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ヒトラー政権下、ナチ・ドイツによって組織的に行われたユダヤ人大量殺戮=ホロコースト。「劣等民族」と規定されたユダヤ人は、第二次世界大戦中に六〇〇万人が虐殺される。だが、ヒトラーもナチ党幹部も、当初から大量殺戮を考えていたわけではなかった。本書は、ナチスのユダヤ人政策が、戦争の進展によって「追放」からアウシュヴィッツ絶滅収容所に代表される巨大な「殺人工場」に行き着く過程と、その惨劇の実態を描く。
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Posted by ブクログ
この本はホロコーストの歴史を学ぶ入門書としてとてもおすすめです。ホロコーストはアウシュヴィッツだけではなく、一連の巨大な虐殺事件であり、それがどのような経緯で起こったのかが非常にわかりやすく解説されています。フランクルの『夜と霧』とセットで読めばよりその雰囲気が伝わってくると思います。 新書という...続きを読むことでコンパクトにまとまっていてとても読みやすいのもありがたいです。アウシュヴィッツやホロコーストの歴史をまずはざっくり学んでみたいという方にぜひおすすめしたい1冊です。
[整然とした狂気]人類の歴史において、最も悲惨な形相の1つを呈したといっても過言ではないナチスらによるホロコースト。ともすれば「ヒトラーが反ユダヤ主義のために開始して……」と単直線的な理解になりがちなこの問題に、深く、そして複合的な視点からその原因や成り立ちを追った作品です。著者は、ナチスやファシズ...続きを読むムに関する著書・訳書を多く手がけられている芝健介。 答えの出ない問題だとは思うのですが、それでも本書を読むと「なぜこんなことが」という疑問が次々と浮かんできます。本書の7割ほどが当時どのようにホロコーストに至ったかという事実でできあがっているのですが、「ナチスの閉じた理論内」ではその1つ1つのステップが非常に「合理的」であったことに改めて背筋の凍る思いがしました。 〜第二次世界大戦前のヨーロッパには、構造的・文化的共通性があった。だが、それがいま失われつつある。そのなかで共通の記憶を考えたとき、大戦中のホロコーストの記憶ではないかという認識が広まりつつある。ホロコーストにまつわる記憶は決して均質ではないが、ヨーロッパ各国・各地域に遍く存在する。そしてそこには、犠牲者の追憶や人間の尊厳の回復への強い願いが見られる。〜 アウシュヴィッツを訪れたときを思い出した☆5つ
余計な感情抜きに、ホロコーストの全体像を把握できる。細かい情報も軽く入ってるので、ここからもっと詳しく知りたいと思えるようになってる。 絶滅収容所と強制収容所の違いなど、結構知らなかったことがたくさんあった。 映画で主に取り上げられるドイツやポーランドの当時の状況ぐらいしか知らなかったけど、他のドイ...続きを読むツ領となったところの状況ももっと詳しく知りたいと思った。
ホロコース関係の本は何冊か読んだので、わりと知っていることが多いのだが、その起源から、どのように拡大していったかということについて、バランスよくまとめてあって、頭の整理ができた。新書の入門書ではあるが、多くの本が出ていて、諸説がある問題なので、概説書として良いと思いった。 初版は2008年なので、...続きを読むその後もいろいろな研究が進んだと思われるが、最後の章でさまざまな研究の位置付け、議論の論点などがまとめてあるのが役に立つ。 こうして全体像を見てみると、改めて、ホロコーストというときに、アウシュビッツだけに意識がいってしまうが、それは絶滅収容所のある意味最終型であって、それ以前にもさまざまな形での殺害がなされてきていたことをわかりやすく整理してくれている。 ヒトラー、ヒムラー、ハイドリヒの次にアイヒマンの名前を連想してしまうのだが、改めて経緯と全体のなかに位置づけるとアイヒマンはかなりの小物であることもわかる。 たくさんのアイヒマンがいて、戦後もうまく立ち回ったものも多かったであろうと思う。 もちろん、これはアーレントの「エルサレムのアイヒマン」での議論を蘇らせるものである。アーレントはアイヒマンのサラリーマン性、机上の官僚的な殺人者というものを持って、「凡庸」といったわけでは実はない。 自分で考えないこと、それらしいクリシェしか言わないこと、小役人ぽさを演じるだけでなく、大物ぶったり、悪を演じるたりすることも含めてのこと。 などなど、思いはあちらこちらに向かった。 基本的には、ホロコーストの歴史の大きな流れということで迫害する側の分析が中心になっていて、被害者側の視点は少なめ。 全体を俯瞰してわかりやすくみるということは大事なことだが、一方、それによって見えなくなっていることも多い。そして、著者もそこに意識的であるということに好感を持った。
特にホロコーストに関しての書籍ではあるが、ホロコーストに至るまでの過程が概説としてわかりやすくまとめられているので、ナチス関係の入門書としてもわかりやすい。 またこうやって概説として歴史を知ることは、個々の出来事として知っていた点を、線として理解出来るのでとても助かる。 ヒトラーが政権を取ったから...続きを読むホロコーストが起きたなんて粗い話ではなくて、以前から反ユダヤ感情は高まっており、その反ユダヤ感情を煽るかたちでヒトラーが政権を取る。それに当初からユダヤ人を絶滅させようなどという考えはなく、他国に追放するというかたちを取ろうとしていた。だが、支配圏が広がることで当然ユダヤ人も増えていき、最終解決策としてユダヤ人絶滅にシフトしていく。 システマティックにユダヤ人を殺害する過程もアインザッツグルッペンと呼ばれる移動虐殺部隊を利用した殺害から、ガストラック、ガス室への変化なども、効率化を図るという視点で興味深い。 ナチス関係の書籍は文庫や新書だけでもかなりある。ちくま文庫なんかにはより専門的なものもあったりするので、ここからいろんな本にアクセスするのも良いだろう。
必ずしも、はじめからユダヤ人の絶滅をナチ党が考えていたわけではない。しかし、占領下のフランスが、マダガスカルへの移送を当時のドイツに打診してきたように、ヨーロッパからの追放という形での対応があり、おそらくヨーロッパでのユダヤ人への抑圧はあったのだろう。ベロックの『ユダヤ人』を読んだあとだと、なまなま...続きを読むしく感じる。 また、処分という名目で殺害されたのが、必ずしもユダヤ人だけではなく、優生学的見地から自国内の障害者や弱視者なども含み、ドイツが戦線を東に広げるに従って戦争捕虜を労働力に使い使えなくなると殺害していた。殺害されたユダヤ人600万人(推計)の上に独ソ戦の捕虜や、運動家、ボルシェビキなどが上積みされる。 ユダヤ人に対しては人種絶滅というお題目が掲げられ徹底的であったという特別な事情があるが、そもそも、命や人に対して情が薄い。一次大戦の戦後処理でドイツが経済的に追い込まれていたということはあるのだろうが、戦線が拡大し併合していく国のさきざきで、まず労働力としてユダヤ人たちが追い込まれていく。領土がふえれば、そこに住む人もふえるわけで、東へ向かってひろがっていく。ヨーロッパのイメージからドイツやその近辺のイメージが強いが、ポーランドや特にハンガリー系のユダヤ人の死亡者数も多い。現地の人々にユダヤ人を撲殺することが強要されたりと 占領下だったとしてもやらされた方だってたまったものでないのではないか。現地の人にしてみたら、隣近所の可能性だってあるのだから。 この本が書かれた時点ででてくる数字や史料によるのだろうが、官吏の作った記録帳などが、相当程度残っているようだ。膨大な紙の断片的記録があるのかもしれない。この本では、アウシュヴィッツだけではないホロコーストの全体像のあらましがわかる。 歴史としてどう考えるかについても、その経緯について一章をさいてふれられている。いまなお、ヒトラーが最終決定権を握っていたのかは決着がつかず、多くの忖度があったかもしれないことは記憶にとどめておくべきだ。また、散発的な蜂起があったり、脱走に成功したわずかな人々が、助けを求める事実はあったが、実際に手がついたのはほとんど戦後といっていい。なぜ、こんなにたくさんの人が唯諾諾と殺されてしまったのか、また殺したのかはわからないことなど多い。
狂気に満ちた歴史の一言。ホロコースト、ナチスの残虐行為の歴史の全体像が見える。 社会の不満が積もったことでナチスの台頭を許してしまった歴史は、現代社会にも通づる部分がありそうな気がする。グローバル化や多文化政策の急進によって、労働者階級の反感が増したり、極右政党が誕生したり、過去の苦い歴史の懸念が...続きを読む頭によぎる。 加えて近年は新型コロナの影響もあり、不満のはけ口としてポピュリズム運動に拍車がかかる可能性も否定できない。まさに今このような歴史を振り返る必要性があるのかもしれない。
ホロコースト=ユダヤ人大虐殺だと思っていたが障害者や反逆者など、ユダヤ人以外も犠牲になっていたことが分かった。都合の悪い歴史を葬り去るのではなくきちんと向き合っているドイツを日本も見習わないといけない。
ヒトラー政権によるユダヤ人政策の推移を解説する。 紆余曲折が順を追って解説される他、 ゲットーの仕組みや生活ぶりが興味深かった。 終章であるホロコーストと歴史学では ホロコーストをどのように捉えるべきか 研究された成果を紹介しており、 より深く学んでみたいと思わされる。
新書だったので、手に取りました。 普通の市民の集まりが、こういう大虐殺を起こす。ある意味、今まで読んだ大量殺人の本より、怖い。 もう少し、この方面の本を読んで行きたいです。
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ホロコースト ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌
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