Posted by ブクログ
2020年07月09日
誰もが他人事ではない発達障害
大人になってから何らかの障害があったことを知ったり、また自身の子どもが障害(の疑い)があると診断されたり、また障害の(傾向の)ある人になやまされたり、発達障害は他人事ではなくなってきている。
しかし、発達障害自体の認知度は高くても、それをどのように付...続きを読むき合っていけばいいのか、それをどこまで「個性」や「自分らしさ」として向き合っていくのかはなかなか明確な答えが出せない問題。
本書は発達障害をもつ子どもの教育に携わってきた著者が、親や教育機関において、どのように発達障害を矯正し、克服していくのかを論じている。本書では一貫して、そのような傾向をきっぱりと否定し、厳しく躾けていくことが重要とする。
確かにそれでうまくいくことも多いのかもしれない。自分が発達障害の子どもを持ったら、人並みの人間にしてあげたいと思うかもしれない。しかしそれでいいんだろうか?そして何やら矯正、躾け、というような方向性に違和感を感じつつ、しこりの残る一冊であった。
彼のアプローチで気になったことは、彼が手にかけてきた子どもたちが成長して、過去の自分を振り返った時に、その当時は言葉にできなかったが、ちゃんと何もわからずいつも動きわ回っていたが、どうにかして欲しかった、と言っている、と強調する。しかし、そのような回想はどこまで本当なのか?残念ながら人間の記憶はとても曖昧で、会話の雰囲気や話の誘導の仕方、話し相手によって簡単に変形されていくものなのだ。何かこの人のマリオネット(操り人形)が話しているのではないか、という気さえした。