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Posted by ブクログ
舞台は2038年、モノリスは阿佐ヶ谷団地に眠っていた…。物語はまだ序盤だが、どうしてこんなに心躍るのだろう。ストーリーを紹介してしまっては、まだこの漫画を知らない人に不親切。粗筋に触れないように注意しながら、なんとか、魅力を書きつけてみる。
いわゆる宇宙人遭遇もののSFにおいて、それが文明の特異点/シンギュラリティをもたらす、というモチーフはクラーク「2001年宇宙の旅」に代表されるように、僕たちを魅了してきた。
そして、本作品もそれらの系譜にある物語だが、まったく独特な手触りを持っている。
空間認識によるUIの情報技術と、それらを統合するAI家電(宇宙開発技術を応用していることが、物語のキーとなる)といった近未来の設定も重要なファクターになる。しかし、物語の大きな魅力を作るのは舞台となる阿佐ヶ谷団地である。
もちろん、1958年に建設された阿佐ヶ谷団地は既に解体予定であり、2038年まで存在していることは難しいだろう。つまり、フィクションにリアリティを与える阿佐ヶ谷団地が存在している事がフィクショナル、という奇妙な入れ子の設定なのだ。
舞台である阿佐ヶ谷団地の魅力については、様々な書籍で語られる以上に、一度でも足を踏み入れ体験すれば了解できるだろう。豊富な緑地が配置され、空間のパブリックとプライベートがあいまいとなった状態。日本住宅公団がかつて目指した一つの到達点であると同時に、自律的な成長を遂げてきた場所。
この物語で阿佐ヶ谷団地が舞台とされているのは、単なる郷愁の演出であろうか。そうは思われない。物語を読み進めるうち、次第に焦点となってくるのがコミュニケーションの問題である。小学生である主人公たちの生活は生き生きとしているように見えて、それぞれの葛藤を抱えている。そして、これらの問題を解決することなしにこの物語が進行しないことも。
両親との関係、SNSとイジメ…これらの現代の我々が経験している事に加えて、人間とAI、そして人間以外の知的生命…という関係が並行に置かれている。そして、それらの舞台となるのが、自律的に成長してきた阿佐ヶ谷団地であるというのは極めて適切だ。
物語が進むにつれ、阿佐ヶ谷団地はさらに大きな役割を持たされてゆくようだ。阿佐ヶ谷団地はこの物語でどのように描かれ、主人公たちは一体どのような出会いを果たすのだろうか。
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