Posted by ブクログ
2017年06月29日
まさか、スピンオフを豊田先生本人が描くとは思ってもいなかった
それだけの実力と自信が豊田先生に付き始めたのは、(1)からファンである漫画読みとしちゃ嬉しい限り
やはり、本人が描くと、質の高いスピンオフになるな。『鉄牌のジャン!』や『鬼切丸伝』が良い例であろう
いや、もちろん、『男塾外伝』シリーズや、...続きを読む『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』などが面白くない、と言っている訳じゃない
他の漫画家さんが書く事で、オリジナルでは出せない味が出る
いずれにしても、ファンを満足させる、それが大事であり、それを満たしていなければ、スピンオフやパロディは描くべきじゃない
『パパと親父のウチご飯』は、先にも書いているが、子育てをベースにした食漫画である。なので、食系の漫画だけでなく、育児をテーマにした作品の中でも上位に食い込めるだけの内容だ
そんな好い作品のスピンオフの主題、それは父親らの家呑み
シングルファーザーに限らず、世のお父さんは育ち盛りの子供がいれば、外で一杯ひっかけてくるのは難しい。金銭的な事情、奥さんに怒られる可能性など、色々とあるだろう、理由は
しかし、どうしてもお酒が呑みたい、できれば、最高のオツマミと一緒に
そんな悶々としているお父さん、そんな我慢してくれているパパのために何かしてあげたい奥さんにお勧めだ、この『パパと親父のウチ呑み』は
本家と同じく、家でも作れる、ってのを大事にしているので、料理のレベルは割と平均的。なので、普段は台所に立たないお父さんも一念発起すれば、作中のオツマミを再現し、家でも美味しいお酒が呑めるのは間違いない
スピンオフだけあって、基本的に子育て感は薄く、哲と晴海さんが二人で美味い酒を呑み、楽しみ、絆を深めるってトコに、ストーリーの重きがある
こう言っちゃなんだが、本家より腐女子、腐男子を喜ばせそうな距離感だ、哲と晴海さんは
子供を育てるのは大変だけど楽しい。けど、ふと、息抜きしたくなる時だってある
それは責められる事じゃないし、責めてはならない事だ
子のいる大人は、いつも肩肘を張ってなきゃいけない決まりもない
『ワカコ酒』のように外呑みもいいけれど、親友と言うには少し違うパートナーと絆を強めるのなら、時間や料金に気兼ねなく呑める家の方が良いのだろう
どれも美味しそうだけど、やっぱり、3話「豚の角煮」にはKOされてしまった。夏に作るには、少し熱すぎる料理ではあるかもしれないが、夏バテを避けるのであれば、スタミナのつく豚肉はぴったり。この角煮と米を一緒に食べる、想像しただけでお腹が減ってくる。また、ジイさんらから商品を巻き上げた哲が晴海さんにコテンパンにされるってストーリーのオチも良かった
この台詞を引用に選んだのは、やっぱり、哲は良い男だな、と思ったので。哲本人は晴海さんが抱えている、仕事に対する小さな悩みは知らない。これも、アボカドについて言っただけだ。けど、そういう言葉が案外、閉塞しそうな現状に突破口を開くのだ。この言葉をポジティブに受け止め、動いてみた晴海さんも、やっぱり良い男だ