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まえかき
シェークスピアを古臭いと、喰わず嫌いになっている人は多いのではないだろうか。一方で400年以上前にイギリスで書かれた芝居が、今でも世界中で上演されている現実がある。特に「ハムレット」はシェークスピアの中でも一番のヒット作で、日本でも上演されない年はないといえるほどだ。
「ハムレット」が「悩める人」の代名詞として使われるぐらいだから一般教養として根付いているに違いない。そしてハムレットの中で使われる台詞も、芝居を離れてよく使われる。俗に「名台詞」「名言」といわれるものである。「生か死か、それが問題だ」を代表として「尼寺へ行け!」「この世の関節が外れてしまったぞ」「言葉、言葉、言葉」などが挙げられることだろう。こんな「ハムレットの台詞」が雑談の中、相手から飛び出したりするのだ。
「ハムレット」という芝居が、何故現代まで生き延びたのか?そして現代との共通性は何なのかを知っておくのも悪くないことだろう。古典は敷居が高いと思われる方でも、本書を読めば「ハムレット」が身近な人と像が重なるに違いない。教養として覚えようとすると、必要性を感じないから嫌気がさすのはこれまでに体験した勉強と同じである。本書は一人の若者のハムレットが「こんなことで悩んでいたのか」と、友人に接する思いで納得できるよう書かれている。
筆者は演劇の仕事に携わり、高名な演出家の側でシェークスピアの芝居を創り上げる過程を見てきた。演劇大学からの依頼でシェークスピアの講義を行ってきたこともあれば、スイスの演劇大学で集中講義の講座を数年続けたこともある。
テレビから流れる舞台中継を馬鹿みたいと思いながらも、古典を知る機会があればとの思いの方に本書は最適である。
面白い話だからシェークスピアは現在まで生き残っているのである。本書は「ハムレット」が身近になるように書いた書籍である。
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