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戦争・テロ・天皇・民主主義……戦後秩序が崩れつつある今、歴史からどのような教訓をくみとるべきか。右傾化は何を意味するのか。そして閉塞感を打開する策はあるのか。この国が陥っている過ちの元凶を、政治思想の大家と気鋭の政治学者が読み解く。
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Posted by ブクログ
「欧州の天地は複雑怪奇」 。1939年(昭和14年)8月、その後の太平洋戦争へと突き進む直前の日本の置かれた国際社会の状況を表す言葉として、当時の平沼騏一郎首相が放った言葉は、今も尚、世界が複雑に絡み合う構造である事をうまく表現した言葉である。この時、日本とソ連、ドイツの三国は欧州、東アジアの其々に...続きを読む様々な火種を抱えていた。ドイツはヨーロッパ西方向に向けた全面的な野心があったし、日本は大陸への足がかりとして満洲国を築き上げたのち、ドイツと挟み撃ちでソ連に対抗する必要がある。独ソが不可侵条約の締結は、そうした反共協定にある日独の関係、日本の国内政治を根底から覆すことになる。現に日本は大陸進出を南方に向けざるを得なくなり、ソ連との間に1941年には日ソ中立条約を締結する流れになる。平沼騏一郎がこの言葉を放って内閣総辞職するのもやむを得ない出来事であった。考えるに国際政治の予測困難さを語る際の象徴的なフレーズとしては「複雑怪奇」は今尚、最適な表現である様に感じる。 現代の様な複雑怪奇に結びつく国際社会においては、当時よりも更に誰が(どの国が)いつどういった方向に舵を切るか、それに関係国がどの様に反応するかは、分かりづらい状況になっているのは間違いない。一国の思惑だけでは何も成就出来ないのは誰もが判っている状況だ。これに唯一反論できるのは、トランプ大統領率いるアメリカだけかもしれないが、それを言い始めると、巨大な軍事力と経済力を持つ覇権主義国家が世界を制する様な話になりかねない。習近平氏の中国もかつての世界に影響を与える様な大中華帝国(圏)を作ろうとしているのかもしれないが。日本はその様な世界情勢の中、バブル崩壊後の失われた30年を経て、再び世界第2位の経済力を持つ国家に返り咲くかと言えば、それは土台無理な話だ。ただでさえ超高齢化少子化、人口減少の真っ只中にあり、10億以上の人口を抱える中国やインドに叶うはずが無い。着実に生活レベルを向上し、平均化されていくなかで国家としての経済力は追い抜かれいくのは間違いないだろう。寧ろ一人当たりの経済力を見なければ本当の経済力は分からないが、それすらも現状では先進国中では下位レベルにある。 その様な状況で高市早苗率いる日本の進むべき方向性、日本の舵取りは、想像出来ないほどに難しいことであるとは容易に想像できる。だから(不安定だから)防衛力を向上しようとしたり、国家としての諜報力を向上しようとする動きには、ある意味仕方ないというか、必要性が増しているのも理解する。但し人気にかこつけて、周辺諸国の理解し難い指導者のせいにして、国民の正しい理解を得ずに急進的に進めるやり方には賛同しないが。とは言え、かつて平沼騏一郎が述べた様に「複雑怪奇」な情勢は今も変わらず続いている中で、日本が将来的にどの様な国家を目指し、今抱えている様々な問題、国民の不安を如何に解消し、現実的なレベルで実現可能な国家施策として打ち出していくか、それを示さなければならない。判っているが問題が多すぎて、国際社会が複雑過ぎて、それも中々難しいことなんだろうと、半ば諦めの気持ちもある。 そもそもいまの状況は太平洋戦争に突き進む、当時の日本の状況によく似ていないか。そうした疑問から始まるのが本書の内容となっている。サブタイトル「昭和10年代に回帰する日本の現在地」とは、正に真珠湾攻撃に踏み切るまでの日本の舵取り(の、不味さ)を分析すると、今の高市政権含む安倍政権頃からの日本の政治状況に近いというのが本書の主張するところである。本書はそれを日本人の政治的思考だけでなく、民族性や天皇制などにまで分析範囲を広げ、2人の政治研究者(かつての教授と教え子という師弟関係)が対談する内容となっている。いまの政治とかつての昭和10年代の政治を歴史的な出来事から比較するだけでなく、日本人の性格、国民性などからも分析することで、これから先日本がどうなっていくのか、最終的に戦争の出来る国になるのか、非常にスリリングな対談となっている。だが最終的には民主主義国家である日本の国民一人一人が真剣に自分の国の未来を考えなければならない点は、これまで様々な書籍で述べられてきたことである。こうした対談に直接的に自分が参加する機会は、恐らく無いであろうが、先ずは自分の考えをしっかり纏めたいと思う(このレビューも纏まりがないので)。
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