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Posted by ブクログ
p26ぼくときみを中心とした小さな関係性が、具体的な中間項を挟むことなく、世界の危機など、抽象的な大問題に直結する作品群のこと
p83 シンジの戦場はいつもどおり学校もあればコンビニもある場所で、なぜ敵は襲ってくるのか、なぜ戦わなければならないのか、まったくわからないのである。結果的に思考は空転し、抽象化し、自分の問題に行き着いてしまう。
p117たかだか語り手の了見「世界」という誇大な言葉で表したがる
p92 「ふたりの遠距離恋愛」という主題のためだけに、ありとあらゆる要素が配置され、それ以外は潔く排除されているのである。
p170 半透明な文体=アトムの命題は、登場人物によって、作中の事態がチープで荒唐無稽で虚構的な自体だと名指され(揶揄され)なければ、立ち上がってこない。だからこそ、セカイ系は定義され、認知され、あるいは揶揄されればこそ、隆盛したのである、と結論することができる。
具体的な内実、技術背景の説明の省略。「エヴァ的」。自意識の物語。SF、ミステリの舞台を借りた自意識と恋愛の物語。ループものとセカイ系の親和性。読者との共有の前提に基づいた、メタ的な語り口による日常と非日常の融合。戦争系、(学園)都市物語以上に目立つのが、日常系、空気系。
これが書かれたのがニコニコ動画、ボカロ全盛期だから、また今書かれると違う考察が出ると思う。異世界転生ものとかチート主人公ものとか。
Posted by ブクログ
所謂「セカイ系」と呼ばれる作品は未履修のものが多く、言葉の意味もなんとなく「自分語りの作品」というくらいにしか思っていませんでした。
しかしそれはごく一面的なものであり、セカイ系という言葉の意味自体が拡散され変遷されていった。そのことが具体的に作品や人々の言葉を引用して説明されています。
謂わばエヴァンゲリオン以降のオタク文化史、ゼロ年代オタク文化史の体を成しており、その時代のオタク文化に疎い身には参考資料として実にありがたいのです。
読んでいない小説(ラノベ)や見ていないアニメは今でも読んだり見たりはできます。しかしその作品がその時代に於いてどのように受け止められていたか、どのような位置に属していたのかという、時代の空気感のようなものはわからないのです。
その空気感がまとめられることで、作品への接し方も多重的になり、これから読んだり見たりする時により一層楽しめるでしょう。
で、結局「セカイ系」とは何なの? となると、一言で表わせられないからこの本を読むのだよとなってしまうのですけどね。それだけ変遷され拡散された言葉なのですね。ゼロ年代のオタク文化に於けるムーブメントとでも表わすのがいいのか悪いのか。
Posted by ブクログ
マンガやアニメのようなサブカルチャー(オタク文化)を真面目に考察していて、それが新鮮で面白かった。セカイ系、エヴァというキーワードで社会(?)を考察しているような。
エヴァンゲリオンは見たことがあるが、初めて見た時に感じたことがそのまま書かれていた。前半は使徒との戦いや細かく組み上げられた世界観が面白かったが、いつの間にかよくわからない流れになる。最終回ではシンジが周りに「おめでとう」と言われるわけのわからない展開。当時は、なんだこれはと理解できずにいたのを思い出す。
エヴァは第19話あたりをピークに、映像の質はどんどん下がる。これは制作体制上の問題から、スケジュールが破綻したためとある。併せて、物語の視点はどんどん登場人物の内面へ移り、「アダム」、「リリス」、「人類補完計画」といった謎への解答は放棄される。こういった点が、実は大ヒットに繋がったと書かれている。
セカイ系とは、(後半の)エヴァっぽいもの。少年の自意識。自分を中心とした世界。なるほどなと思う。そういったものがヒットするようになっていたんだなと。
エヴァは社会的にも大きな影響を与えたが、この本ではそのひとつとして「作品受容の態度」が挙げられている。自分が見た時は、エヴァの前半・後半でのギャップについていけなかったんだなと思う。今はエヴァは面白いと思うが、その理由なんかが納得できたように思う。
この本を読んでいると、5年や10年で流行や作品の傾向、視聴者の考え方や好みは大きく変わるんだなと感じる。昔の作品が新たにアニメ化されたり、時間を経て続編が出たりというのはよくある。今はルパンやおそ松さんのアニメが放送されている。制作側は、そういった時代の変化をどう捉え、作品に反映しているのか。昔の作品とはどう変わっているのか、これからそんなことを考えながら見てみたいなと思う。
昔のエヴァと新劇場版のエヴァとの違いも、調べてみると面白そうだ。
なんとなく思ったが、中二病とセカイ系はどこか似ている。
Posted by ブクログ
「セカイ系とは何か」
実はこの「セカイ系」という単語。前々から興味を抱いてはいたのだが、扱いに困りあぐねていたのでこの本を見つけた時は素直に歓喜した。もちろん即買いである。
実際この問いにすらすらと答えることの出来る人は少ないだろう。オタク文化コンテンツを巡る言説空間で使われるワードのため、知らない人も多いと思うので、一応その定義を説明しておこう。セカイ系とは、一般的に次のような要素を持つ作品とされる。
・少年と少女の恋愛が世界の運命に直結する
・少女のみが戦い、少年は戦場から疎外されている
・社会の描写が排除されている
例えばマンガ『最終兵器彼女』、アニメ『ほしのこえ』、ラノベ『イリヤの空、UFOの夏』の三つはよく「セカイ系」の代表作として語られる。ところが、これらの作品はそれぞれ上の要素にあてはまらない箇所があったりする。また『イリヤの空、UFOの夏』などはアンチ・セカイ系作品と呼ばれることもある。こうした点から「セカイ系」とは実体の存在しないバズワードではないか、とよく言われてきた。そんな存在である「セカイ系」を正しく捉えようというのが本書の試みである。
本書は、セカイ系について時系列順で語られており、中盤まで「エヴァンゲリオン」を中心において色々な作品と比較して「セカイ系」とはどのような作品を指すのか丁寧に説明されている。中盤以降は「美少女ゲームの臨界点」などの影響により「セカイ系」という単語が多く出てきたことを受けて東浩紀をはじめとした著者からの引用が多くなっていく。
全体の印象としては、「エヴァンゲリオン」から「涼宮ハルヒの憂鬱」までのサブカルチャーの潮流をセカイ系という観点から分かりやすくまとめた本という感じだ。様々な観点から「セカイ系」について語られており、東氏と宇野氏による議論なども間に交えながら話が進み、実に多面的に理解が深められる書であった。唯一残念なのが、前島賢による分析の視点が足りないということだろうか。もっと突っ込んで意見を主張してもらっても構わなかったように思う。
アニメやサブカルチャー批評について詳しいとより本書は楽しめるので、読もうという方は事前に予備知識をつけておいた方がいい。丁寧に解説してはあるので不要かもしれないが、エヴァの大まかなストーリー位知らないと、何言ってるか分からない、かも。
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