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Posted by ブクログ
脳科学の最新知見を、実際の研究結果に基づいてわかりやすく解説されている。
内容と分厚さのわりには、読んでいて重さを感じさせないのですごいと思った。
・意図的な注意(あれが気になる)が生じるときというのは、その場所に対応した神経細胞活動が増加している
・「もの」をみるときは、それをどのように認識するかという過程が大事
(一度顔に見えてしまったらそれにしか見えない、とかそういうの)
・他人の気持ちを思いやる行為には、ミラー・ニューロンが関わっている
著者は、現時点でわかっていることとその限界、すべてが明らかになればいいというわけでもないこと、を最後の章で書いている。
研究者として、得られた知見とその限界、知見がどのように応用されるかという見通しを書く姿勢にとても好感が持てた。
ちなみに、東大文学部で行った講義を書籍化したものらしい。
Posted by ブクログ
ここ数年、脳の機能画像を用いた研究はスピードも量もベラボウになっているが、この本ぐらい新しく、読みやすく、まとまっているのはすごい。脳の神話ともいうべき過度の脳科学信奉をいましめつつ、道徳、ブレイン・デコーディング、無意識、ミラーニューロン、可塑性の問題、知能などのトピックについて、オリジナルの文献にあたりながらカバーされている。・網膜の細胞が一億個、というのはどこかで読んだことがあったが、視神経の線維は八十万本なので、八十万画素と考えるべきなんだろう。最近のデジカメよりも劣っている。・顔領域の活動は、車好きの人であれば車種の違いにも反応するなど、顔に特化しているというよりも個別化を司るにすぎないという議論もある。・一次視覚野レベルの活動性も意識によって左右される
Posted by ブクログ
網膜地図
ものの認識とは別に、顔の認識だけに関係した当別の顔領域がある
序盤、脳が見たものをどう認識しているかという話。脳は、顔、建物なのど何を見ているかによって活発に活動する部分が変わる。
私たちは目からの視覚情報、体性感覚、位置感覚、平衡感覚情報を統合することによって、自我の存在する位置を決めている。
「見える」ということは外界の中から一部の情報を選択してこれを意識という表舞台に上げることである。
海馬は、情報を結びつけて記憶し、結びつけた状態で再生させる役割。海馬が働かないとストーリー性を持たせられない。
指を動かそうとする8秒も前から前頭葉は活動する!右手を動かそうと思うよりもはやく脳内に情報が表現される
心の理論
相手の気持ちや意図を察して自身の行動を決定する働き。
自閉症は、心の理論がうまく働かず、相手の意図や感情を推察できない。ミラーニューロンがある脳の部位の活動が低下している。
遺伝子によって特定の脳領域の形態や働きに差がある
盲目の人が点字をなぞっているときは視覚野が活動する。目の見える人が点字をなぞっても視覚野は活動しない。(ただし生まれてすぐに視覚を失った人のみ)
好みのタイプの顔を見ることだけでも、脳にとっては報酬になる
Posted by ブクログ
2000年代の研究を中心にまとめられた入門書。真面目に書かれているのは分かりますが,脳科学においては何ができたらメカニズムが分かったと言えるのだろうか。例えば,まえがきに次のように書かれている。
ですが,私たちがこのようなことを感じ,考え,行動しているときに脳の土の部分が働いている,という実験結果は単なる豆知識に過ぎません。脳研究が本当に目指しているのは,脳がこのような仕組みになっているから私たちはこのように感じ,考え,行動するのだ,というメカニズムを明らかにすることです。このためには私たちの心の動きの結果として脳活動があるのではなく,脳活動の結果として心が生まれてくるのだということを明確に意識する必要があります。(p.ii)
この観点には同意するが,最新データで構成されているとは言え,神経相関をなかなか抜け出せないでいるという印象です。相変わらずの疑問はこの本でも解けない。志はしっかりした著者であることは間違いないが,検証に偏った科学論がちらほらと見受けられるので,“そこから脱却する道を考える”という道も必要だと思います。ところで,僕的に面白かったのは,
PETと比べて,[fMRIは]放射性物質を使わないでも脳活動を測定できることから,被験者も集めやすく,医師以外の基礎研究者も脳活動測定実験に参加するようになりました。特に,心の働きの仕組みを行動からしか評価できずに欲求不満に陥っていた心理学の研究者が,この研究を進展させる強力な原動力となりました。(pp.19-20)
というところです。神経相関で心理学者の欲求不満が解消されたのであれば,本当の欲求不満ではなかったのではなかろうか,と思いました。
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