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Posted by ブクログ
柴田よしき『所轄刑事・麻生龍太郎』角川文庫。
『RIKOシリーズ』のスピンオフ。所轄の新米刑事時代の麻生龍太郎を主人公にした警察小説の短編集。2009年に新潮文庫から刊行された同名の作品を加筆・修正、特別書き下ろし短編『小綬鶏』を収録。
唯一面白かったのは『割れる爪』。後は並みの短編だった。
新潮文庫版は既読であるが、13年も前だと内容はうろ覚えだ。主人公の刑事がゲイであるのは覚えている。今やLGBTなどとオブラートに包んだ表現を使い、差別や偏見はけしからんと何故か異常に大事にされているが、当時は全く事情が違っていた。個人的にはLGBTに関する考え方としては、当時の方がまともで、今が異常だと思うのだが。
『大根の花』。小さな事件の捜査の過程と共に麻生龍太郎の抱える秘密が少しずつ明らかにされる。東京の下町、門前仲町の商店街の裏路地で連続して発生した植木鉢と三輪車の損壊事件。麻生龍太郎は相棒の今津とともに捜査を開始するが、やがて各々の事情で傷付く人々の姿が浮かび上がる。★★★
『赤い鉛筆』。麻生龍太郎が自殺偽装のトリックの謎と真犯人の正体を解き明かすというオーソドックスな短編。古いアパートで28歳のOLの縊死体が発見される。首にはピンク色のロープが巻き付いていたが、何故かロープの上部が何者かに持ち去られていた。自殺なのか、他殺なのか……麻生龍太郎は同期の田上と共に捜査にあたる。校正のカルチャースクールに通っていた女性は……★★★★
『割れる爪』。事実は小説より奇なり。なかなか面白いストーリーだった。人間、いつ落ち目になるか解らない。一寸先は闇。麻生龍太郎が、道端で突然女子高校生の顔を引っ掻いたホームレスのような若い女性の聴取を行う。少しずつ女性の動機に迫る龍太郎……★★★★★
『雪うさぎ』。無理のあり過ぎる展開に閉口した。同性愛の相手の部屋から帰宅する麻生龍太郎はマンションの4階の部屋の窓から泣き叫ぶ幼女を目にする。何とか部屋に入り込むと幼女の母親が亡くなっていた。母親は心臓麻痺による死亡と断定されるが……★★
『大きい靴』。何となくストーリーに記憶はあるが、こんな無理な話だったか……飼い犬がくわえてきた人間の手首。鑑定の結果、手首は死後に切断されたものと断定される。麻生龍太郎は手首について捜査するが……★★
『エピローグ』。麻生龍太郎の異動。同性愛の関係にあった先輩との別れ。
『小綬鶏』。特別書き下ろし。飛べるのに飛ばない鳥とは麻生龍太郎のことか。本作を締め括るような短編。雰囲気は良く、味がある。所轄署から本庁に異動した麻生龍太郎。かつて麻生が逮捕した男が亡くなり、男の姉が麻生にある物を手渡す。★★★★
本体価格820円
★★★★
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