「夫婦」不在社会

「夫婦」不在社会

ビジネス・実用
1,320円 (税込)

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忙しい現代、「仕事」と「家庭」を両立するにはどうすればいい?

昭和から令和にかけてヒットした小説、ドラマ、映画を分析して見えてきたのは、ディスコミュニケーションにあえぐ「夫婦」の姿だった――。


『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』『考察する若者たち』
今最も注目の文芸評論家が「物語」を通して「家族の形」に切り込む!
これからのパートナーシップのあり方を見直すための夫婦論。



・【推しの子】、『THE FIRST SLAM DUNK』『汝、星のごとく』の共通点とは?
・月9ドラマ『海のはじまり』が描こうとしたものとは?
・なぜ村上春樹が描く「夫」は沈黙するのか?
・坂元裕二が『ファーストキス』でたどり着いた「夫婦」の形とは?
……etc.

日本を席巻した物語が浮き彫りにする問題ーー「夫婦」の不在。
どうすればパートナーシップのディスコミュニケーションは解消されるのか?



それでもやはり思うのだ。「日本の物語に、もっと、夫婦がいてほしい」と。
なぜなら文芸は現実の欲望をうつすものだが、同時に、文芸は現実の欲望に影響を与えるものだから。
ーー三宅香帆

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「夫婦」不在社会 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    推し活継続中である。のんびりしているうちに、また新刊が2冊。推しの頑張りに励まされる日々である。

    あとがきで述べているが、本書には著者による村上春樹批評の一面がある。著者のたどり着く結論は、言ってしまえば凡庸である。言い換えれば、すでに他の論者が述べてきた議論と重なる部分もある。本作で言えば、「公」の場だけでなく「私」の場で親密圏を持つことが大切であるという主張が要となる。これは、谷川嘉浩の『スマホ時代の哲学』で論じられる公/私の境界の曖昧さや、朱喜哲が言及するローティの「クラブとバザール」的公私論に通ずるところがあると感じた。

    しかし、著者の魅力は、その結論にたどり着くまでの着眼点と道程にあるのだ。本作は村上春樹作品を軸に、上野千鶴子の論考も参照しながら「夫婦」のディスコミュニケーションをあぶり出す。なにが問題で、なぜ問題となっているのかの根拠を詳らかに思考していくのである。

    「家族」の関係性を物語るときに、親と子どもというタテ型の関係に焦点が多く当てられ、夫婦というヨコ型の関係を語ることが少ない。それは、社会や組織でタテ型が重視される風土が今もなお残存しているからではないか。このようなぼんやりと感じている違和感に明瞭な観点を与える論理こそ、著者の力量が最も発揮される。だからこそ、著者の作品には、市井の人々が「これは自分たちのことだ」と引き寄せて読める魅力があるのだろう。

    だがしかし、繰り返しになるが結論の鋭さが少しだけ物足りない。今後の作品で著者独自の視点で繰り出される、世間に迎合しないキレッキレの持論をぶちかましてほしい。まだまだ執筆意欲が途切れる気配のない著者に、期待するのである。

    0
    2026年10月07日

    Posted by ブクログ

    「昭和の男らしさ(男は黙って、信念を曲げずに、頑固なまでに固執する)は、現在では発達障害的だとされる。」衝撃的な引用だったが、「相手の気持ちが汲めず、状況が読めず、自分の世界に閉じこもっている。」と見られて何も弁明しなければ、そう受け止められても仕方ないだろう。黙ってやり過ごすことは今は通用しない。本書は夫婦という繋がりにスポットを当てて論じられている。私は、夫婦間の縦軸と横軸について著者と整理が違うように思う。夫婦間そのものの関係性を横軸とし、夫婦の家族や家のことなどを縦軸とすべきと思う。横軸は、夫婦の関係を最悪離婚という方法で解消できる。しかし、夫婦の縦の繋がりは、特に子どもとの関係を考えればわかるように、離婚で完全には解消できない。縦軸を夫婦で話し合わないと根本的に解決しない。そこに夫が参加していないことが問題なのだと思う。

    0
    2026年10月04日

    Posted by ブクログ

    読み終わったあと、初めて村上春樹作品を手に取りました。
    相手が知らない作品を読んでみたいと思わせられるって、かっこいいな〜。

    ドラマ「Tシャツが乾くまで」と合わせて読んでいた私は、もう特に後半はドラマの内容と重なるところがありすぎて、同時期に同じようなことを考えている人がいるってすごい!と思いました。ドラマの解像度も上がった気がします。

    また、批評ってすごい!と思いました。
    本書で取り上げられていた中で唯一視聴していた作品が「1ST KISS」でした。
    私は「ドラマチック、夫婦で過ごす時間を大切にしたんだね、素敵」と思っていましたが(浅い)、本当に同じものを見たのか?と思うくらい視点が異なり、まさしく「こういう見方もあるのか!」と思いました。
    何倍も幅を持って楽しめるように感じました。


    そんな中、最も印象に残ったフレーズは、
    p32「文芸は現実の欲望をうつすものだが、同時に、文芸は現実の欲望に影響を与えるものだから。」
    です。
    言語化美しすぎませんか!?作品を見て素敵だな〜こうなりたいな〜と思う気持ちを、こんなに綺麗に掬って余すことなく言葉にできるものでしょうか?

    "いいな〜"と思うものを増やしていくことが、文芸にはできる。文芸評論家を名乗る三宅香帆さんだからこそできる表現だなと思いました。

    0
    2026年09月30日

    Posted by ブクログ

    夫婦間で生じた傷つきを、第三者を介在させてシェアすることが大切なのだと気づいた。
    私たちはつい二人きりで解決してしまおうとする。外からの風を取り込みながら、“時間をかけて”パートナーとの関係性を築いていくことが重要なのだろう。

    村上春樹さんの本も、そうした視点で読むことで、一層理解が深まる気がする。

    今後のキャリアを悩んでいる私にとっては、キャリア支援の本のようでもあった。

    一冊の本でいろいろな気づきが得られて楽しかった。

    0
    2026年09月23日

    Posted by ブクログ

    夫婦間のディスコミュニケーションを解消させるためには、労働に奪われない「私」的な時間を大切にして夫婦間の親密性から生じる傷と向き合うことだ。
    傷と向き合い、癒すためには時間がかかる。
    その傷を癒すためには、親密ではない第三者の介入も時には必要である。

    ということの根拠を、村上春樹作品を軸にしながら、家父長制からの父性の不在、現代社会における母と子のつながり、女性の役割の変化などを語っている。

    村上春樹の作品「眠り」は私も好きな作品だが、著者との解釈との違いに驚き、そんな解釈もあるのかと目を開かされた。

    「眠り」は、眠れなくなった主人公が、自分の殻にこもり家族との向き合いを遮断したことがあの結末を招いたのだ、と解釈していた。
    つまり、家族と向き合うことから逃げてはいけない、たとえその結果、傷つき家族の形(離婚など)が変わったとしても、ということなのだと考えていた。

    本書に話を戻すと、現代は女性の役割が重くなっていないか? と改めて感じる。
    かつて、男性は生産、女性は生活を担っていたが、現代は女性も生産を担っていて、しかし生活の役割が男女に等しく分配されたとはいえず、女性は生産、生活の二重の役割を担わされている。

    その結果、離婚率が上がるのは当然ではないか。
    だって男性が生産しか担わず、男性の生活まで女性が担いながら生産もするのだから。

    こうした忙しさの種類が異なる夫婦の間で起こるディスコミュニケーション。
    そもそも、現代の人は他者と親密性を築くのも難しいというのに、さらに夫婦で傷を覚悟で向き合う! なんとハードルの高いことか…。

    個人的に思うことは、親密な関係で生じた問題を真面目に話せる共同性の関係が希薄なことにも問題がある。
    いつでも切れることが前提の共同性の関係で、興味本位や噂話を抜きにして、他者の家族の問題に真剣に耳を傾けてくれる人がどれだけいるだろうか。
    日本は、欧米のようにセラピーも発達していない。
    著者もあとがきで書いていたように、「後ハッピーマニア」みたいな、気兼ねなく喋ることのできる友達、いないのよ。

    0
    2026年09月06日

    Posted by ブクログ

    村上春樹小説を通して、夫婦のディスコミュニケーションを説く、という内容。村上春樹を読んでいるとなお一層理解が深まりそう。
    三宅さんの『母が娘を殺すには』も読まなきゃ!

    0
    2026年08月29日

    Posted by ブクログ

    村上春樹作品を中心に、日本における縦方向(親子)のコミュニケーションと、横方向(夫婦間)コミュニケーションを探る、って感じの本。(合ってるのかな?)
    途中村上春樹作品を読んでない私からすると理解が少し難しい部分があった!(村上春樹ちゃんと読んでみたいと思った)

    日本の作品で縦方向を取り上げるものはあっても横方向を取り上げるものは少なくて、それは日本においてこれまで夫が不在だった(精神的にも実際も?)みたいな内容だと理解したけど、なんかもう一回読まないと難しいな…

    日本では母子の結びつきが強い?相談するときに友達と母親が代表的な相談先だけど母親の割合が近年上昇している?みたいな話もあったと記憶してるけど、
    この本の内容について夫と話してるときに、そういやワンピースに母親が出てこないのはなんでかな?と2人でなって、調べたらどうも尾田先生が「冒険の対義語が母親だから」とおっしゃってるらしくちょっと母親としては(何がとは明確に言えないものの)刺さった…
    夫の不在…もう少し考えたくなった。

    0
    2026年10月10日

    Posted by ブクログ

    夫婦不在、というより、父親不在社会、という感じだった。仕事に追い込まれすぎず、自分の時間持とう。具体的には、夫婦の会話持つことに加えて、その際の傷つきを受け入れられる自分1人の時間を作ったり、夫婦の悩みを打ち明けられる関係の友人や共同体を作って大事にしようね、という話。
    男って、「黙る」という性格の人が少なくないので、ほんまそうやな、と思った。

    この本の最大の気づきとしては、夫婦ミーティングしよう、だけで終わらず、2人だけで解決するのではなく、うまくしんどかったことを共同体とシェアしようね、そしてすぐ解決しようとするのではなく自分の中でも「やり過ごす」ための時間(ひとり時間)を持とうねという、点だった。

    あとは、解決策としてそのために時間をどう確保するか。
    仕事忙しすぎるし副業などでプライベートな時間も削られがち(公による植民地化されがち)な現代だけど、

    ・なんとかこじ開ける意識を持つ(仕事はよ終わらす)
    ・余裕のある職場へ就職する/転職する

    しかないのかなと思う。

    そういう意味では、若手医師の戦略としては

    ・最初からホワイトに働く(できれば後で食いパグれても大丈夫なように稼ぎまくる)
    ・ちょっとブラックでもスキルが得られる職場で頑張って、どこかのタイミングでそのスキルと引き換えにゆったりめで待遇のよい職場に転職

    の2択になりそう。個人的には後者のほうが精神衛生上良さそう。




    0
    2026年09月30日

    Posted by ブクログ

    三宅香帆は、ある作品から何を隠してるかを読み取って、すなわち何を伝えたいのかを割り出すのが得意で、それが楽しい

    正直、全て理解できたかというと全然そうではない。

    でも、都度読んでる時にわからないということではなく、時代と共に人間の関係性やコミュニケーションの変化があったよね
    ということを作品を通して伝えてくれていて理解できる。

    現代の人間はもっと仕事の時間に追われすぎずに、「コミュニケーションは傷つきもするし、時間がかかるもの」と理解した上で、普段の時間をゆっくりと過ごしてみるのが良いのではないかと書いているんだと受け取った。

    自分の家でも、似たような現象が起きているから興味を持って読んだ。
    自由、労働、共働き、男性と女性の考え方の変化、を時代の経緯を持って確認できるからこそ、もっときちんとコミュニケーションを取るべきだと思わせてくれた作品。

    0
    2026年09月28日

    Posted by ブクログ

    日本では、親子愛は語られるけれど、夫婦(パートナーシップ)について語られることは少ないと感じたことから話が始まる。小説・漫画・映画・ドラマから紐解く「夫婦論」は三宅さんならではの視点と切り口、語りが面白い。村上春樹さんの作品と実社会を交錯しながら歴史を辿るのも興味深かった。(村上春樹作品ばかり出てくるな!と思っていたら、あとがきでそれが裏コンセプトだったと書いてありなるほどと思う)

    まとめとして、「パートナー間のディスコミュニケーションは解消されるのだろう」という問いに「時間を急がないこと」と回答を出している。また、後半に『なぎさ』を通して第三者の介入の重要性も指摘。

    正直結論だけ取り出すとあっさりしてしまう。

    だけど、そこに辿り着くまでの過程を思考した者と、してない者とでは、実行した時の効力が違う気がして、個人的には今後の立ち振る舞いに役立つ気配のする楽しい読書だった。

    0
    2026年09月27日

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