王妃の帰還

柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』の次はコレ！ いま最も注目を集める著者が贈る、パワー全開！永遠のガールズ小説!! 王冠を手にするのは誰？ 教室は少女達の戦場！ 私立女子校・聖鏡女学園中等部二年の範子は雑誌の編集長として勤める母と二人で暮らしながら、チヨジ、スーさん、リンダさんという気の合う仲間たちと、地味ながらも楽しく平和な学園生活を送っていた。ところが、クラスである事件が起き、公開裁判の末に滝沢さん（＝王妃）がクラスの頂点にいる姫グループを追われてしまう。なりゆきで滝沢さんを迎え入れることとなった範子たちだったが、彼女の傍若無人さに、グループの調和は崩壊！ 穏やかな日常を取り戻すために、範子たちはある計画を企てる……。傷つきやすくて我がままで――みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説！

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 実業之日本社
• 掲載誌・レーベル: 実業之日本社文庫
• ページ数: 256ページ
• 電子版発売日: 2015年06月19日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★★]

楽しかった…！4日くらいで読んでしまった～。
柚木さんの書く物語やっぱり好きだなあ。

女子校で何年もずっと一緒だと考えると、確かにこういうことあるよな…と思ったり。
身近な人も中高一貫女子校で、「嫌なところも好きなところも一人ひとり全部一周する」って言ってて、まさに。
田舎公立出身の私だけれど、これに近いものがあったよなあ、と学生時代を思い出した。
中学生の多感な時期なんて、こういうことめっちゃある。残酷なことを平気でするし、まさに「悪魔」だと思う。

いわゆるカースト制度の話だと思うけれど、一人ひとりを見てみるとただ等身大の中学生でしかないんだよな。
でも自分が学生のときは、頭では分かっていても行動に移せなかったな。結局似た人とずっと固まる方が楽なのよ。姫グループに憧れる気もめちゃくちゃわかる。

こういう過去があって、みんな落ち着いていくんだなあ。
きっとチヨジグループも、王妃も、みんな大人になってもこの経験はしといてよかった、って思うんじゃないかな。

[ブクログ · ★★★★★]

よかった〜。最初は中学生可愛いなぁと思いながら読み進めてて、段々と可愛いだけじゃなくて良い子でえらいなぁ、特に主人公周りの子たちってなる。
読者は登場人物より歳上だからちょっと我儘なリンダさんとかかなり横暴な王妃の態度とか幼いなぁ可愛いなぁと読めるけど、同い年の主人公やチヨジ、スーさんが寛容に受け入れてるのが偉くて皆大好きになった。
主人公周りみんな大人すぎるよ偉いよと思ってたところに、最後チヨジも主人公ノリスケもまだまだ子どもであるところが垣間見えて愛おしい。
王妃の帰還が滝澤さんとチヨジのダブルミーニングなのもすごく良かった。
まだ中学生だからこそ王妃とかアッコとか恵理菜とか過ちをした子のことも認めて許して成長できる、そういうしなやかさや強さがあってよかったなぁ。
とびっきり可愛い見た目で甘いけどビターなところもある柑橘系のお菓子みたいな、そんなお話でした。

[ブクログ · ★★★★★]

最高!!!!百万点!!!!!!
最後の章はもうギャン泣きよ
良い終わり方〜〜幸せ〜〜
色んなことが起こりすぎてもはや走馬灯。この2時間で学生時代をやり直したかと思ったわ。いや〜〜よかった！！
読んでくれ！！！特に女子は読んでくれ！！！

[ブクログ · ★★★★★]

ディアマンクッキー食べたくなる。出てくるものがみんなキラキラしていて可愛い。オタクはちょっとちやほやされると調子に乗っちゃうの、あ〜〜わかる〜〜〜〜！

[ブクログ · ★★★★★]

面白かった‼︎
あらすじだけでもワクワク、ゾワゾワする。
小中学生で女子グループについて悩んだり、疑問を持っていたのでこういう話を読むのは共感の嵐でたいへん面白かった。

[ブクログ · ★★★★★]

いいねぇ〜。中学2年、この時期独特のクラスの空気感、自分に対する理想と現実、友だちやクラスメイトとの比較と上下関係。
あの頃の色んな感情が蘇らない読者はいないはず。主人公たちが経験する出来事とは違っても沸き起こった感情はきっと忘れられないから。
どのキャラクターも他人から見れば地味だったり派手だったりだけだけど、読み進めて色んな顔を見るうちに良いところも人間らしさも味わいもある子たちばかり。きっと世の中の人間ってみんな近くで見ればそういうおもしろさがあるんだろうな。

主人公の思い切りの良さと王妃のどんと構える生き様は気持ちがいい。まだ14歳、だけどもう14年も生きてきた。彼女たちにだって色んな思いを重ねて育ってきた過程がある。そしてこれからも。
愛おしくてどこか大人視点で見て、でも色んな気持ちが沸き起こる作品。

[ブクログ · ★★★★★]

女子中学生達によるスクールカーストの革命のお話

腕時計事件の弾劾裁判を発端に、最上位グループのトップから陥落した滝沢さん
どのクループからも爪弾きにされたのを見かねて地味グループが迎え入れる
しかし、彼女の傲慢でわがままな態度にグループは崩壊の危機を迎えたため、彼女を姫グループに戻す「プリンセス帰還作戦」が始まる

カトリック系小中高大一貫の女子校の中等部が舞台

2-Bのグループ
お姫様グループ：王妃をトップとした最上位グループ、王妃の滝沢さんを中心にしているものの、主導者は村上
チームマリア：聖歌隊やハンドベル部に所属する優等生達
ゴス：V系バンドを好むバンギャ。アイラインをしっかり書く系のメイク。ちなみに推しはGARASHA様
ギャルズ：オシャレに余念がない。仲間を裏切っても上位になろうという感じでグループ内の結束は固くない
地味グループ：主人公のグループ
　前原範子：ノリスケ、料理が得意、泣き虫
　遠藤千代子：チヨジ、編集者のシングルファザーを持つため、オタク趣味も昔のマンガの知識にも詳しい
　鈴木玲子：スーさん、懐が深い
　リンダ・ハルストレム：リンダさん、スウェーデン人のお父さんと日本人のお母さんのハーフ、毒吐きだけど臆病者


担任の若い男性教師 星崎先生：ホッシーへの憧れをキーにした人間関係やら、女子の間での画策、陰謀、裏切り等々
他の柚木作品に比べて粘度の高い女性同士の関係が描かれている

影でいじめる陰湿さとか、グループ間のいがみ合いとかも書かれてるものの、まだ子供だからが故の未熟さが感じられる
まぁ、男がらみで揉めるとは言っても、所詮は中学生
まともな教師ならそんな事はありえないけど、そんな事で一喜一憂するのも幼さですよねー
ただ、教室での地位がたった一つの行動でがらっと変わる様はちょっと恐ろしさも感じる


なんか、政治や歴史の物語を読んだ気になってくるな

範子が歴史好きと言うこともあり、歴史上の出来事や人物に例えられる描写が多数
解説でも語られているとおり、フランス革命がおおよそのモチーフ
フランス革命時の王族、貴族、聖職者、商工会、農民による力の変遷なんかを知ってたらもっと面白く読めるんだろうなぁ


オタクとギャルやバンギャとの交流は「終点のあの子」でも描かれていた
あっちは高校生で、こっちは中学生だけど、なんだかこっちの方がより大人なようにも感じる
学校の設定も似ているところはあるけれど、カトリックとプロテスタントなどの違いもあるし、別のものなんでしょうね
ただ、GARASHA様は共通して話題に上がっているので、同じ時期だったりするんだろうか？


ストーリーが展開するにつれて、範子が変化していくのが興味深い
序盤は縮こまっていたするけど、後半は断罪する事に快感を感じているような描写
人は自分が正義だと思った時に残酷になれるものだからねぇ……
それで結局はブチノリさんという渾名になったところはウケる
本人が望むと望まないにかかわらず受け入れられているのがいいよな

結局、クラス全員のフラットな関係というのは実現できたという事でいいんだろうか？
グループが存在していながらも、それぞれに上下はなく、交流があるというのはそういうことでよいと思う
この辺も、フランス革命をモチーフにしてると感じる部分ですね


似たような小説で、朝井リョウ氏「桐島、部活やめるってよ」があるけど
あっちはウェイ系に見えて実はややこしい事になってたり、オタクで底辺に見えて実はリア充というギャップが描かれたものなので
似ているようでちょっと違うんですけどね


ラストのシーンが、まるで映画的のようなラストカットが思い浮かぶ
いやぁー、若いっていいですねぇ


あと、滝沢さんの名前が意図的に隠されている事が途中で明かされるところ
他の登場人物も含めて、名字だけの人もちょいちょいいるのでまったく気づかなかったな
こんな仕掛けをする柚木さんは、やっぱ物語を作るプロなんだなぁと思ってしまう

[kin3pun · ★★★★★]

この作者は教室の中の微妙な少女の空気、悪意や嫉妬を書くのが本当に上手いです。
昔少女だった人も、懐かしく思い出しながら読めます。

[ブクログ · ★★★★☆]

楽しかった！柚月麻子さん、やはり、好き！
女社会で戦いながらも、母のぬくもりを求める娘の姿を想像して、娘が超愛らしく思えた。

[ブクログ · ★★★★☆]

中学生女子のいざこざ。スクールカーストというか派閥みたいな感じが構成されていたクラスにて、姫グルである滝沢さんがとある事態を起こして、グループを追い出されてしまった。そこで範子のグループに入れたのだが色んなことが起きて、どうにかして滝沢さん（王妃）を元いた姫グループに帰還させようと試みるのだが、友情崩壊しかけたりカーストグループがコロコロ変わったり……。もういかにカースト制があったらどれだけ苦労というか疲れるというかすごい親近感ある。現実で言う1軍とか2軍とか。範子は派手な派閥に所属してる訳でもない普通の立ち位置なのでその立場なのがまたいい。
最後は確かに解説の通り染みた〜下の名前で呼ぶことによって、〇〇さんたちのグループの〇〇さんじゃなくてお互い平等的にクラスメイトで友達みたいな感じする。表現が上手い