淡々と利上げを続けるパウエルFRB議長については、そもそも彼が指名される前の書なので記載はない。
しかし、トランプの経済政策が効果を上げるには、FRBが利上げ路線を放棄しなければならないとの指摘とその論拠は、現在のトランプによるパウエルへの口撃の背景を知るのに有用である。
ただ、著者はFTPL(物価の財政理論)なる論を紹介しながら進めているが、トランプのツイートなどを読むに、実際はもっと単純に適切な経済成長率をどこに見るかの差異を巡る衝突のような気もする。
具体的には、リーマンショック以前の3%弱あたりを見るのか、Make America Great Againなのだからと3%台後半、欲を言えば4%あたりまで期待するのか。
FRBは前者の立場で、足下4%台に達した今のアメリカの経済成長率は、放っておけばインフレが加速して然るべき状況なのだから今利上げしなくてどうする、となる一方、トランプからすると減税・インフラ投資でこちらが頑張っているのだから足を引っ張るな、と。