Posted by ブクログ
2018年12月22日
相変わらず町山さんらしい映画紹介本。
映画の造詣の深さがさく裂しつつ、するする読める。
今回は、映画と本(原作だったり、映画に出てくる本だったり)の関係をテーマにしている。
前半は割と本と映画との関係が色濃いのですが、中盤かは「本」との関係が色濃くもなく、本の紹介というよりは映画がほぼ主役です。...続きを読む
紹介されている映画はどれも面白そうだが、特に興味が湧いたのは。
・あなたを抱きしめる日まで
これが実話だなんて、「事実は映画よりも奇なり 」ですね。
・リンカーン
リンカーンが鬱でいて、無類のジョーク好きだったなんて、まったくイメージになかった。
リンカーンの人間の大きさというかオリジナリティに惹かれます。
「リンカーン うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領」って本があるみたいですが、なんかすごい副題のつけ方ですね。
・ニーナシモン 魂の歌
私はニーナシモンの歌は本当にかっこいいと思ってますが、まさかこんな激しい性格の人と思っていませんでした。どっしりと構えていて強いという印象でしたが、それとは違うんですね。
また境遇、人生も波瀾万丈で。黒人として差別のなかエンターテイメント業界に生きていた人たちは基本的に皆、過酷な人生を送っているともいえますが。
・眼下の敵
このエッセイは、映画が副で、本(詩人)がメイン。
自己と肉体を讃えるホイットマン
内向的なエミリー・ディキンソンの対比。
エミリー・ディキンソンも名前も知らなかったが、素敵な詩を書く人ですね。弱い者の味方。
・キャロル
パトリシアハイスミスが別名で発表していた女性の同性恋愛の物語。
パトリシアハイスミスの若い時代は同性を好きになることは精神病として扱われていた。そんな中、パトリシアハイスミスはきちんと自分の性質と向き合い、婚約を解消したという逸話がなんともかっこよい。その時代にそれができるというのは本当に意思が固いのだろうと。