Posted by ブクログ
2018年10月21日
落合博満氏が、社会人野球の監督から受けた質問に答える形式で、野球について語った本。落合氏の野球に対する考え方の一端が理解できた。中日の監督としての采配の裏話は、興味深かった。意見の食い違う点もあるが、面白く読めた。
「(素振りの重要性)本当に身になるのは面白くない練習なのだ」p66
「内野のプレー...続きを読むにできるだけ投手を入れないのは守備の基本だ。一塁手は、併殺を狙えるケースでゴロを補給して二塁に送球したら、あくまで自分がベースに戻るつもりで練習しなければいけない。3-6-1ではなく、常に3-6-3の併殺を狙うのだ」p87
「社会人はプロのファームよりもチームとしての力は高いと感じている」p113
「私は力が同じならベテランを使う。誰の目で見ても若手が上回っているという状態になって初めて、ベテランから若手に切り替えるのだ。チームを勝利に近づけるためには、経験が最も必要となる」p118
「社会人でレギュラーになれるような選手は、あるプロ野球でレギュラーが故障した際「1試合でいいから代わりにプレーしてほしい」と言えば、十分に働いてくれると思う。ただ、それが10試合、1か月となると難しい。それだけ、高いレベルの仕事をコンスタントに続けるのは容易ではなく、だからこそプロのレギュラーの代わりはいないのだ」p145
「器や舞台が人を作る」p147
「ありえないような凡ミスを選手がしてしまったときこそ監督の指導力が問われている」p165
「プロフェッショナルの定義は「当たり前のことを当たり前にやり遂げること」」p165
「選手にとっては、誰から褒められるのか、誰に叱られるのかが極めて重要なのだと知った」p176
「人間関係を良好に保ちたいと、指導者が態度や言葉で下手に出てはいけない。そこには指導者らしい立ち居振る舞いが必要だろう」p176
「監督は時代の進歩から遅れないように勉強を続け、若い選手には古きよきものと古臭いものを選別できる目を養わせる」p191
「プロ野球は、大半の選手が30歳になる前に去っていく厳しい世界」p193
「練習するのは選手だけではない。ノックにしろ、ベースコーチとしての判断力にしろ、コーチも本気になって練習するチームは、必ずチーム力が上がるはずだ」p210
「社会人まで野球を続けることができた選手は、もっと会社で仕事をしてもらいたいと思う。日本でも名の知れた会社に入れたのは、野球の技量を認められたからである。だが、身分はあくまでも会社の一員であり、野球が本業ではない。最近、社会人からプロ入りする選手に「世間を知らないな」と感じさせることが多いからだ。野球の技術は上達していても、本当の大人になっていない。それでは職業になった野球ではなかなか大成できなくなってしまう。人間的な成長を促すには、職場の力を借りることも必要だ。これからの社会人野球には、グラウンドと職場で選手を育てようという発想が必要だと感じている」p227