「人間に本能なんかないよ」――死んだ友。その妻と娘と性交するぼく。あいまいな記憶。生者と死者が睦み合う、心地良くも危険なパレードがはじまる。存在することの根本を問いかける著者渾身の長篇小説。
「どのひともここへはまっすぐたどりつかれへん」
「長谷川が死んだらしいで」
「いうてみてよ。わたしとセックスしたんいつどこでよ」
「人間に本能なんかないよ」
「猫は死んだら大きな虎になるんや」
「あんたすぐそうやって男のこと好きになるよな」
「お母さん、武藤としたん??」
(本文より抜粋)
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