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「百偽一真」「末流猥雑」と儒教側から排撃され続けてきた風水。中国思想史の底流をなす巨大な「格闘技」を平易に示した風水思想史。
本書の主題は、『発微論』という風水書が、四庫全書及び『提要』においてこのような待遇を受けた所以を探ることである。なぜなら、それは風水書というものにとって、十分に稀有な現象なのだ。意外に思われるかもしれないが、風水という占術は、中国社会において、必ずしも顕彰の対象となってこなかったのであり、むしろ風水思想の沿革は、儒教思想に基づいて風水思想を批判することの系譜と、常に併走してきたと表現して差し支えない。そうした流れは『提要』にも受け継がれたのであって、故に風水という占術や、風水書という文献ジャンルに対する館臣の態度は、不信や蔑視をこそ基調としていたのである。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに──四庫全書の中の『発微論』
一 『発微論』の著者と執筆目的
二 『発微論』の構成と各篇の論述内容
三 『発微論』の思想的特徴──「儒理」の在処をめぐって
四 南宋時代~清朝時代中期における術数学の変質
五 儒教知識人からの風水思想批判に応えて
おわりに――風水思想を儒学する
参考文献
跋
【著者】
水口拓寿
東京大学教養学部(文化人類学)卒業、大学院人文社会系研究科(東アジア思
想文化)修士課程・博士課程修了、博士(文学)。
近年の著作に、「四庫全書における術数学の地位:その構成原理と存在意義について」(『東方宗教』115 号、日本道教学会、2010、第11 回日本道教学会賞受賞)、「墓地をめぐる記憶と風水文化」(小島毅監修、早坂俊廣編『文化都市 寧波』所収、東京大学出版会、2013)などがある。(2014年現在)
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