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人口減少が進み、働き手が減っていく日本。財政赤字は拡大の一途をたどり、地方は「消滅」の危機にある。もはや衰退は不可避ではないか――。そんな思い込みに対し、長く人口問題と格闘してきた経済学は「否」と答える。経済成長の鍵を握るのはイノベーションであり、日本が世界有数の長寿国であることこそチャンスなのだ。日本に蔓延する「人口減少ペシミズム(悲観論)」を排し、日本経済の本当の課題に迫る。週刊ダイヤモンドの2016年〈ベスト経済書〉第1位。
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Posted by ブクログ
10年くらい前の本ですが、課題や問題点は今と変わらず。想定より早く人口減少にさらされており、やはりイノベーション、それも世界を変えるレベルじゃなくても、より良い生産性が必要になってくる、と改めて感じた。 何となく思っていることを言語化してくれる本だと思いました。
少子化が叫ばれる日本の出生率は2023年に1.20まで低下した。アフリカ諸国の6.0と比べると圧倒的に低く、先進国の中でも最低レベルを推移している。一方で平均寿命は男女共に80歳を超えているから、相対的に少なくなる若年層の負担は今後暫く増加していくのは間違いない。何より寿命は誰にでも訪れるから、出生...続きを読む数が減少することは将来に渡り人口が減っていく事を表している。 18世紀のイギリスの古典経済学者であるマルサスが著した「人口論」は食料生産力の増加を超える人口増加は人々を経済的貧困に陥らせる事に警鐘を鳴らし、人口抑制策の導入の必要性を説いたが、今の日本の未来はその反対側の方向へと向かっている。だが世界レベルで見れば地球上の人口は100億を近い将来超える勢いがあるし、既に食糧不足を危惧する声は大きくなって、日本でも最近昆虫食に注目が集まるような状況だ。 日本の様な人口の減少が今後何を引き起こすかについては、自然に考えつくのは経済活動の停滞に伴う、経済規模の縮小の懸念であり、昨今GDPでドイツに抜かれたことからも、それを思い浮かべる人は多いだろう(実際は円安に伴う影響が大きいだろうが)。だがドイツも出所は低迷し、日本と大きくは変わらない。違いは移民を受け入れる政策にある。移民を受け入れてまで経済拡大を望むか、人口減少による経済縮小を受け入れつつも、日本人としての道を歩み続けるのか。人それぞれ考え方の違いはあるだろうから、議論が分かれるところだ。 では経済の拡大は望めないのか。本書では過去の日本が高度成長期に労働人口の増加率を遥かに凌駕する経済成長を遂げたことに注目する。それは技術革新・イノベーションの力であり、必ずしも人口の増減と経済規模が単純比例しない事に触れる。また、その背景には人々が裕福な暮らしを望み、モノを欲しがる気持ち、所謂需要が旺盛であったことが、市場の拡大を生み、日本が世界有数の経済規模になれた事にも言及する。人間の欲は無限で、他人よりも豊かな暮らしがしたい、美しい服を着たい、美味しい物を食べたい、といった欲望が経済の拡大を引っ張る要因である事を説明する。 だが人間的な裕福が必ずしも経済規模だけで測れるかと言えばそれはノーだ。現在進行形の人口減少がこのまま続けば、勿論何もしなければ経済規模は縮小し、世界での順位は下がり続けるだろう。だがしかしそれがそのまま不幸な事だとは言い切れない。昨今量より質が問われる時代であり、更には個人の嗜好が重要な時代に入る。私にとっての幸せと他人の感じる幸せの尺度は異なる。それぞれにとっての幸福度は、国の経済規模だけでは測れない。 そうした様々な考え方と議論の中で、読者が何を考え、何を幸福・豊かさの基準とするか。我々一人一人に問いかけてくる一冊である。 また最終的にはこれからの超高齢社会や人口減少は社会が変わる節目であり、そこに新たにビジネスやイノベーションが巻き起こるチャンス・機会とも捉える事ができる。そうした意味でその時代を生きる我々の周りには凡ゆる検証機会ときっかけが溢れているという事を教えてくれる。ただひたすらに産めや増やせやで人口も生産も増加させた時代は終焉したのだから、新しい時代の新しい考え方、価値観を持つ事が重要になってくる。
人口減少は大問題だが、それが経済停滞の言い訳にはならない。国内外問わず需要を創出するイノベーションと生産性向上することで、経済は人口と関係なく成長可能。 経済成長の是非まで言及されており、徹底して客観的な分析姿勢が窺える。そのため、納得感が高い良書であった。
ライフネット生命創業者の出口さんのオススメ本。 ●レビュー ・人口と経済の関わりを、歴史、海外との比較、経済学者などの論考への分析などの多面的に検討する画期的一冊。 ・人口は増えたほうがいいとか、減ったほうがいいとか、単純な議論ではなく、双方のメリット、現状の問題点などを洗い出している。 ・人口減少...続きを読むに伴う諸問題(GDP減少懸念、高齢化、長寿問題)に対する解決策は、イノベーションと移民受け入れですって結論は割とシンプル。 ●ほか ・マルサス、アダム・スミス、ケインズ、ミル、漱石、老子、内藤湖南など引用が豊富。 ・GDPのメリット(経済のサイズを測るに便利な指標である点)とデメリット(家事の価値など)は参考になった。 ・高度経済は実は内需が支えていた、ってことを仰られていて、その点、野口悠紀雄さんとかが仰ってたこと(キャッチアップモデル、人口増加、圧倒的円安、1940年体制とかだったかな)に対してもう少しデータに基づいて話してくれると嬉しいです。
日本は少子高齢化により人口が急激に減っている。働き手は減り、地方都市は消滅の危機にある。もはや日本の衰退は不可避ではないかという論調が多いが、そのようなことはない。経済成長をもたらすものはイノベーションであり、人口が減っていくからといって、衰退が避けられないというものではない。以上が、本書の骨子中の...続きを読む骨子だと理解した。 それでは、そもそも経済成長って必要なのか、必要だとすれば何のために必要なのか、という問いも本書は投げかけている。この問いに対しての、私なりの理解を下記したい。 経済成長をもたらすものがイノベーションであるとすれば、イノベーションのないところに経済成長は起きない。では、イノベーションが起これば、どのような良いことが起こるのか。端的で分かりやすい例は、平均寿命の伸長である。平均寿命の伸長には、多くのイノベーションが与っている。それは、例えば、新しい薬の開発であったり、新しい治療方法の開発であったり、あるいは、国民皆保険や乳児に対しての予防接種というような社会システムもイノベーションとして考えても良いかもしれない。これらのイノベーションが平均寿命の伸長という果実をもたらしたのである。経済成長が起こっているということは、どこかの分野で、このようなイノベーションが起こっているということであり、一般的にイノベーションが起これば社会を良くするものである、これが経済成長が必要な理由の一つである。 また、成長か平等か、という議論が別にある。経済成長の結果、世界の多くの国で所得格差が広がっているのではということが言われている。しかし、格差を是正するためには、やはり成長による原資が必要となる。そういった面からも経済成長は必要である。ただし、これは成長した「から」格差が是正されるという関係にはなく、それはそのための対応が必要な事項である。 たしかに、このようなことは言えるとは思うが、事はそれほど簡単ではない気もする。少子高齢化により、高齢者人口が増大したことにより、社会保障費により多くの原資が必要になっている。経済成長により、国の富が増えても、そのうちの多くの部分を、追加の社会保障費に費やさざるを得ない状態が、今の日本の状態ではないだろうか。個人から見れば、折角、給料が増えても社会保険料や税金の増加により、それがなかなか実感できない、そういう状態かと思う。「イノベーションが経済成長をもたらす。従って、必ずしも人口減少は、あまりに悲観的に考える必要はない」という本書の考えは、少し楽観的かな、とも感じる。
過去の日本や欧州、アメリカの過去のデータから分析しているので内容が凝縮されている感じでした。戦前の日本は、平均寿命や寿命のジニ係数(不平等度)から見れば、大いに問題があった等、色んな意見に関してこうだったと調査結果を載せている内容は良かったと思います。 経済成長といっても吉川氏は何が何でも成長ではな...続きを読むく、成熟した先進国においてもそれぞれの経済に合った経済成長という意見なのも好感がもてましたね。
人口問題から経済学を見るなんて面白い発想だなと思って手に取ったのだが、全くの勘違いであった。面白い発想どころか人口問題とは経済学のメインストリームであることを本書で初めて知った。 10年前にベストセラーになった藻谷氏の「デフレの正体」を著者が意識したかどうかはわからないが、経済成長は人口ではなくイノ...続きを読むベーションによって決まる、が本書の主軸だ。確かに直接の因果を突き詰めればそうかも知れぬが、イノベーションは人間がなすものなれば、その数が多いほどイノベーションが生まれる確率も動機も高くなると見るのが自然だろう。さらに言えば経済成長と人口増減の相関を見るなら両者の微分をスケールを標準化して比較しなければ結論を出せないと思うのは理系人間だけ? また国債を日本人が持っているから安心だとの説(今で言うMMT?)に対する反証として、株と外国人株主で喩えているがこれもナンセンスだ。国債を企業活動に例えるなら、社債をその会社の従業員だけで保有している状態を想定すべきだし、その場合は会社は社債を返すために従業員の給料を下げる手段が取れる、という意味で社外の債権者に返済するのとは意味が異なるだろう(それが解決策だとは思わないが、増税で国債を償還するのはそういうことだ)。 このように首をかしげる内容も少なくないのだが、「経済成長の飽和点=ゼロ成長社会」が存在するかどうかの命題は、「これ以上の寿命の延びを望むかどうか」に置き換えられるという説明は納得できる。言われてみれば不自然なテクノロジーで寿命を無理やり延ばす様子は、どうでもよいイノベーションでさして必要のない商品を無意識的に購買させられる姿と重なる。100年前なら葬式で「それは寿命でしたな」と慰められる状態も現在では短命と嘆かれる。つまり「寿命」には生物学的な定義などなく、人々の観念上の概念に過ぎないのだから、「これ以上長生きしなくともよい」との合意が形成されればゼロ成長社会が到来するのかも知れない。ただしその世界は旧共産圏のような色のないものになるだろうが、それも人々の総意なら皆Happyであろう。
筆者が本書で主張していることは、「人口減少・高齢化時代の中で経済成長を遂げるために必要なものはイノベーションである」という1点に尽きると思われる。 人口減少については経済力が失われるという悲観的な議論になりがちであるが、著者はイノベーションによって経済成長は十分可能であるという見方をしている。 ...続きを読むただし、イノベーションを起こせるかは企業次第であり、日本企業に対して注文も付けている。 著者はマクロ経済学の専門家であるため、企業がどのようにしてイノベーションを起こすかまでは踏み込んでいない。企業家が考え、実践すべきことだろう。
生産性の向上を如何に成すか、が本書のテーマ。 人口が増えずに生産手段の機械化(人力からブルドーザー)によって経済成長をした、という箇所は分かりやすかった。 ただし、機械化が益々進み、更にAI・人工知能が加われば、人(労働者)はさらに不必要になるだろう。現在でも消費者と労働者のバランスが崩れ...続きを読むている(本来は一人の人間において不可分)というのに、これから益々歪な在り方が進むのだろう。
ジニ係数の定義。再分配を考慮したジニ係数は当然低い。再分配を考慮しない年齢別ジニ係数はとくに高い。平均寿命に関する格差も挙げられていて、昔は裕福さに比例した格差があったが今は格差はあまりない。19世紀末の平均寿命はアメリカと日本はほぼ差がないが、1945年まで日本は横ばいで50代?だったのに対し、ア...続きを読むメリカは70近く?まで伸びている。衛生管理や病院の復旧度合い。GDPは不完全な指標だが、これほど重要で情報を持つ指標はほかにない。料理を自分で作るとGDPは増えないが、外食するとGDPは増える。お金の移動のない価値創造に対して、換算がされない。こういった指標は昔は戦前ヨーロッパで研究されていた。今は国連がやっている。需要の飽和により不況が発生する。経済活力の源は人間の欲、ぜいたく、恋愛。イノベーションによりGDPは上昇する。
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