ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
12pt
謝辞 まえがき――「ダグラス・マッカーサーとは誰だったのか?」 第1章 始まり 第2章 参謀総長 第3章 中心から外辺へ 第4章 大惨事 第5章 高くついた教訓 第6章 パラメーター 第7章 見習い期間 第8章 突破口 第9章 帰還と償還 第10章 回帰、侵攻、そして降伏 第11章 青い眼の大君 第12章 勝利と課題 第13章 朝鮮半島での勝利 第14章 朝鮮半島での敗北 第15章 総括 あとがき 「マッカーサーの遺産と戦後日本」
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
マッカーサーの評価と共に、アメリカ側から見た戦争観に触れられたのは新鮮だった。マッカーサーという人物は、繊細なのか磊落なのか、計算高い虚栄心の固まりなのか、もっと壮大な思想や優しさのある男だったのか。 ー 上からの命令に服従しなかったことで悪名が高いマッカーサーだが、彼はこの並外れた権力を慎重に行...続きを読む使した。使う時には通常、重大で永続的な効果を狙った。マッカーサーといえばすぐにアメリカと同一視する考えが根強くあることを思えば皮肉だが、マッカーサーはその権力を、アメリカの意図から逸れる、もしくはワシントンで決定されたアメリカ政府の方針と真反対のことを行うといった結果をもたらすかたちで使った。しかし、このような内状は日本人にとって想像しがたいものだろう。その時代に生きた日本人の多くにとって、マッカーサーとは単にアメリカの権力の典型やその権力の行使者でさえなく、その権力の権化そのものだった。 ー バターンに物資を運搬するために必死になっていた時、ケソン大統領の、どんなことがあってもフィリピン国民の安寧を著しく損ねることがあってはならない、という要求に(マッカーサーは)従ったことが挙げられる。その結果、民間人のための食料を差し押さえることは、おそらく容易であっただろうが、補給係はそれを禁じられるのである。ヒロヒト、ヒトラー、スターリンの軍の指揮官のなかに、そんな優しさを示した者は誰もいなかった。 日本との戦争の終わらせ方、についても本書に書かれる。他の本でも私が探していた興味のある分野だ。これはアメリカ側の考えなので、日本の論説でもこれを参考にする部分があるが、結局、本土決戦までいくか、原爆が必要だったか否かという論点は変わらない。寧ろ、軍隊目線である故、政治的な判断よりも戦略的な観点だ。 ー 日本との戦争をどのように終わらせるべきかという意見は、陸軍と海軍の間で依然として相違があった。突き詰めて見ていくと、彼らを隔てていたのは、軍事的な問いではなく、政治的な問いだった。アメリカ国民は、日本の無条件降伏という、国を挙げての目標に達するまで戦い抜こうとしていたが、そのアメリカ国民の意志を挫くのは、一体どの要素であるか?というのがその問いであった。マーシャルが率いる陸軍は、その答えが時間であると信じた。したがって陸軍は、日本の本土占領のみがアメリカ国民が許容できる期限内に戦争を終結させると説いた。史上最大の上陸作戦を指揮してみせると意気込んでいたマッカーサーは、頑なまでにこの意見に固執した。 ー キングが率いる海軍は、決定的な要素は犠牲者の数である、という意見だった。何十年にもわたる研究の結果から、海軍指導者たちは、日本の本土上陸は確実にアメリカ国民の許容範囲を超えた犠牲者を生むと思っていた。そのため海軍はその代案として、爆撃と補給線の封鎖という戦略を主張した。この戦略は、何万、何十万という日本人を空爆で死なせ、また、何百万もの日本人を触死させ、あるいはその瀬戸際まで追い込み、最終的に日本を降伏させるということを意図した戦略だった。(戦後、海軍と一部の航空部隊の将校たちは自分たちの主張した戦略ならば原爆を使わずに戦争を終わらせることができただろうと断言した。彼らは正しかったかもしれないが、彼らが支持する空爆と補給線の封鎖という戦略には、原爆で亡くなったよりも、はるかに多くの日本の非戦闘員を死なせることが含まれているのである。) 長文になるので、最後にこれを引きたい。虚飾であろうが、WGIPの一種だろうが、こうしたスピーチの効果は大きい。しかし、読めば読むほど、ならば戦争とは何だったのか、より良い世界を築くための必要な殺戮とは何か。考えさせられる。 - マッカーサーは、彼の経歴のなかで、おそらくもっとも人々の記憶に残るスピーチを行った。 我々は、主要な交戦国の代表として、平和を取り戻す厳粛な協定を取り交わすため、今日ここに集まりました。理想や信条の相違による問題はすでに戦場において決着がなされ、もはや議論や論争の対象ではありません。また、地球上の大多数の人々を代表する我らがここに集う理由は、不信や敵意、憎悪ではありません。勝者も敗者もともに、我々が今から臨む神聖な目標に唯一相応しい、より尊い、頂に登り、ここで公式に交わされる合意にすべての人々が全力で、そして忠実に従うことを誓うために集まっているのです。 私はこの厳かな式の後、あの過去の流血と殺戮のなかから、人間の尊厳や、自由、寛容、正義の希求という人間のもっとも極要な願いを実現できる、より良い世界が生まれることを切に望んでいます。そしてそれは、人類全体の望みでもあるのです。 日本の全権団の一員だった加瀬俊一は、英語に堪能な外務省官僚だったが、彼は、マッカーサーが日本の代表や国そのものに対し屈辱を与えるような言説をまったく避けていたことに深い驚きと安堵を覚えたという。加瀬は、マッカーサーの言葉はミズーリの甲板を「平和の祭壇」に変えてしまったと述べている。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
マッカーサー 20世紀アメリカ最高の軍司令官なのか
新刊情報をお知らせします。
リチャード・B・フランク
ブライアン・ウォルシュ
その他の作者をフォローする場合は、作者名から作者ページを表示してください
フォロー機能について
「中公選書」の最新刊一覧へ
「学術・語学」無料一覧へ
「学術・語学」ランキングの一覧へ
一覧 >>
▲マッカーサー 20世紀アメリカ最高の軍司令官なのか ページトップヘ