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失敗は成功の反対だとみなされがちだが、生産性の高いチームでは果たしてそうであろうか。「心理的安全性」研究の第一人者である著者が、失敗を類型化し、失敗を通じて生産性を向上させるためのフレームワークを提言。 ベストセラー『恐れのない組織』の著者が、イノベーションが生まれる組織の姿を描く。
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Posted by ブクログ
「人は自分の失敗からよりも、他人の失敗から学ぶ」という指摘。実際には、失敗は隠されがちです。なぜなら、失敗を責められ、仲間外れにされることを人は恐れるからです。 だからこそ、失敗をオープンに語れる「心理的安全性の高い組織」が必要だと痛感。 失敗を共有し、原因を考え、改善を提案する。そうすることで失敗...続きを読むは“成功の材料”に変わる。 組織づくりのヒントをくれる一冊。
タイトルこそ「失敗できる組織」であるが、本質は「失敗から学べる組織かどうか」に尽きる。 個人的に考えさせられたのは「チームに分かれ、床に敷かれたタイルを歩くゲーム」の話だ。 ルールは単純で、タイルによって「OK・NG」があり、NGの場合はブザーが鳴るという仕組みになっている。 床のタイルを歩くのは一...続きを読む人ずつで、ブザーが鳴ったら次の人にバトンタッチして最初からやり直す。 スタートからゴールまで、最も早く辿り着けたチームが勝ちというゲームだ。 これで実際にゲームをスタートすると、タイルに足を置くことで迷う人がいるのだという。 この気持ちが分からないでもない。 みんなが見てる前で失敗したくないと思う気持ちが優先されて、足を出すことに躊躇してしまうのだと思う。 しかしながら、どう考えてもこの考え方はおかしい。 タイルの「OK・NG」は所詮ランダムに並んでいるものなので、NGを踏んだから「失敗」になるはずがない。 むしろ、NGが分かることで、OK(正解)が分かるというのが、このゲームの本質だ。 つまり迷っている時間はそもそも無駄ということだ。 一刻も早くタイルを踏んで、OKなら迷わず進む。 NGなら即座にバトンタッチする、を高速で繰り返せばよいだけだ。 NGは失敗ではない。 NGが出るまで迷わず進み、その軌跡をメンバー全員が見て記憶することが大事だ。 前に踏んだNGを、次の人がまた踏んでは、それはミスと言える。 このゲームのルールの本質を、メンバー全員で共有できるかどうか。 これが、勝負の分かれ目である。 この本質を最初から見抜ければよいが、人間とは感情の生き物である。 「ブー」という大音量のブザーが鳴り響けば、心の中で「失敗」が刻み込まれ、次は萎縮してしまう可能性が高い。 それをチーム内で「気にするな。ドンドン先に進め」と言えるかどうか。 歩いたOKの軌跡をどういう方法でメンバー間で共有するかもポイントだ。 ●紙に記録する時間があるのか。(ツールの持ち込みがルールで認められるのか) ●メンバー内で一番記憶力の優れた人に任せるのか。 ●それとも、みんなで分担して記憶するのか。 ●全員が同じように記憶して、話し合いながらエラー訂正していくのか。 方法についてはいくつかありそうだが、この中でどの方法を選択することがベストなのか、選び出すのもチームのセンスと言える。 初めて組んだチームで、初めてゲームをする場合。 そして主催者からの説明が「スタートからゴールまで行け」だけだと、上記のような戦略をとれるかどうか。 いずれにしても、ゲームの本質を早く見抜いて、対策をどう取るかを選択することが大事だ。 そして何よりも、高速で実行すること。 実行していく中で、方法論については改善を繰り返すこともできる。 こんな事例は、実際の仕事の中で多数あるはずなのだ。 NGを踏むことは、決して「失敗」ではない。 そこで躊躇する理由はないし、落ち込む必要もない。 失敗のように感じるが、実は「成功のために必然的な失敗」ということに気が付くかどうか。 このように頭を切り替えられるかどうかが、実は非常に重要だ。 それだけ人間とは、失敗に対して不寛容なのだ。 恥の文化と書かれていたが、日本人は特にその傾向が強いような気がする。 小さなコミュニティの中で、相互に監視されるムラ社会での人間関係では、そのコミュニティから弾かれることは、本人の死活問題になる。 失敗を極端に恐れる思考になるのも、本能と言えばしょうがない部分もある。 一方で社会は大きく変化したのだ。 ムラ社会から、爪弾きにされても、実際には生きていけるはずなのだ。 世界中を旅して回ることも可能だし、移動しないにしても、リモートで別のコミュニティと繋がればいい。 そう考えると、迷うよりも、どんどん失敗して経験をした方が、自分の実力がついてよいはずだと思う。 しかしながら、頭で理解していても、実際にできるかどうかは別の話。 やっぱり一歩を踏み出すのは怖いし、失敗したからといって、頭を切り替えて次に行ける訳じゃない。 人間の感情は複雑で、単純にはいかないものだ。 だからこそ、意識的にチーム作りをする必要があるということか。 どうやってチーム内に「失敗とは、成功のために必要なプロセスである」という考えを浸透させるか。 このようにステップで考えてみると、「学習する組織」こそが強くなるのは腹落ちする。 みんなで学び合える環境。 そして、みんなで改善を指摘し合える環境。 そういう意味でも心理的安全性は当然必須だ。 こんな環境はなかなか構築できないものだが、裏を返せば「こういう組織を構築できれば、学習する組織になれるかもしれない」という面は見えてくる。 冒頭で記載したことを繰り返すが、タイトルこそ「失敗できる組織」だが、良い仕事をするための本質とは「失敗から学べる組織かどうか」に尽きるのだと思った。 (2025/6/30月)
失敗の体系化、しかも失敗自体の分類とそれが起こりやすい状況の分類があり、面白い。 この分類によって失敗を『落ち着いて』捉えられることが大事と考えられていることも面白い。 心理的安全性を確保してオープンな組織を作ることで失敗から有益な学びを得ることと、システム思考を理解して失敗をそこに至る構造から本質...続きを読む的に捉えることが重要という趣旨で、そのために失敗がどのような分類ができるかについて整理されている。 趣旨は大いに理解できる、有意な内容。個人的な意見としても賛同したい。そのためにどうするかという話が、だんだん学術的なものではなく自己啓発というか個人のセンスに依存する表現になっていくような気がします。 、、、という理由でビジネス関連の学術書としてのマイナス1の評価をしていますが、一読の価値はありです。
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