黄昏のために

黄昏のために

1,800円 (税込)

9pt

4.4

描くことは、生きること。一人の画家の“生”を描き出す魂の小説集。

画家である「私」は、今日も独り、絵を描いている。
モチーフは人形、薔薇、動物の頭骨、階段……
裸婦は描くが、風景画は描かない。
物は物らしく、あるべき姿を写し取る。
ふた月に一度アトリエに訪れる画商・吉野に絵を売り、
腹が減ったら肉を焼いて食べる。
秋には山で枯れ葉を集め、色を採集する。
対象を見、手指を動かす。
自分がほんとうに描きたいものを見出すまで――。

***
「誰もがいいと思うから、絵は売れるのだ。
しかし、ほんとうは誰にもわからない。
そんな絵が、描けないものか」
――「穴の底」より
***

“究極の絵”を追い求める一人の画家の“生”を、
一つひとつ選び抜いた言葉で彫琢した、魂の小説集です。

孤高の中年画家が抱える苦悶と愉悦が行間から匂い立つ、
濃密な十八篇がここに。

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黄昏のために のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    北方謙三『黄昏のために』。画家である「私」。好きなものを食い酒を呑み料理を作る。そして、ストイックに独り、絵を描く…。ハードボイルドは職業ではない、生き方だ。この作者さん、久々に大河以外の小説を読んだ!

    0
    2024年07月07日

    Posted by ブクログ

    北方謙三久しぶりの現代小説。作家名を知らずに読んでも北方だとわかる、まさに北方小説。
    主人公は中年の画家。一人称で語られる短編集。主人公はまさに北方そのものではないのか。悩みも暮らしぶりも。でも金のある気ままな暮らしというのも、やはりいいものだという気もしてしまう。

    0
    2024年07月04日

    Posted by ブクログ

    画家である主人公のある日の過ごし方や出来事を淡々と描いている。文体と内容が実に男っぽいのはファン作家の北方謙三氏だった。画家の1日の過ごし方がよく現れている素晴らしい!

    0
    2024年07月03日

    Posted by ブクログ

    「板上に咲く」を読み終え、「黄昏のために」のページを開いた。驚いたことに、この作品も芸術家の話だった
    版画と絵という違いはあるが、なんと奇遇
    たまたま、選んだ本
    北方謙三作品も久しぶり
    この作品は絵描きの話だが、もしかしたら北方謙三氏が小説を描くとき、すなわち自分を絵描きとして描いた自伝ではと思った

    0
    2024年10月16日

    Posted by ブクログ

    新刊の場所に置いてあったので手に取ったが目につかなければ読まない作家。
    難しい文章なのかと思ったが小説だけど終わりがない自伝ぽい1人の画伯と呼ぶには若い考え方。年齢を経ても、どれだけ売れていても納得できていない初老が何気ない日常や画に対する感情、考え方をつらつらと書いているが文章に引き込まれていく。

    0
    2024年08月24日

    Posted by ブクログ

    もう読めないと思っていた北方謙三の現代小説。
    歴史モノでも十分に気取ったハードボイルドを楽しませてくれていましたが、やっと願いが叶いました。
    若い頃の作品と違い、喧嘩もカーチェイスも無ければ、ヤクザも探偵も登場してこない。
    指先の絵の具の汚れを極度に気にする初老の画家が主役の気取ったハードボイルド。

    0
    2024年07月15日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごく洗練された素晴らしい作品を読みました。小説というより、一つの芸術を鑑賞していたような気分です。

    北方謙三が好きだから、この作品に高評価をつけている訳ではなく、まるで純文学を読んでいるかのような、本当に無駄を削ぎ落とした一つの人生の完成形をそこに体感しました。

    画家である主人公の一つ一つの行

    0
    2024年06月24日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    連作短編集18篇
    短編集とはいえ,全体を通して一人の画家が何かを探しながら自分のスタイルのようなものを確立していく.画商や友人あるいはゆきずりの人との会話も気が利いている.ストイックに奔放に作る料理が美味しそうで,その分量にも圧倒される.男の料理だと感じた.料理だけでなく全体の調子が,探偵ものではな

    0
    2024年08月02日

    ネタバレ 購入済み

    久しぶりの

    久しぶりの北方節全開!しばらく中国史ばかりだったので、原点回帰的で没入してしまいました。古くからのファンには堪らないのでは?

    #深い #ドロドロ

    0
    2024年07月13日

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