キッド・ザ・ラビット ナイト・オブ・ザ・ホッピング・デッド

東山彰良

キッド・ラビットが昏睡から目覚めると辺りには人っ子ひとり――というか、兎っ子一匹いなかった。そう、ぼくたちは人間じゃない。兎だ。人間たちはまだ気づいていないけど、兎社会を脅かす大事件が勃発した。死者が甦り生者を襲ってむしゃむしゃ喰っているんだ。いまや森はホッピング・デッドどもの天下で、この兎史上最悪の状況を終わらせるには、死の山に棲む人喰い熊を狩らなければいけないという魔女ラビットのお告げなんだが……いったいなんてこった！ 直木賞作家が贈るスラップスティック兎ゾンビ小説。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 双葉社
• 掲載誌・レーベル: 双葉文庫
• 電子版発売日: 2017年04月18日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★☆]

「花は桜木、散り際が花」
兎には兎の生きる世界があり、それは熊も人間もゾンビだって変わらない…
兎達の可愛らしさ、逞しさ、生き様が活き活きと描かれており読めば読むほど魅了され、兎のファンになった。(無意識のうしろ足トントンやキックキックがとても可愛いらしかった)
捕食者の彼らは「死」を受け入れるのが上手く、いざというときにはカテコラミン(毒)を出して死ねるという特性がある。幸せに生きる為の防衛本能が備わってるってすごい。
兎の病院や食料工場、酒場など生活感ある兎の暮らしぶりが豊かに描かれていたのもよかった。
動物によってそれぞれ脅威になる生き物が違っていたり、人間の足腰の弱さに兎達がほとほと呆れるところなど視点が面白かった。

ジョニーとラッキーボーイ、キッドとエディ。
この子達の魂が来世でどう巡り合うのか、パパ・ゲーテの呪いに抗いどう生き抜くのかなどとても気になる。3作目が読みたい。
冒頭のパパ・ゲーテとジョニーの会話も気になるので前作のジョニー・ザ・ラビットの方も読んでみようと思う。