Posted by ブクログ
2011年12月12日
リーマンで同級生で10年愛。どストライクと言っていい話です。
親友のことが昔から密かに好きだった陸郎と、そんな彼のことを一番の親友だと信じている保孝。陸郎は保孝に「俺のこと友達だと思っているよな」と問われて、「一応それはそれでそう思っている」と答えます。
今の関係を壊したくないし、むしろそれ以上にな...続きを読むりたいと思っている陸郎と、ちょっと流され系っぽい隙もありながら何のてらいもなく友情を見せる保孝。陸郎の保孝への気持は、彼女ができて結婚すると言われたら恐くなってしまうくらい真剣なのに、その彼が後輩の泣き落としに流されて寝てしまったと聞いてめちゃくちゃショックを受けてしまいます。
今まで我慢していたのは何だったのか?陸郎はだったら自分のものにするチャンスがあるんじゃないかと決意を固めるのですが。
雰囲気はそれほど重くなくてコミカル仕上げですが、描かれているテーマはシビアです。性愛と友情の境目で立ち往生している男同士の姿が、等身大でとてもリアル。
後輩の加藤くんといたしてしまっても、「ちょっとよかった」とさらっと言ってしまう保孝は、その行為自体に価値を認めていないようだし、重みも感じてなさそう。陸郎とかその後輩とかとちょっと感覚がずれてるのも危なっかしくて、放っておけないタイプです。
3人で鉢合わせした後、度々出てくる後輩の突っ込みが鋭くていいです。保孝より先に陸郎の想いにいち早く気付いていて、これからも二人に絡んできそう。
果たして保孝はこの先どんな風に陸郎の想いを受け止めていくのか、続きが非常に気になります。
だいたい、「好きだ」と告白するのが終盤のこの話、エロは皆無です。でも、その想いひとつ告げるまでの過程にたまらん気持ちにさせられて、エロどころかキスもなかったんじゃないかと気付くのが読み終わった後でした。それくらい、陸郎と保孝の心の揺れに揺さぶられて、引き付けられてしまった話です。
リーマンのオンとオフもしっかり描かれていて、読み応えあります。働く男がケータイ&メールを上手く恋のツールにしているところなんか、リアルでドキっとさせられました。