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日本の農業は正念場を迎えている。高齢化、減反問題、農産物貿易の自由化など、難問が山積している。本書では、日本農業の強さと弱さの両面を直視し、国民に支えられる農業と農村のビジョンを提案する。農地制度や農協問題など、農業発展のブレーキと指摘されている論点にも言及しながら、近未来の日本農業を描き出す。
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Posted by ブクログ
愕然とした。自分があまりにも農業について知らなさ過ぎたことを。必要に迫られて読んだ本とはいえ、これほど衝撃を受けたことはない。 農業の振興は国の基盤だと頭では思っていても、自国の問題としてここまで考えたことはなかった。当たり前のように毎日白いご飯を食べていた自分を反省する気持ちにもなった。 しかしな...続きを読むがら、この本は決して農業政策の批判ばかりではない。タイトルにもあるように”日本農業の真実”が多角的な視点から書かれている。日本の農業の弱さもあるが、強さもしっかりと書かれており、国の明るい未来を考える指針になると思う。
食料・農業・農村政策審議会委員を勤めた農業の専門家による日本の農業の現実と将来性について述べたもの。実務に携わった専門家であり、農業の歴史と現状、有効な施策について現実的な提言がなされている。記述が緻密かつ正確で、日本の農業の置かれている立場と政策の善し悪しがよくわかった。極めて貴重な研究書といえる...続きを読む。印象的な記述を記す。 「自然相手の農業にリスクはつきものだが、近年の日本の農業に関する限り、農政の迷走状態の方が深刻なリスクファクターである」p95 「いま必要なことは現実の農業に関する偏りのない理解の醸成であり、日本の農業にできること、できないことを見極める作業である」p98 「(いま求められるのは)数集落に1戸は、専業・準専業の農家が活躍し、その周囲には兼業農家や高齢農家などがそれぞれのパワーに相応しい農業を営むかたちである」p102 「日本では、10haの規模でベストの状態で稲作が実現している」p105 「なにがしかの支援のゲタを履くことなしに、日本のコメが国際市場で互角に戦うことはできない。不可能なのである」p147 「2007年農家1戸当たりの平均農地面積 米198ha、EU14ha、豪3024ha、日本1.8ha」p149 「半世紀の間、一人当たりのGDPは8倍に上昇した。農業の場合、土地生産性の劇的な変化がない限り(収穫量の顕著な増加は生じていない)、農地面積の拡大なしに他産業並みの所得を得ることは難しい」p151
戦後農政は、常に時代の荒波に翻弄されてきた。そんな中にあっても、農業政策の立案作業に携わってきた歴代の先人たちは、大海原の彼方に見え隠れする将来のあるべき農業の姿を見極めようと、惜しまぬ努力を積み重ねてきた。 生源寺先生は、数々の政府会合の委員として、農政の意思決定の現場に立ち会ってこられた。本書で...続きを読むは、時代の変遷とともに、農政に携わる人々の意識がどのように変化してきたか、その背景に何があったかが、克明に記される。 現在、農政を揺さぶる大波は、過去に例をみないほどの高さに達している。その効果であろうか、世間の注目度も格段に高まっている。このチャンスにこそ、我々は農業の将来展望を人びとに力強く訴えることができるであろうか。いまその真価が問われる。
友人に借りた本だったが、良書だった。 日本の農業について中立的な立場で知りたいという読者向け。 昨今では「農協が悪い」「TPPは参加するべきではない」等の感情論が飛び交う農業であるが、本書はその日本の農業について客観的に分析していたため、現状を冷静に把握できた。 その所以は筆者が農業の「歴史」とい...続きを読むう点に着目して述べているからだろう。 主だったテーマは「自給率」「農政」「コメの生産」等であるが、農政については政策が設定された歴史的な背景や目的から丁寧に記述されているため、深く理解することができる。 1つ難点を挙げるなら、過去の農業政策や農業経済等といったテーマが多いため、農業や農政を全く知らない人にとっては読むのが難しい点だろう。 勿論これは筆者が中立的な立場で日本農業の現状を説明しようと試みたため、必然的にそうなったものである。 感情論に走らず、中立した立場を維持するためには、これまでの「歴史」を丁寧かつ客観的に解説する必要があるからだ。 ただ、軽い気持ちで農業・農政のことを知りたいと考える読者にとっては、本書は少し教科書的な退屈さを感じてしまうのではないかと思う。 良くも悪くも「新書」の完成度を超えている印象を受けた。 現在の農業の話題は本当に感情論が多すぎる。 筆者のように物事を冷静に分析し、その強みと弱みを客観的に把握したうえで議論するスタンスでなければ、真の解決は見いだせないだろう。 個人的には本書の内容以上に、筆者の考え方に感心した。
先生に近年の著作の中では一番手ごろかつエッセンスが濃縮されている感じ。農業に関心があるけど専門書を買う機会がないと言う人にはとてもいいかも。
本書が出版されたのが2011年3月で、東日本大震災までの農業についての考察である。ということは震災後には再度政権が交代し、農政に関して多少なりとも揺り戻しがあったはず(これに関しては今後勉強せねば)。農政のたどってきた歴史的背景と問題点は本書で十分に理解できる。筆者は国の審議会メンバーになったことが...続きを読むあり、農業を学問としてだけではなく、行政の視点も含めた論考となっていることも好ましい。ただし将来の農業のあり方についての提言は少ないので、それは別の書籍で補うべきだろうな。
一時期民主党が政治主導なる理念を掲げ、政策決定のプロセスを大きく転換したことがあったが、本書を読むとなぜそれが失敗に終わったのかが良く分かる。政策と言うのは専門的な視点から継続性を以て立案されるべきもので、政治家のポピュリズムや単なる不勉強による気まぐれに左右されるべきではない。政治家の役割は利害調...続きを読む整に徹するべきだ。 それはさておき、本書の主題は実に明快である。食料自給率はあまり意味のない指標で、その低下は食生活の変化によるところが大きいこと。むしろ非常時に国民が等しく最低摂取カロリー(2000K)を確保できるような国産生産力を確保すべきであること。一律の所得保証でなく、農業の主要な担い手に土地と補助金が行き渡るようにすべきこと。加工にも目を向け、いわゆる6次化を目指すこと。どれも正論である。
今日、巷を賑わせるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉において目に留まるのは、やはり農業関係者たちの反対である。しかし、少なくない人々が、どこかそれを冷ややかに見ているところがある。それは、例え農業関係者たちの反対が、至極まっとうなものであるにせよ、反対を押し切ったところで、日本の農業の先詰ま...続きを読むり感を払拭するにあたわないからかもしれない。農業就業人口に占める65歳以上の割合はすでに6割を超え、その耕作放棄地もおよそ40万haと埼玉県の面積より大きい。2013年末にはついに、40年に渡って続けられたコメの生産調整(減反政策)の廃止が打ち出されるに至った。いうまでもなく、日本の農業はいよいよもって大きな節目を迎えようとしているのだ。著者の振り返る1986年、第8回多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の時も、やはり農業関係者たちの反対は大きかった。政府もまた、いくつかの農作物が関税化される中にあって「一粒たりとも米は入れない」と、ほとんど感情的な決議でもって、コメの関税化を阻止した。しかし、その代償として課せられた最低輸入機会(ミニマムアクセス)の追徴は、実は、コメを関税化したときの試算より、はるかに大量のコメを国内に輸入させる結果となった。そして、関税化された農作物に向けられた6兆円を超える対策費もまた、使途の不透明なまま、これといって農業を活性化できないままに露と消えた。はたして、脊髄反射的な反対は、何も生みだすことはできない。では、いったいこれからの日本の農業はどうあるべきなのか。これまで日本の農政の最前線にいた著者による、悲観論でも、楽観論でもない公平かつ論理的な日本農業史。なお、著者はTPPに賛成なのかとえばもちろんそうではない。著者が本書で殊更に訴えているのは、賛成反対を議論する以前に、農業がまだ何も理解されていないということである。かつて、日本の人口の9割が農民だった。しかし、今日、人口の9割が農業を知らない。だとしても、農業が自分たちの生活に直結した問題であることは誰もが知っている。冷ややかな目を向けることなかれ、これは自分たち全員の問題である。
流れが分かりやすく書いてある。良書である。もっと早く読んでればよかった・・。 農業経済の授業で聞いたことのある話も出てきたので、そのような点からも印象に残っている。
国内の農業について、徒に「文化」、「歴史」、「環境維持」といった副次的なことに引き摺られない論旨に感嘆。「文化」の継承という面での農業の役割は確かにあるが、「生業」として成立しない以上、その「文化」はごく限定的にしか生存し得ない(宮中での蚕の養殖のように)。「生業」として成立させつつ、周辺環境に適合...続きを読むさせていくプロセスの先に、「自給率」や「食糧安全保障」n議論があるべきであって、単純に「食糧を抱え込む」発想は、貿易によって勃興した戦後日本の「アンチテーゼ」にしかなり得ない。本書のような冷静な考察を踏まえた議論を、全中含めて政治の場でおこなうことが、誠実に農業に向き合っている人々に対しての誠実な態度ではないだろうか。
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生源寺眞一
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