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最愛の人を喪った武蔵は、笑みを絶やさなかった。それは鉄壁の鎧のごとくであって、余人の付け入る隙を与えぬがためである。槍術の達人・宝蔵院胤栄、そして天下の剣豪・柳生石舟斎とあいまみえながら見据えるのは佐々木小次郎の姿。ときに憎しみに近い妬心を、ときに身を捩りたくなるような懐かしさを覚えさせる男。いざ、決戦のとき。衝撃と感涙のクライマックスに向けて物語は猛然と突き進む。堂々のシリーズ最終巻!
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Posted by ブクログ
花村版武蔵の第6巻目で最終巻。 本巻では、歴史も絡み、あれよあれよと有名な対戦相手たちを戦うというテンポの良さに驚いていたら、最終巻でした。 吉川版が自分の武蔵の原体験になるので、ようやく本堂に入ったかと思っていただけに呆気なかったです。 本蔵院胤栄や柳生石舟斎との出会い、宍戸、奥蔵院、吉岡、小次...続きを読む郎との戦いというこれまでの武蔵小説の名場面がこの巻に集中しているので、これまでの巻はこの巻のためにあったといえると思います。 さらに、小次郎との戦いがクライマックスなのは他の小説と大差ないのですが、戦いの最中にこれまで出会った人たちの回想とその影響の考察が数ページにわたって続くところが、これまでの物語を読んできた読者への総集編的なサービスのような気がしました。 ただ、最後まで上と下の二刀流を極めていくことには変わりがないので、特に奈良や京での活躍以前の少年武蔵の物語としてはエロ度が高いとはいえ評価されるのではないでしょうか。
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