無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
米国最貧州のひとつルイジアナ州のメキシコ湾に面し、古木の森と湿地地帯の広がる豊かな自然にめぐまれたレイクチャールズ市。沿岸部はエネルギーベルトと称される産油地帯でもあり、世界に名だたる大手石油関連企業がこぞって進出している化学工業地帯。当然、環境汚染は深刻で、がんの多発地帯としても知られる。事故による原油流出、有害物質の漏出など、問題は後を絶たないが、被害に対する補償は十分になされていないようだ。それでも白人が多数を占める住民たちは、環境規制に反対し、企業の自由な経済活動を擁護する共和党を支持している。税金が企業誘致に使われても文句を言わず、雇用創出と税収増のためと受け入れる。現実には雇用は外国人労働者に奪われ、企業は州政府から法人税を免除されたうえ、利益は海外や州外の本社に回収されているというのに。
Posted by ブクログ
感情労働で有名なホックシールドによる、南部アメリカの右派白人がどのようなナラティブ(この本の中では”ディープストーリー”)を持っているのか分析した大作。一見ルポタージュのように読めるため、非常に読みやすいのだが、その中身は重い。アメリカという国の中での貧富の差の大きさに驚き、また人々の中にこれほどの思想の断裂があることが分かるからだ。
アメリカンドリームは、努力したものが報われる、という物語。ということは、努力していないものが報われてはおかしい。属性だけでアファーマティブアクションしてもらえるのも変だし、税金が生活保護に使われているのも腹立たしい。そのため、小さな政府を希望する、という風に説明されている。なるほどそのように考えればトランプ氏は、努力して富豪になった一流の人、ということになるわけだ。
本書にはマックス・ヴェーバーは引用されていないが、キリスト教と資本主義が相性がいいということも納得できる内容だった。
最終的に本書はリベラルと右派の間を繋ぐことができないか(例えば環境問題等では共闘できるのではないか)という視点から描かれているため、読後感も良好。アメリカに旅行する前に読むと見えるものが変わりそうな良著。
Posted by ブクログ
合理性やロジックに照らして理解しがたいと思われる心情を平然と語る相手を前に、我々はしばしば「理解できない」と口にし共感の壁の前で踵を返してしまう。著者はリベラルの立場から、押し付けられる環境汚染に黙って耐えむしろ連邦政府の保障を拒む共和党支持者(ティーパーティ)の「理解できない人々」の中に分け入り、丹念に聞き取りを続けるうち、彼らの中に、事実かどうかはともかく彼ら自身がそうと自覚する自らの立ち位置=ディープ・ストーリーを見出す。共感の壁の前で一旦は立ち尽くしながらも必死で這い上り超えていく著者の姿勢に深い感動を覚えるとともに、格差という分断の進む世界でのとるべき姿を教えられる。
Posted by ブクログ
私は保守派の人をざっくり言うと「田舎者」のイメージで捉えていました。
人はいいんだけど、考え方が古いし、コミュニティ第一だし、って。筆者からも(この本の書き方からも)、保守派を見下している部分があるように所々で感じました。
でも、この本を読んで、保守派の人が何に憤りを感じていているのかを知り、「田舎者」というイメージで捉えてはいけないのだと教えてもらいました。
でも、ここが本当に難しい所ですよね。
リベラル派も保守派も、個人個人・個々の点ではお互い理解し合えるんですよね。でも、政治の舵取りとなると、途端に票を相手方に入れることはできなくなる。
この辺りが、資本主義にがっちり首根っこを押さえられてしまった民主主義の、限界とは言いませんが、難しさなんでしょうね。
Posted by ブクログ
今年一番の本。バークレーの女性社会学者が、ティーパーティの本場ルイジアナに入り込み、インタビューを重ねて、壁の向こう側の人々の「想い」を共感的に感じ、言葉化した本。
南部の人々が心の奥底に持っている「ディープストーリー」は、共感できるストーリーだった。自分たちは、アメリカンドリームを目指して、真面目に列に並んで、頑張っているのに、政府は、アファーマティブアクションやら、性の多様性、シリア難民、はては、石油まみれのペリカン(地球環境)まで、自分たちの前に、別の人たち、別のグループを割り込ませる。そして、自分たち白人労働者は忘れられている。そんな、政府は頼りにならない。企業の違法な環境汚染に一番悩まされていて、一番、政府の援助が必要なのにも関わらず、このディープストーリーを持つ人々は、声を上げずにいる。
アメリカは内戦の危機にあるのではないか、という声もあるが、心の奥底のディープストーリーの差はなかなか埋められないのだろう。
また、この構図は、アメリカにとどまらず、今、どの社会でもあるようにも思うので、われわれも他人事ではないかもしれない。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
試し読み
小説・文芸
試し読み