぜ」「インフルエンザ」「ハシカ」「風疹」「エボラ出血熱」「デング熱」などなど古くから新しいものまで、社会を揺るがした数多くの感染症の歴史を紐解く。そして、自然界にはまだ無数の病原体が潜み、新たな宿主を求めて試行錯誤を繰り返しており、その震源地として最も危惧されるのは、中国とアフリカであると警鐘を鳴らす。

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2020年03月18日

Posted by ブクログ

人間と感染症の戦いの歴史を読んだ気持ちになった
しかもウイルスは人間より有利な状況での

古くは紀元前のペロポネソス戦争から、戦争が勃発するたびに感染症が流行するという話が興味深かった
歴史上戦争で死亡した将兵の三分の一から半数は病死だという

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2023年05月30日

Posted by ブクログ

面白かった。コロナ以前に書かれた、感染症の歴史。
ウイルスの進化は人間の軌跡でもあるのね。
今、が決して特別ではなく、長く古くから続いている戦いだとわかる本。
#本 #おすすめ本 #読書 #感染症の世界史

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2022年05月19日

H

購入済み

読み易い

コロナ禍でマスコミやインターネットでのつぎはぎだらけの知見しかなかった者にとっては、参考となる本でした。
これからの時代では、この本に記載されている感染症に関する内容は、大人としての最低限の知識としなくてはいけないように思います。

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2021年01月31日

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昨今のコロナ騒動で少しは知識をつけようと手に取った一冊。予想以上に読みやすい良書。
ウイルスの特性や症状・発生源といった専門的な部分と歴史的な背景や社会に与える影響などジャーナリズム的な部分、どちらもうまくまとまっている。そして初めて知る事ばかりで驚かされた。
人類の歴史はそのままウイルスとの闘いの歴史とも言える。人の移動、都市の発展・過密化、環境破壊が直接的・間接的に感染症の発生と拡大を招いている。
これまでどこか他人事だったがしっかりとした危機意識と溢れる情報を見極めることを学ばないと。

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2020年05月05日

Posted by ブクログ

今年だから読もうと思った本、読んだ本。
面白いと思ったポイント3つ。
①ウイルスも生き物だから生存を目的に進化していく。宿主の死が自身に悪影響を与える場合、弱毒化していくこともある。時に宿主の行動を操ろうとする種もいる。
②コロナ前の本にも関わらず、中国が感染症の発生源になっていくことを指摘。その理由として、特殊な食文化、地方の衛生状態の悪さなどが挙げられる。
③第一次世界大戦の死因第一位は、スペイン風邪

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2020年12月22日

Posted by ブクログ

感染症は太古から人類とともにあった。
感染症の大流行は繰り返され、そのたび、人はそれと闘ってきた。
多くの者が犠牲になる一方で、病禍を生き抜いた者が子孫を残した。
やがて、衛生管理が改善し、栄養状態がよくなり、医学や医療制度が発展した。感染症の原因が細菌やウイルスなどであることもわかってきた。
では、人類は感染症に打ち勝ったのか、といえば、もちろん、そんなことはない。
ヒトが感染症と闘うのと同時に、感染症もまた、自身の存在を賭けて戦っているのだ。少しずつ姿を変え、新たな武器を手にして、ヒトの防御の隙を突き。
本書はそんな、人類と感染症の闘いを俯瞰する1冊である。
著者は環境ジャーナリスト・研究者。
よく整理されていて読みやすいのは元新聞社編集委員のゆえか。

第一部では地球の環境史と感染症の関わり、第二部では人類と共存するウイルス・細菌、第三部では日本の歴史と感染症に触れ、終章では今後、感染症が蔓延する地域を予測する。
2014年の発行だが、今日を予見するような箇所もあり、示唆に富んで、非常に興味深い。

エボラ出血熱。デング熱。マラリア。コレラ。ペスト。SARS。ピロリ菌。トキソプラズマ。ヘルペス。インフルエンザ。エイズ。ハシカ。風疹。成人T細胞白血病。結核。
各論もそれぞれ読ませるのだが、特になるほどと思ったのは、性交渉の危険性のくだり。感染症の病原体は宿主から宿主へと乗り移る。単に近くにいるか、接触するか、捕食するか、機会はさまざまだが、性交渉は接触の中でもかなり濃密なものである。当然、この機を捉える病原体はいる。
例えば、ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)は、子宮頸ガンの原因ウイルスである。子宮頸ガンの多くは性交渉によるなどのウイルス感染が元で発症する。つまり、感染症によっておこるガンである。
WHOによれば、ガンによる死亡の20%は性交渉で感染するウイルスによるものだという。タバコによるガンの死亡が22%と見積もられるというから、性交渉の危険性は、見方によってはタバコとあまり変わらないとも言えるのだ。
HPVに関しては、ワクチンによる予防がかなり有効と見られるが、副作用に関するトラブルで日本における接種はあまりうまく進んでいない。このあたりの解説も簡潔にまとまっていてわかりやすい。

終章の予言めいた記述も読ませる。
人類も「生き延びてきた」種族だが、感染症病原体たちもまた、「生き延びてきた」種なのだ。
攻防はなお続く。

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2020年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごい。平成30年初版なのに、今回のコロナ流行を見事に予言しているかのような後書きだった。
比較的衛生環境がよい現代の日本で暮らしているから気づかなかっただけで、世界では、エボラ出血熱を筆頭に数多くの感染症がとうに流行していた。また、日本でもかつては天然痘、結核などの流行で何度も人口を減らしてきた。人類の歴史は進化する病原体との戦いであり、今に始まったことではないらしい。
これから衛生環境は少しずつ進化していくのかもしれないが、それ以上に、人口増加に伴う森林破壊や食肉の確保、都市への人口密集など、人間社会は病原体の繁栄に有利な方向に変化しつつある。今回のコロナ流行もある意味必然の出来事なのかもしれない。
人間にとっての最恐の自然災害であるという認識を持って、常に対策を強化し続けなくてはいかなくては、こちらも常に進化する病原体に勝てないと分かった。

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2020年06月10日

Posted by ブクログ

読書録「感染症の世界史」

著者 石弘之
出版 角川文庫

p112より引用
“ 感染症は当初、偶然持ち込まれたものだが、
その絶大な効果に驚いた欧米人は、病気を意図的
に利用した。農園造成などで邪魔になる先住民を
除くために、ハシカ患者の衣服をインディオに与
えるなどの「細菌戦」を行ったのである。
 一八世紀のカナダでは、イギリスやフランスが
先住民を効率的に殲滅する方法として、ハシカ患
者の衣服を買い集めて彼らに配った記録が残され
ている。それらの部族は現在では完全に絶滅し
て、痕跡すらとどめていない。"

目次より抜粋引用
“人類と病気の果てしない軍拡競争史
 人類の移動と病気の拡散
 寄生虫が人を操る?
 世界で増殖するインフルエンザ
 今後、感染症との激戦が予想される地域は?"

 数多くの環境に関する役職を勤めた著者によ
る、人類の歴史と感染症について記した一冊。
他社刊行作加筆修正文庫版。
 人類と病気の戦いについてからこれからの感染
症の発生予想まで、生きていく上で避けて通れな
い大きな問題の今までとこれからが書かれていま
す。

 上記の引用は、人類の移動と病気の拡散につい
て書かれた章での一節。
欲の深い人間は、碌な事をしないなと思わざるを
得ません。効率や利益を極端に追い求めて行動す
ると、後々の始末の手間で、非効率・不利益を被
るようになってしまうのではないかと思われま
す。
 p136では、ヘルパーT細胞の種類とアレルギー
について書かれていて、バランスの大切さについ
て考えさせられます。
 第五章における、トキソプラズマと著名人の活
躍との関係性は、こじつけ感が拭いきれないもの
の、面白いエピソード集となっています。
寄生虫に操られて、自分の身を滅ぼすような行動
を取ってしまうのが、カタツムリや昆虫だけでは
ないかも知れないと思うと、面白くもあり恐ろし
くもあります。少なくとも、この話を聞いたら、
生肉や野生動物の処理の怪しい肉などを食べるこ
とは、やめておこうと思います。
 参考文献も充実しており、より多く深く知りた
い方の、道標としても使いやすい一冊ではないで
しょうか。

ーーーーー

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

これはおもろい!
ウィルスに感染することによって哺乳類とかDNAが少し変化し、進化してきたらしい!
発酵とかも、その一つの現象っぽい

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2023年07月09日

Posted by ブクログ

相当に膨大な領域を広く、そして網羅的に解説をしています。インフルエンザ、結核、エイズ、エボラウイルスなどなど。。。。。 知っている知識もありましたが多くは新しい知識となりました。コロナ前の出版ですが、新しいパンデミックが中国から起きることを予想しています。見識の深さに感動です!興味がある方は感染症とじっくり向かい合ってみることができますよ。

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

新型コロナウイルスの世界的流行の影響で注目されている一冊。出版は2014年で、そこから加筆して2018年に文庫化された。この本は医師が感染症のメカニズムを解説したり、社会学者がデータを分析する類の書籍ではない。環境ジャーナリストが地球環境史という大きなマクロ的な視点から、人類と対峙し続けてきた感染症の正体を究明しようとする画期的なもの。著者自身も世界各地で様々な感染症に罹患した経験があるというツワモノ。動物由来のウイルス変異、劣悪な衛星環境による免疫力低下、性行為による感染など、先人の知見から学べる良書。

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2023年02月13日

mac

ネタバレ

宿主と微生物のせめぎ合い

・宿主と微生物のせめぎ合いは軍拡競争に似ている。
人類は病気を抑え込むために次々と新たな手段を開発してきた。
微生物は薬剤への耐性を獲得することで、ヒトが繰り出す新たな兵器を巧みにかいくぐる。
宿主側はさらに対抗手段を強化しなくてはならない。
・菌が耐性を身につけたということは、抗生物質から生き残った耐性菌が大増殖して猛威をふるうだけでなく、
耐性のない菌までも「耐性遺伝子」を受け取って、耐性菌へと変身する可能性が高まることでもある。
・われわれ人間も、耐性菌を作り出すのに知らず知らずのうちに貢献している。
服用された薬は、全てが体内で代謝されるわけではない。
効果を維持したまま排泄され、トイレを通って下水へ流れ込む成分も多い。
これが河川や海水を汚染する。
・「病気の不快な症状」と忌み嫌っているものの多くが、実は進化の途上で身につけた体の防御反応だ。
「発熱」は微生物を「熱死」させるか、患者が「衰弱死」するかの「我慢比べ」である。
「咳」「吐き気」「下痢」は病原体を体外に排出する生理的反応だ。
「痛み」や「不安」は病気の危険信号なのである。
・戦争が勃発するたびに、兵士も一般市民も食糧不足、不衛生などに苦しめられ、これに感染症が追い打ちをかけた。
特に軍隊は均一的な集団であり、長時間生活を共にするために感染症が蔓延しやすい。
・地球は微生物で満ちていて、年間200万トンを超える細菌やウイルス、5500万トンの菌類の胞子が霧雨のごとく振り注いでいる。
微生物は地表40キロ上空から海面下10キロの深海底まで生息している。
・人体も「常在菌」とよばれる微生物に満ち溢れている。常在菌は体内で互いに排除したり共生したりしながら
一定の調和を保って共存共栄している。
・何らかの原因により、常在菌が本来のすみかでないところに入り込んでしまうと、炎症を起こしてしまう(異物として認識される)
飼いならされていない「野生菌」が入り込んだり、人体が免疫を失って無防備状態に陥ってしまったとき、突如として牙をむく。
・「感染症かアレルギーか」。感染症にかかりにくくなったら、今度はアレルギーに悩まされることになった。
両者はシーソーのような関係であった。

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

有名な感染症について、感染経路や特性、さまざまなエピソードがまとまっていて、まとまった内容を一気につかむことができた。
ウイルスを擬人化する見方で、自身を複製する事を目的として、宿主に攻撃するか、共生するか、決めている、という視点。面白いなぁと思った。

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2021年02月24日

Posted by ブクログ

1.感染症についてまともに学んだことがなかったので自分の好きな歴史と合わせて読んでみることにしました。

2.感染症が広がった原因は過密社会の構築、人間の行き来が自由になったことにより、これまで触れることがなかったウイルスと出会ってしまったからです。近代化が進み、社会が変容し、暮らしが変わってしまったからこそここまで感染症が拡がったのだと述べています。つい数十年前までは、ウイルスは撲滅できる存在として認識されていたのですが、今は真逆のことを言ってます。つまり、人間は感染ありきで物事を考えていかなくてはなりません。
この本では、過去にどのような歴史を辿って感染症が拡がってきたのか、感染症が爆発的に拡がった原因はなんだったのか、さらに話題になった症状ごとに述べています。


3.人間は感染症と向き合って生きていかなくてはなりません。感染症は数十年に一度のサイクルで訪れるようになってます。このようだと、人間は生きてる限り必ず一度は感染症と向き合うことになります。対策を打ちようにも、人類の成長スピードを遥かに超えるスピードで感染症は人間を襲ってきます。今、苦しめられているコロナもいずれはおさまるでしょうが、また次の感染症がくることは目に見えています。そうなったときに、今回のコロナの経験を活かすことができるのかどうか、ここで人間の成長が問われるのではないかと思います。今回のコロナを機にどのように向き合っていくのかを考えなければならないと思いました。

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2021年02月02日

Posted by ブクログ

科学的な考察、あるいは説明はそんなになかった。
題名通り、まさに感染症・ウイルスが歩んで来た歴史の紹介。
なので難解な言い回しや単語、理論はほぼ無い。
門外漢にも分かりやすく感染症の怖さを語っている。
コロナショックで改めて感染症の驚異を目の当たりにした。
しかしそれは大昔から、それも古代から続いて来ている、
人類と感染症との果ての無い軍拡競争の一角でしかない。
コロナを乗り越えても、また新手が来る事はほぼ確実。
それは科学者だけの戦いではなく、全人類の戦いなのだ。

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2020年10月20日

Posted by ブクログ

人類が感染症とともに歩んできた歴史と、主な感染症の原因となるウィルスや細菌の種類をコンパクトにまとめた佳作。
ヘルペスウイルスがこんなに種類があって、それぞれで引き起こす疾患が違うことや、インフルエンザウィルスには基本的に170種類の型があるのでワクチンがほぼ無意味であること、日本がいわゆる先進国中で極端に感染症対策の後進国であることなど、興味深い内容が満載である。
一点だけミスを指摘。結核で亡くなった有名人の中でブロンテ姉妹のエミリーが3女と書かれているが、これは4女の間違い。シャーロットの方が姉である。

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2020年07月25日

Posted by ブクログ

ウイルス・細菌・微生物と闘うことは宿命。無理な開発でウイルス・細菌・微生物を目覚めさせていることも事実。持続可能な開発目標に彼らとの共存は含める必要があるだろう。

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2020年06月28日

Posted by ブクログ

緊急事態宣言下パンデミックものを、それも小説ではなく環境ジャーナリストのルポで。軍拡競争、赤の女王との追いかけっこ…人類と微生物との戦いの歴史を非常に分かり易く紐解いてくれる一冊。実は自分の人生も常にウイルスや細菌の脅威に晒され続けていたことを再認識しゾッとした。

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2020年06月10日

Posted by ブクログ

人類だけではなくウイルスもまた変化、進化し繁栄を続けてきた。人類vs感染症はまたまだ続く。ジワリジワリ感染を広げていくウイルスから爆発的に死者を出すウイルスまで盛りだくさんでした。人口増加に大移動、貧困、医学の進歩による耐性菌の発生..他人事ではいられない感染症の話、勉強になりました。

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2021年12月30日

Posted by ブクログ

「スペイン風邪」「マラリア」「コレラ」「ペスト」「ハンセン病」「狂犬病」「梅毒」など、名前は聞いたことあるけど詳しく知らない感染症、なんとなく知ったつもりになっている感染症について知ることが出来ます。そして、想像以上に感染症と人間の戦いの歴史は長いのだと知ることが出来ます。

戦死者よりも感染症により死者が多かったこと、結核で亡くなった有名人が多いことにも驚きました。
WEBマガジン連載をもとに書き直しているため、別の章で具体的に取り上げられる感染症の話が登場します。章ごとに綺麗にまとめられている訳ではありませんが、少しずつ読み進める楽しさがあります。

個人的には寄生虫「トキソプラズマ原虫」が興味深いと思いました。トキソプラズマに感染すると、脳が占拠されて性格や行動が変わります。例えば、ネズミが寄生された場合、猫の体内で繁殖しようとトキソプラズマ原虫がネズミを操ります。その結果、わざと猫に食べられるようネズミが徘徊するのです。操られているにしても猫を怖がるネズミが何故そんなことをしてしまうのか、その理由も書かれています。そして、人間が感染した場合はどうなるのかも書かれています。

感染症が登場する作品やモチーフになっている作品の名前が挙がっているので、次読む本に迷った時はここから選ぼうと思います。


衛生面(上下水道の整備、入浴)だけでなく環境面(人口集中、森林破壊、食文化)も感染症が蔓延する原因になると知り、環境に対する意識が高まりました。人口が都市部に集中するのではなく地方に人が散らばり、必要最低限の土地開発が行われることを願います。
そして、いつの間にか収束した感染症のように、ワクチンで人類が勝利した感染症のようにコロナウイルスを恐れなくても良い日々が訪れますように。

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2021年03月24日

Posted by ブクログ

まさか自分が生きるこの21世紀に感染症が大流行し、世界が混乱に陥るとは思ってもいなかった。本書はCOVID-19流行が始まる以前に出版されたものであるが、著者はそのような新興感染症の出現に警鐘を鳴らしていた。著者からすれば、起こるべくして起きたことと言えそうである。
感染症は人類の歴史の中で常に脅威であり続けたが、近年の医学の進歩により、人類は感染症に打ち勝つことができそうだと幻想を抱いていたかもしれない。しかしCOVID-19により現実を突きつけられた。これまで幾度となく感染症に苦しめられた歴史から学ぶ必要がある。

プロフィールによると、著者は感染症や公衆衛生を専門とする医師ではなく環境史が専門のようであり、自然と人間の関わりという観点から感染症について論じていた。感染症の専門家ではない分、不正確な記述もあったように感じる。

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2022年07月23日

Posted by ブクログ

 新型コロナの流行で、売れるようになった本の一つであるが、書かれたのが2014年であるために、当然新型コロナのことは書かれていない。だがそれまでの感染症のことを整理するには良い本である。
 

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2022年01月09日

Posted by ブクログ

2021/06/04
2021年15冊目。
タイトル通り『感染症の世界史』を学べる一冊。
ウィルスの変異・進化は人類の発展と共に一定理解できるが、アフリカ大陸の貧困国での教育の欠如、不衛生によるウィルスなどは防げるのでは無いかと考えてしまった。
特に中国の食文化に起因するウィルスなどは全く理解できないし、日本におけるワクチン接種への偏見などは、狂気の沙汰としか思えない。2021年という社会でも定性的な理由で接種しない・させない人いるもんね。
50年前の社会モデルから成長してない側面の一つ。

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2021年06月04日

Posted by ブクログ

感染症の歴史がわかってよかったけど、少し細かいところが多くてつまらないところもあった。
感染症と人間はずっと戦っていく。

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2021年04月20日

Posted by ブクログ

「新聞の連載記事みたい…」と思いながら読んでいたら、巻末に「WEBマガジンに連載」(p361)とあり、また筆者のキャリアの出発点は新聞記者とあったことからなるほどと思った。
「世界史」と銘打ってはいるが、年代順に考察されたものではない。また、新聞記事特有の、少数説だったり筆者の推量だったりするものを、あたかもオーソライズされた内容のように断定的に記述している箇所も散見される。それに、インフルエンザやエイズで亡くなった有名人の記述なども必要なのかと思うし、参考になる内容もあるけれど、「名著」の評価が多いのには正直疑問を感じる。コロナ禍のこんな時だから、そういう評価になってしまうのかな…。

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2021年04月11日

Posted by ブクログ

デング熱、マラリア、エボラ出血熱、ペスト、結核、ピロリ菌、トキソプラズマ、エイズ、ヘルペス、インフルエンザ、麻疹、風疹…。
これらの感染症の大流行の記録をたどったり、近年の遺伝子解析と知見を踏まえたりして、どこで生まれ、どのようにウィルスが変化し、感染が拡大するようになったかを明らかにしていく。

ペストやマラリアなどについては、『感染症の中国史』などでも読んでいた。
こちらの方は、感染症の「世界史」だけあって、扱う感染症の数も多い。
限られた紙数で、ここまでデータを盛り込んであるのは単純にすごいと思う。

初めて知ったのは、成人T細胞白血病がウィルス性のものであること。

終章の高齢化社会と感染症の関係も、大きな問題となるトピックだと思った。

ただ一つ、気になること。
感染症にかかった有名人は、歴史的な人物で、近縁の人がいない人ならともかく、挙げない方がいいのではないかという気がする。
258ページの記述は、特に、噂があったことを今、また蒸し返すことになりはしないか?

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2021年01月06日

Posted by ブクログ

有名な感染症の、起源と症状と人類への影響の、列挙という感じ。全てを網羅して詳しく知りたいときの入り口としては良いかもしれないけど、物語としての面白さ(例えば筆者がデング熱に感染したときの場所の雰囲気や症状を面白く描写したりしてほしかった)はない。その点、「感染地図」の方が人類vs細菌の視点の引き込む読ませ方があった。

これも新型コロナ流行以前に書かれたものだけど、やっぱり人類の発展と感染症の広がりは不可分だし、どんなに科学が発達しても細菌はコントロールできないし、果てない追いかけっこをしていくしかないのだと思った。

人類の、有史以前の足跡に思いをはせられる、小さくて壮大なスケールの話。

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2020年11月04日

Posted by ブクログ

とにかく良く効く睡眠薬であった。笑
あらゆる感染症は、出ては収まり又出てくるという歴史を繰り返しているのだ。
300ページ位でざっくりと、有名な感染症について知るには分かりやすくて良かった。
インフルエンザもスペイン風邪以前(1500年代)から存在しているのだから、今回のコロナも簡単に終息など出来るものだろうか?と思った次第である。

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2020年08月31日

Posted by ブクログ

コロナの影響で遅ればせながら読み始めた。
人類と感染症の歩みについて、分かりやすくまとめられている。
これを読むと、感染症が人類と切っても切り離せないものであることがよく分かる。

まずウイルスというものは、基本的にどこにでもいるらしい。空気中、人や動物の内臓や皮膚といった所はもちろん、南極だろうが深海だろうが発見されている。
むしろ乳酸菌など一部の菌とは共存関係にある。
少なくとも人の住う所には確実にはびこっている存在なので、人類の歴史には感染症も当然ついてまわる事になる。
ウイルスは現代でもワクチンの開発を上回る速度で進化を続けている。まさに追いかけっこだ。

本書の終章では、新たな感染症の始まりや激戦の予想に、中国やアフリカの衛生環境、野生動物を食べる習慣、野生のネズミやコウモリが保有するウイルスからの感染など、今回のコロナ禍を予想する内容が書かれている。
新型コロナの被害が大きな欧米を中心に、発信地となった中国に責任を求める風潮もあるが、一部の地域や人々に原因を見るのは危険な行為であるように思う。
いくつかの感染症は、ダムや灌漑施設などの開発がきっかけで流行し、「開発原病」と呼ばれているらしい。
また、「農地の拡大、森林伐採などの環境破壊や地球温暖化が、感染症の発生や拡大に影響を与えると思うか」というアンケートでは、半数以上の専門家がイエスと答えている。
感染症は中国やアフリカだけが招くものではない。人類全体と深い関係がある。そこに目を瞑って現状だけ打破しようとするならば、次のパンデミックを招く事になる。

今回のパンデミックでは、日本は比較的感染者、死者数が抑えられている国だ。それに対し各国から疑問視する声が聞こえ、今のところ曖昧な解答しか見られない。
しかし、次なる感染症に備えてというだけでなく、オリンピックを控えるなか、曖昧な対策だけでは諸外国、特に被害の大きな国は納得しないだろう。
感染症がなくなるものでない以上、このままの流れで収束を待つのではなく、具体的な対策を持たなければ、ウイルス以外の被害も更に拡大していく恐れは大きい。

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2020年06月17日

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