半自叙伝

半自叙伝

小説・文芸
913円 (税込)

4pt

5.0

現代日本文学最高峰の作家は、時代に何を感じ、人の顔に何を読み、そして自身の創作をどう深めてきたのか――。老年と幼年、魂の往復から滲む深遠なる思索。

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    Posted by ブクログ

     2012年刊行の『古井由吉自撰作品』全8巻の「月報」に連載された「半自叙伝」、1982年-83年刊行の『古井由吉作品』全7巻に掲げられた「創作ノート」とを合わせて1冊とした書物。1937年生まれの著者の戦時体験・戦後体験、学生時代・教員時代、専業作家への転身とその後の心境が淡々と綴られていく。古井は1945年5月の東京西南部空襲で焼け出されていて(安吾が『白痴』で描いた空襲では?)、父方・母方の生家のある岐阜県大垣市・同美濃町に相次いで疎開している。朝鮮戦争の記憶が生々しく描かれたところがとくに重要。

     1977年-1980年刊行の文学同人誌『文体』の編集作業をめぐるエピソードや、『作品』から『海燕』に活躍の場を移した寺田博をめぐる想い出も興味深いものだった。しかし、「何が書かれているか」よりも、内に内にとぐろを巻いていくような文体の方に知らないうちに意識が引き寄せられてしまうのは、この作家ならではの読後感なのだろうか。

    0
    2019年07月31日

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