無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
幕末の英雄と言えば、西郷隆盛、坂本龍馬、勝海舟ら。だが歴史を動かしたのは彼らだけではない。幕府と反幕府勢力の戦いの背後では、世界の覇権を争うイギリスとロシア、そしてフランス、プロイセンなどの列強が、日本への影響力強化を目論み、熾烈な攻防を繰り広げていた。各国の思惑、幕府軍・新政府軍への介入はどんなものだったのか。日本はなぜ独立を守れたのか。国内外の最新研究や機密文書を踏まえ、地球規模で歴史を俯瞰するグローバル・ヒストリーの視点で、黒船来航から戊辰戦争終結までの激動の十六年を描き出す。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
2022年10月、NHKスペシャルで幕末史に関して2回に渡って放送された番組を書籍にまとめたのが本書である。幕末と言えば、坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、新撰組、白虎隊など、英雄と悲哀で描かれることが多い。本作は、黒船来航から戊辰戦争の終わりまでのわずか16年間に疾風怒濤のごとく織りなした歴史の数々を国内外の新資料をふんだんに活用して多角的に検証する。特に、従来の日本一国に軸足を置いたナショナル・ヒストリーに終始した歴史観に対して、世界列強が地球規模で進出したグローバルヒストリーの視点で新しい幕末史を描き出した点は特質すべきである。時事刻々と迫られる外国からの開国という圧力。尊皇攘夷に対する国内の対立は深まり、一方で欧米列強の草刈場として搾取され、大量の武器を購入して対立に備える。おりしも、クリミア戦争やアメリカ南北戦争などによる世界の武器の改良は、日本の内戦にも持ち込まれる。アームストロング砲やガトリング砲などの大量破壊兵器や命中力の高い銃による闘いは、従来の刀による日本古来の近接、白兵肉薄戦といった戦い方を大きく変える。日本国内は内戦によって疲弊し、欧米列強は武器や戦艦の輸出などによる自国の国益と北海道などの植民地化にのみ終始していたと検証する。現代まで続くウクライナ戦争など、イギリスの歴史家E・H・カーが「歴史とは、現代と過去との間の対話である」と指摘している通り、あらためて「すべての歴史は、現代史である」と言うことを学んだ。
Posted by ブクログ
薩摩藩と長州藩を中心とした官軍が徳川幕府を打倒して天皇を中心とした新政権を樹立した、というのが一般的な明治維新の理解だと思うが、そこにイギリスやフランス、ロシアといった欧州列強の思惑が実は大きく働いていたことが近年の研究によって明らかになってきた。ハリスやパークスなど、イギリス外交官からの報告文書が相次いでイギリス王立博物館などで見つかったことを受け、海外から見た日本や江戸幕府がどのようなものだったかが説明される内容となっている。
1800年代はイギリスがいち早く産業革命を達成し、世界各地に植民地支配を広げていた時代である。イギリスに負けじと欧米列強も支配地拡大に乗り出す中で、当然極東の日本にもその手が伸びてくる。日本人にとってはアメリカのペリー提督による黒船来航がショッキングな出来事として語られるが、実際のところアメリカは南北戦争が勃発して海外どころではなくなり、日本の開国に対してはイギリスの思惑が大きく作用することとなる。
対する日本側の交渉役は、幕府で外国奉行や勘定奉行を歴任した小栗上野介忠順であった。大老井伊直弼の独断によって不平等条約を結ばれるも、その後の経済政策や賠償金問題を乗り切りながら海外から最先端の武器を調達する辣腕を発揮していく。しかし小栗忠順がイギリスに支払った資金は、薩摩藩に融資されて武器購入に使われ、それらが長州藩に流れて幕長戦争に発展し、敗れた幕府の威信が大きく低下したというのは皮肉な流れである。
一方でイギリスが日本の植民地化を企図していたかと言えば、日本の地政学的な立地と世界に先駆けて民主主義化したイギリスの議会の反対によってその意思はなかったと考えられる。むしろ賠償金や武器売買による経済的利益を最大限得るために、日本の金など鉱山資源開発を後押ししつつ幕府と各藩の対立構造を煽っていったと見るのが、イギリスが日本を金の卵を生む存在として見ていた理由であろう。
イギリス軍艦に搭載されていたアームストロング砲や、奇兵隊が用いたミニエー銃などライフル構造による長射程と命中率向上を実証的に証明して、この戦力差が幕末維新の趨勢を決したと断じる説明には説得力があり、また維新三傑をはじめとした志士たちの英雄的活躍よりもこれら技術革新の賜物であるという面において、この日本における革命もイギリスをはじめとした西欧列強の思惑によって進んだと見るのが妥当なのだろう。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用