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文章を一読して「わかった」と思っていても、よく検討してみると、「わかったつもり」に過ぎないことが多い。「わからない」より重大なこの問題をどう克服するか、そのカギを説いていく。
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Posted by ブクログ
この本のポイントは、人は文章を読むときに書かれていることの他にスキーマ(前提となるようなものの見方)を導入している。それによって文章のパーツが粗いつながり方をしていても「わかった」となってしまう。このことが具体的に語られている。
「ほとんど宣伝してないのに口コミで20万部突破!」という帯に釣られて購入した。 結果、釣られて正解だった。 「わかった」について、大変分かりやすく噛み砕いて教え諭すように書かれていた。 私たちは普通文章を読んで、「わかった」と思う。 しかし、この「わかった」は、「わからないことが見当たらない」程度...続きを読むのものであり、筆者はこのような状態を「わかったつもり」と表現する。 なんなら、すべての読みは「わかったつもり」なのだ。 なぜなら、新たな文脈から文章を読み返せば、新たなつながりが見出され、新たなことがわかる。 そうすれば他のところに気になる点が生まれ、今度はそちらを解消するための読みに入る…。 仕事柄、ひとに「わかった?」という質問をすることがよくある。 相手が「わかった」と返せば、こちらは共通認識を得たものと考えていたが、「わかってないやん!」と苛立つことがよくあった。 この本を読んで、「わかった」は「わかった・わからなかった」の二項対立ではなく、数限りなくある「わかった」レベルのうちの一つであること、それと「わかった」は「わからないことが見当たらない」くらいの意味だということがわかった。 実際、「わかったって言ってたのにわかってない」と苛立つよりも、「彼の中では今何がわからないのか見当たらない(わからない)んだな。こう問いかけてみようか。」と、考え方が変わった。 人に教えたり、物事を伝えたりして、「わかった」と言ってもらう機会の多い人は、ぜひ読んだらいいと思う。 そして、自分もわかってないことがよくわかった。本書では、たくさんの例文が登場し、簡単な練習問題や問いかけがある。 ほとんどの例文は小学校の国語の教科書から取られたもので、「わからない」はずがないのに、確かに十分ではない読みで終わっていた。筆者から「こういう面はどうですか?」「ここは読めましたか?」「こんなこと、書いてありましたよね?」と揺さぶられて、「えっ、確かに!」と何度も「わかってない」ことが露呈した。 もっと自分の「わかった」は疑ってかかるべきだし、文章に対して謙虚になる必要があると思った。
タイトルを見てぎくっとすることがあり手に取ることにした。情報社会の中で膨大な情報に接する中で、無意識のうちに確証バイアスや利用可能性ヒューリスティックなどにより、自分の都合のいいように解釈してしまうように感じている。文脈や結論から効率的に物事を判断しようとするのが人間の脳の性質であるが、そこにとらわ...続きを読むれずに、常に、本当にわかっているのか、もっと分かりたい、勝手に判断した点はないか、他の解釈はできないのか、書かれていないこと、言われていないことを勝手に補足して解釈していないかという視点を常に持つようにしたい。定期的に読み返して自分を戒めたいと思った一冊だった。
ニュースや新聞等で、同じ一次情報に触れているはずなのに、なぜ専門家やコメンテーターはそこまで的確に情報を分析できるのか、と常々疑問に思っていた。勿論、専門知識や経験の差というものはあろうが、ここまで解釈に違いが生じるだろうかと思っていた訳である。 「わかったつもり」という現象は誰しもが遭遇する。...続きを読む同じ説明を受けていて、特に疑問を感じるポイントはなかったにも関わらず、内容が頭に残っていない。つまり文単独で不明点はないのであるが、文脈や文章全体で「なんとなく」の解釈をしてしまい、整合性が全体としてとれないためにうまくアウトプットにつながらない。こんなことも本書では、解決に導いてくれるヒントが満載である。自分自身は既存のスキーマによる「わかったつもり」が多いと自覚するに至った。 本書を通して、自身に不足する読解力不足の正体を探っていくことは、きっと生涯の財産になるに違いない。
なかなかに、内容に納得させられた一冊である。「わかる」ことの落とし穴や、読解力がない原因、そして、読めるようで読めていない私たちを徹底分析し、これまでに感じたことのない新たな知見を提供してくれた。「ぼんやりわかる」とは、一番危惧すべき事態であり、それ以上の理解につながらないということは、自分の中で肝...続きを読むに銘じておこう。
読解力がつかない原因としての「わかったつもり」という状態と、そこからどのように打開すればよいのかを述べた一冊。 認知心理学の「スキーマ理論」を基に、話が進められていく。 口コミで広がったロングセラーということで購読。 この本の前に読んだ『読んでいない本について堂々と語る方法』とは、本や文章に対する...続きを読む姿勢がほとんど真逆なため、読んでいるうちに本にどう向き合えばよいか落ち着かない気分になった。 読んでいる文章の文脈が、私たちの中に既に存在している知識と強い繋がりを感じたときに、「あぁ、あの話のことか」と私たちは“わかる”ことになる。 そして、一度“わかった”状態になると、たとえそれが文章の書き手の伝えたい内容とずれていても、その文章に対してそれ以上わかろうとしなくなる。 これを、この本では「わかったつもり」と呼ぶ。 人が何かをわかる仕組みを構造的に理解したいときに活用できそうな話だ。 ただ、日本の国語教育の視点から話が進められるので、たとえば仕事の報告書を理解するような場面に応用するときは、この本に書かれていることをそのまま適応させるのは難しいと感じた。
この本を読んで自分がいかに本の内容を本当の意味で理解していないかということを痛感した。 「わかったつもり」になり、それ以上の理解をしようとせず、また、既知の分野の本だからといって大雑把に読み、その文脈を自分の知識で解釈していることを痛感した。 本書には様々な文章を用いて、自分がいかに本当の意味で理解...続きを読むしてないないかを分からせてくれることと同時に、どう読めば「わかったつもり」から脱却し「よりよくわかった」状態へ移行できるのかを示してくれた。
入試の国語のマーク形式の問題にいつも納得できなかった理由を30年越しに知る。面白かった。 ちゃんとより良く読むことができる大人になりたい。
示唆深い本だった。読書をしてその内容に自分の解釈を加えて、わかったつもりになっているのは心当たりもある。果たして自分は著者の言わんとすること本当に理解できているのか立ち止まって考えてみる必要があるのではないかと感じた。
整合性のある解釈は、複数の存在が可能。だとすれば絶対正しい解釈は存在しないはず。 なのに、国語の選択肢の問題では正しいとされる解釈を選択しないといけない。 ここにモヤモヤがある。
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わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~
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西林克彦
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