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まだ「何者」にもなれない「誰か」へ――。
家に猫がいる者ならたいてい「うちの猫は特別だ」という。
だが彼とともにいた猫は本当に特別だった。
九年間、小説を書くときにはいつもそばにその猫がいた。その猫がいなければ小説なんて書けなかった。
彼は猫を飼っていたわけではなかった。ただ猫とともに暮らしていた。
――本文より抜粋
これは石川布団という作家と、人語を解す「先生」と呼ばれる不思議な猫とがつむぎ合う苦悩の日々。
企画のボツ、原稿へのダメ出し、打ち切り、他社への持ち込みetc...
様々な挫折と障害に揉まれながらも、布団は小説を書き続ける。
時には読者に励まされ、時には作家仲間に叱咤され、ひとつひとつの出来事に、一喜一憂していきながら、素直に、愚直に、丁寧に、時にくじけて「先生」に優しく厳しく叱咤激励されながら――。
これは売れないライトノベル作家と「先生」とが紡ぎ合う、己が望む「何か」にまだ辿り着かぬ人々へのエール。
優しく、そして暖かな執筆譚。
カクヨムで話題を呼んだ、奇才・石川博品の同名短編小説を、大幅加筆修正した完全版。
イラストは『バッカーノ!』『異世界食堂』など、各所で活躍中の人気イラストレーター・エナミカツミ。
※「ガ報」付き!
※ガガガ10周年電子特典!シリーズ既刊すべてのカバーイラスト付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
Posted by ブクログ 2023年03月02日
半分くらいは、石川先生のリアルな経験なんだろうなぁと思う。
あるいは、今までに読んで「個性的で面白い、少ない巻数で終わったのが惜しい」って感想を抱いたラノベの作者さんのほとんどはこういう苦い経験を積み重ねてきた人たちなのかなぁ、なんて思ったりもした。
じんわりと心に残ってふとしたときに思い出すような...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月31日
この作家さんの本を読むのは2冊目となる。石川布団(もちろんペンネーム)という売れないラノベ作家と、人語を解し本までも読む猫の「先生」が織りなす日々を描いている。あたためていた企画が出版社の都合でボツになったり、原稿にはダメ出しを食らったり、シリーズが打ち切りになったりもする。これって、よくあること...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年03月07日
帯に「絶賛の声多数!」とあったので期待しすぎたかな…
出版物全てに言えるけど、帯で過剰評価し過ぎな作品は総じておもしろくないなぁ…。
思った通りに最後先生死んじゃうし。
思った通りすぎて泣けない。
死=感動 という「絶賛の声」ならなんて安い絶賛なのか。
私は作家じゃないからそうなのかと思うしかな...続きを読む
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