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特攻隊員の多くは17歳から20代後半の若者だった。愛する妻子を残して征った青年、散華した婚約者を思い続けることで戦後を生き抜いた女性……。それぞれの人生を真摯に描き出し、隊員と遺族の思いを永遠に語り継ぐ!
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Posted by ブクログ
『きけ わだつみのこえ』などに代表される、特攻に出撃した若者の遺書を取り上げた本は少なくありませんが、「残された遺族」についても目を向け、直接会って聞き取りをしている点が本書の特徴だろうと思います。 特攻隊に志願して散華した若者たちが、「国のため」「銃後の家族のため」に命を賭ける覚悟を決めたことに...続きを読むついて、 ・本当は「死にたくない」という気持ちがあったはずだ ・自主的に「志願」したのではなく断れない雰囲気があったはずだ ・実際に成功する可能性は高くなく「犬死に」だった などと否定的/懐疑的な意見があることは事実です。 実際、少なくとも前半の2つについては検討の余地はあるとおもいます。どういった力がはたらいて、「戦争を継続する」「犠牲となることを恐れてはいけない」「死ぬことが良いことだ」とされるようになったのか、という点は分析すべき課題です。一方で、特攻を「犬死に」とする批判は的外れだと思います。極端なことを言えば、「戦争」という外交手段そのものが「邪道」なわけで、それによって亡くなった方は、兵士であれ民間人であれ、本来の寿命よりも早く命を落とし、本来(平和であれば)果たせたはずの役割を全うできなかったのですから。 では、この「特攻」から、何を学ぶべきなのでしょうか。 散華した若者が遺した言葉や、彼らの「尊い犠牲」に『感謝』して、その犠牲が価値のあるものとなるように「誇り髙い日本」を作り上げていくことでしょうか。 そうではなく、特攻した者も残された家族も(あるいは特攻として出撃命令を受けつつも生き残った者も)、みな一言では書き表すことのできない悲劇を味わったということではないかと思います。では、悲劇の原因は誰にあるのでしょうか。特攻を立案した(とされる)大西瀧治郎や戦争を主導した東条英機、誤った戦果情報を発表していた大本営、それを無批判に報道した新聞各局、戦死することを「名誉」として称揚し大勢に反対する者を「非国民」と批判・攻撃した国民、全軍の統帥権をもつ天皇……。 私自身は、戦争という悲劇が起こった原因は、「それは違うと思う」と言える環境を作ることができない社会であったこと、にあるのだろうと思います。 もちろん、言論の自由が保障されている現代社会であっても、世間一般の意見と異なる見解は批判されますし、場合によっては「非国民/売国奴」などと攻撃されることもあるでしょう。それでも、「戦争はだめだ」と主張できるようにすること。自分の頭で、どうすべきかを考えること。真剣に人生を歩むこと。 戦争でおこった様々な悲劇(特攻だけでなく、沖縄戦・原爆・インパール作戦・「飢島」・集団自決・空襲……)を風化させることなく語り継ぐことと、その悲劇を繰り返さないために真剣に考えながら人生を歩むことが、「英霊の供養」になるのではないかと思います。
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「特攻」と遺族の戦後
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