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「私は酒がやめられないのである」「だらしない話である。恥かしい話である」しかし不思議と憎めず愛しい、戦後・昭和の人間模様――。「小生、この度感ずるところあって、酒を止めることにしました。断然止めたいと思います。」「酒を飲むから、仕事が出来ぬ。仕事が出来ぬから、金があんまり入らない。」(「禁酒宣言」)止せばいいのに今日も今日とてふつか酔い、後悔してももう遅い。確かな筆致で人間の生活を描き続けた私小説作家・上林暁の世界から坪内祐三が選りすぐる、ユニークな酒場小説集。解説 青柳いづみこ
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Posted by ブクログ
上林暁、坪内祐三・編『新版 禁酒宣言 上林暁・酒場小説集』ちくま文庫。 現代に於いては、デカダンスで力のある小説家は最早絶滅危惧種であるに違いない。巷にはラノベ小説やBL小説、エンタメ小説、警察小説が溢れるばかりで、何かを考えさせるような純文学小説などは余り読む機会が無い。これは作家や出版社だけの...続きを読む問題では無く、自分も含めて、読む側に大いに問題がありそうだ。 本作は、そんな希少な作家であり、1980年に逝去した上林暁の酒場にまつわる短編13編を集めた私小説の短編集である。大方の短編の主人公が武智という小説家であり、恐らく自身のことなのだろう。 『女の懸命』。昭和の戦後間も無い頃、女性を囲うというのは珍しく無いことだった。粕取酒が登場するが、庶民は清酒などには手が出せず、粕取なる安酒を口にしていた。流石に粕取酒は飲んだことが無いが、自家製のどぶろくみたいな物だろうか。 『暮夜』。小説家が馴染みではあるが、余り足を向けられない飲み屋の話である。やはり粕取が登場する。酒飲みは幾つか自分の行き付けを持っているものだが、たまには新規開拓もしたくなる。 『禁酒宣言』。酒を止めよう、止めると言いながら、踏み切れない小説家が余りにも滑稽である。夜中の2時、3時まで飲み歩き、次の日二日酔いというのは自分も経験したことがある。朝の5時まで飲んで、会社に直行したこともある。酒を全く飲まなくなった、今思えば、何とも馬鹿なことをしていたと反省しきり。 『いさかい』。酒場で久し振りに遭遇した友人と飲み代を巡る諍いが起きる。金が無くとも何とか飲もうとする意地汚い酒飲み。最初に店に渡した金を河岸を変えるからと割り戻そうとするなど、酒飲みの発想だ。 『春寂寥』。飲み友達が地元に帰り、馴染みの飲み屋も閉店したり、移転したりと孤独を感じながらも、良かった時を思い出す主人公。 『魔の夜』。懇ろになった飲み屋の女主人との別れ話。酒飲みは飲むと何故か女性に惚れやすくなるようだ。 『お竹さんのこと』。飲み屋の女性との儚い恋。 『愉しき昼食』。旦那に囲われた飲み屋の女性と深い仲になった男の話。 『酔態三昧』。『禁酒宣言』に関連するエッセイのような感じで始まったが、やはりの私小説だった。『禁酒宣言』の焼き直しのような話で、酒飲みの小説家が飲み屋の女性に惚れたり、深酒ばかり、娘に服や靴なども買ってやれずに妹に窘められる。 『春浅き宵』。相変わらずの酒飲みの日常。タイトルの高尚さなど無い。 『女の甲斐性』。あちこちと飲み歩き、飲み屋の女性を品定めするような主人公の小説家。小説家と名乗れば、飲み屋でモテるのだろうか。 『たばこ』。脳溢血で酒を止めた主人公の小説家は煙草を止めようとするが、それは酒以上に大変なことだった。 『蹣跚』。酒を止めた主人公の小説家が酒を飲んでいた頃を懐かしむ。 本体価格900円 ★★★★
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新版 禁酒宣言 ――上林暁・酒場小説集
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禁酒宣言 ――上林暁・酒場小説集
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